2201話 とうとう受け入れ開始
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あれから2日ほど整備に時間を費やし、避難民用の街が一先ず完成した。
門の外、帝国の領地内には既に……2000人ほどの避難民たちが押し寄せている。もっといたような気もしたが、入れないと考え移動している人たちもいるみたいだ。ここで待つよりは帝国の中心……帝都まで行った方が何とかなると考えた人たちだろう。
整備が終わった次の日、レイリーが駐屯地から兵士たちを引き連れ、街の確認を再度してくれた。
俺たちは指示された通りに作っただけなので、細かい部分に問題がないかの確認を兼ねて、詳細を知らない兵士たちに確認してもらっている。
いくつか問題があったが、大きなものではなく本当に小さなもので、正直どっちでもいいという判断を下すような物だったので、概ね使う分には問題ないだろうとの事だ。
新しく家を建てる資材も準備しており、区画ごとにある程度まとめて置いてある。資材の管理はかなり面倒なことだが、避難民たちを支援するというスタンスなので、俺たちが中心になって動くことは無いだろう。動く場合は、反乱分子……工作員を排除する時とかだろう。
おっと、忘れていたダゴンを召喚して、俺たち家族の命令をプライオリティの最上位にして、次にレイリー、副官たちの順で登録しておく。
普段はプライオリティの設定などはしないのだが、完全に俺の手から離れた場所で活動することになる魔物なので、しっかりと命令のプライオリティを設定した。これで、俺たちの命令を最上位として、レイリーたちの命令に従う形になる。
常にレイリーや副官たちが命令を出すわけではないので、この3人が次のプライオリティの人間を指定することで、ダゴンが働きやすくなるようにしている。
基本的には、外堀を越えて侵入するモノの捕縛と排除、街の中の情報収集をシャドーたちと連携して行うように命令しているが、細かな命令を出せるように、何人かには命令権を渡す形で対応している。
俺と妻たち、グリエル、ガリア、レイリー、ゼニス以外は知らない命令で、今までの命令の最上位に、命令権を持っているモノから、人を排除するような命令が出された場合は、その場で捕縛するようにしている。
命令権を渡す人間に裏切り者が出るとは思わないが、魔が差してしまい……とか、神たちの干渉で……とか、不確定要素によって命令が出される可能性もゼロではない。その対策として、そう言った命令が出た場合は、命令者を捕縛するようにしている。
この内容を知っている人間からの命令であれば、街の中の人間を全部殺すことは可能である。
これもほぼあり得ない事ではあるが、神たちの干渉で対応しきれないとなった場合に、ダゴンに指示を出して全員を殺す可能性があると考えての対策だったりする。
まだまだ不備はあるが、完璧を目指していたら先が果てしないので、7~8割方大丈夫なら何とかなるだろう。
レイリーから、明日より避難民の受け入れを開始していくことが、兵士やディストピアの関係者に通達される。ついでに、グリエルから皇帝へも受け入れを開始する旨が報告されている。
俺は最後の仕事で、避難民の街へ入るための通路を領地を区切る壁の中に作っている。避難民はここを通らないと出入りができないようにするためだ。計画の一番初めに決まった事だったかな。その通路をホリホリしている。
領地内へ入るための説明などを受ける場所も一緒に作っていく。通路だけなら壁の中でもよかったのだが、説明する場所や馬車が通ることも考えると、壁では幅が足りなかったので、埋め直してから地下に広く空間を作りなおしている。
すべての準備が終わって、拠点で帰り支度を始める。
全部の仕事が終わったので、ディストピアに帰るために準備をしていたのだ。
そんな中レイリーが慌てて拠点に来たので、何かトラブルがあったのかとビビったが、
「シュウ様、帰るのはまだ早いです。嘘発見魔法を使ってもらうことになっているのに、帰られては困ります。初めの受け入れの時は、人数が多いので協力を要請していたのを忘れていませんか?」
そう言われて、しっかりとあぶりだすために宣誓のような物をさせて、工作員を見つけ出す予定だったのを思い出す。隠し部屋みたいなのも言われた通りに作って、何の部屋だろうか? って考えていた自分が恥ずかしい。
本来の計画では、受け入れる際には持続的に妻たちの誰かに協力してもらい、噓発見魔法を使ってもらう予定だった。でも、最近になって軍の中にも使える人間が3名出てきたので、初期の受け入れとまとめて数百人受け入れる時に、協力してもらう形になっていた。
普段の受け入れは、この3人が中心になって隠し部屋から調べていくそうだ。
妻たちが俺の帰り支度を止めなかったのは、俺はいてもいなくても変わらないので、先に帰るならそれでもいいと思われていたようだ。妻たちも全員があの魔法を使えるわけではないので、俺と一緒に帰るグループと残るグループに分かれるつもりだったようだ。
レイリーが帰るのは待ってほしいと言ったので、初期の受け入れは手伝ってから帰ることにした。
日が変わり、噓発見魔法を使えるグループは、隠し部屋へ来ている。残りの妻たちは、兵士たちに混じって避難民たちを受け入れる街で、炊き出しの手伝いをしている。
隠し部屋に来る前に、炊き出しを準備している兵士たちの所へ寄ったのだが、少し緊張をしている様子だった。俺の妻たちは、魅力的な女性が多いから、手を出そうとするやつがいないか心配しているのだとか。
確かにそんな奴がいたら、俺がマジギレするだろう。だから緊張しているのだと思ったが、俺がキレる前に妻たちが暴れないかを心配しているようだった。手を出そうとした人間が死のうがどうでもいいが、周りに影響が出ると困ると炊き出しを担当している隊長が言っていた。
妻たちが暴れたら、止められる人間がいないので、そういう意味で緊張していたのだ。
ちょっと肩透かしを食らったが、妻たちの実力を考えれば、不意打ちで攻撃されても問題なく対処できる程度の人間しかいない。もし隠れた実力者で、即死の猛毒を仕込んだ短剣が刺さったとしても、全員に最高品質の万能薬とエリクサーを持たせているので、問題ないはずだ。
スライムたちもシャドーも護衛として付き添わせるし、妻たちに危害が加わるなら、シャドーが身代わりになるように命令しているので、万が一も無いと思う。
もし暴れたら連絡してくれ、止められるかは分からないけど、対応はするからさ。
受け入れる前から少し疲れたが、兵士たちによる避難民たちの説明会が始まった。
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