2195話 食事の準備も大変だ
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外側も内側も目立った不具合はなさそうだ。繋ぎ目もほとんど凹凸は無し。この状態のままクライミングするのは無理だろうが、石に穴を開けられるだけの指の力があれば、簡単に登れてしまうだろう。Sランク冒険者に近くないと損な芸当は無理だろうけどね。
それよりは、鉤爪などを使って登る方法を警戒すべきだろう。いくら平らでも、登る方法はいくらでも存在するので、警戒を怠らないようにしないとな。そのための外堀+ダゴンなんだけどね。
ダゴンの能力で水を掌握できるのだが、水と言っても形態がいくつもある。通常の液体、熱することで出る蒸気、冷やすことで固まる氷。氷は上位属性になるので、あまり得意ではなさそうだが、問題なくコントロールすることができている。
この中でも目をつけたのは、蒸気だな。キリみたいになっていなくとも、干渉できる範囲に水が存在していれば、問題なく索敵が可能なのだ。ただ面白い事に干渉できる空気は、湿度が60パーセント以上という、謎の縛りがあった事だろう。
リバイアサンなら10パーセントほどでも問題ないみたいなのだが、ダゴンは60パーセント必要だったとか。
湿度が足りなくても、水源さえあれば湿度をあげることだって、簡単にできるダゴンなので、乾燥地帯でもなければその能力は衰えることを知らない。
能力で水を生み出せるが、乾燥した地域でやると魔力や集中力を無駄に使ってしまうので、効率が良くないらしい。リバイアサンなら無関係なのだが、Sランクでも差がかなりあるみたいだ。
そんなダゴンをここに数匹配置するので、侵入に関しては簡単に把握できるだろう。ダゴンからシャドーへ、シャドーからレイリーへ、伝言ゲームのように話が行くことになるだろう。
スプリガンたちによる監視もあるので、怪しい動きをしていれば一発で見分けてくれるだろう。正規のルートで領地内に入って、不審な行動をとるのなら、いる場所でバレバレだからな。
気にするべきは、帝国と領地を分けている壁から一気に侵入された場合だな。それでも監視しているスプリガンたちがいるので、問題は無いだろうが、連絡の速度で後手に回ることはある。短い時間で何が出来るか分からないが、注意は必要だな。
ウルやミーシャたちも、壁の出来栄えに満足しているようで、にんまりと笑顔になっている。
夕食の予定時間より多少遅くなってしまったが、事情を説明して事なきを得た。
昼がカレーだったので、夜は何になるのか気になっていた。カレーを昼に食べることも多いけど、カレーってガッツリ食べる時は夜のイメージがあるんだよな。だから、夜が質素にならないか心配だったのだ。
俺たちが新しく街を作っている場所で夕食を食べるのは、ブラウニーたちがキッチンの使い勝手を確認するために、今日だけここでたべることになった。
どこで食べても美味しいものは美味しいからいいんだけど、拠点ほど使い勝手がいい訳ではないので、ちょっと心配だった。
過去形になっている時点で分かるだろうが、外れの無い丼物が夕食のメニューだった。今日の夕食は大量に作れる料理の試作で、具沢山の豚汁と丼物が数種類作られていた。
定番の牛丼に、豚丼、親子丼、カツ丼、麻婆豆腐卵とじ丼の5つが準備されていた。
牛丼、豚丼は大量に作って、野菜もしっかり食べれるように玉ねぎマシマシで作られている。親子丼は既にとじてあって、牛丼みたいにドンドンかけていくタイプだ。そのせいで卵は固まるが、多めに卵を入れているようで、まぁ兵士たちが食べる分には気にならんだろう。
カツ丼は、大きなトンカツを切って、それを1つずつ閉じていくのではなく、親子丼みたいにまとめて作られている。その代わり、一口大のカツがたくさん入っているので、カツ丼と呼べるものになっている。
最後に変わり種で、麻婆豆腐卵とじ丼があったのだが、兵士たちというかこの世界に人たちには、通常の麻婆豆腐丼より卵でとじている方が人気があるそうだ。少し辛めに作って、卵でまろやかにする……それが食欲をそそるんだとか。
俺は全部の試食を頼まれたので、ハーフサイズの丼で5つ全部出してもらった。
牛丼、豚丼、親子丼は、普通に美味い。チェーン店とは違い、具沢山でそのまま出てくるので、食べ応えが抜群である。肉も野菜もマシマシ。
一口カツのカツ丼も、たくさんのカツが乗せられているため、かなり贅沢な気分になる。その上、満足感も高く美味い。個人的に言えば普通のカツ丼より、こっちの方が好きかもしれない。普通のも悪くないけど、贅沢にカツを食べられるカツ丼……思ったより贅沢でいいね。
最後に麻婆豆腐卵とじ丼……ちょっと意外だったのだが、美味かった。結構辛め濃い味付けなのだが、卵のおかげでまろやかになっており、全体がマッチしているのが良かった。
日本ではやるか分からないが、この食べ方はありなんじゃないかな?
サラダは盛り付けやドレッシングの関係で、短時間で大量に出すことには向いていないということで、準備されなかったがその代わりに準備された、具沢山豚汁は栄養バランス的にありだな。
キュウリとツナの無限サラダとかあったら、良い感じな気がするのだが、キュウリは手間がかかるから駄目みたいだな。なら、水菜とツナはどうか聞くと、検討してみるとのことだ。後は、コールスローとかなら一気に作れると思うけど、駄目なのかね?
ポテトサラダは、栄養面を考えると微妙だと言われたので、ちょっと寂しかった。
大量に作れるサラダって思ったより多くなさそうだな。スライサーを業務仕様にすれば、キャベツの千切りを自動で大量に作れるけどね。
そんな事言ったら、食後にブラウニーに捕まり、どういうことか説明するまで解放してもらえなかった。そのせいで帰るのが遅れてしまい、待っていたシンラがプンスカ怒っていた。
自動スライサーは……試作品をバザールたちにお願いして、明日の朝までに作ってもらうことになった。
バザールと綾乃は乗り気じゃなかったが、ブラウニーたちと話している時にスカーレットが参戦して、問答無用で作ることが決定した。シルキーパイセン! パねえっす!
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