2187話 意外な一面
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ガッツリとビールを飲んだためか、3人の手は少し止まっている。枝豆が無くなると追加で枝豆を頼むが、アルコールの摂取量はかなり減っている。開始1時間で2リットル近く飲めば、そりゃ手の進みも遅くなるわな。
3人とも、一般人に比べればレベルも高く、肉体の強度も高い。必然的に一般人よりは食べるようになるのだが、それでもこのビールの量は多かったのだろう。ペースが落ちている。でも、枝豆を食べる手が止まっていないのは、面白いな。
唐揚げとかだと、ついつい手が伸びるという訳ではなく、1個だとしてもガッツリとした食事になるのだが、枝豆だと何故か手が伸びてしまうのだ。
それと同じで、ナッツ系もついつい手が伸びてしまうな。柿の種とピーナッツも、危険な存在だと思う。
歳の差もあるのだろうが、グリエルたち3人の話題は、後任についての話が多い。ゼニスは、息子たちが成長しているので、特に困っている様子はなさそうだ。そういう意味では、グリエルたちも息子たちの成長は著しいし、もう少し勉強すれば任せられるくらいには実力もあるようだ。
だが、自分の後任というよりは、組織としての後任が少なすぎるという感じだな。息子たちを繰り上げたとすると、そこを埋める後任が少ないという感じだ。女傑たちは、子どもができて無理に上の立場には行きたくないらしい。
あの2人なら、グリエルたちの後任を任せるが、本人たちが望んでいないので無理に役職に就けるわけにはいかない。
仕事一辺倒だったあの2人が、今じゃ旦那さんが中心の生活をしていること自体、庁舎ではビックリする話らしいな。がっつり働いていた時は、上を目指すキャリアウーマンみたいだったのに、今じゃ年下の旦那をたてて、しっかりと手綱を握っているみたいだ。
中には、子どもを産んですぐに戻ってくる女傑もいるが、お金に困っていないとなると、子どもの世話を見ようとする女性が多いみたいだ。中には男性が主夫をしていることもあるみたいだが、圧倒的に女性が多いみたいだな。
共働きも問題ないように、託児所もきちんと作っているけど、余裕があると自分で育てたくなるらしい。
俺は育児に参加したくても、妻たちから止められ限定的にしか携われてないんだよね。この差はどこから生まれるのやら。
枝豆と柿ピーをポリポリと食べながら、また他愛のない話を始める。
酔いがいい感じに回って来て、適度に小腹が空いたためか、ビールに合うおつまみの話になった。
3人は食べたいモノを言っているのか、手羽先、唐揚げ、焼き鳥、餃子、角煮、叉焼、味付け卵……等々、味の濃い物を中心に言い始めたのだ。1人1個じゃないのか! というツッコミは聞き入れてもらえないだろう。
このままいくと、このテーブルがおつまみだらけになり、食べきれなくなる恐れがあった。ブラウニーたちに目配せをして、注文が入ったら一口で食べられる小さなものを人数分出すようにお願いする。
あまりビールが好きじゃない俺に、ビールに合うおつまみを聞くのは間違っていると思うけど、酔っ払いたちには通用しない。ここでウーロン茶を頼みたいところなのだが、馬鹿どもがいるのでウーロンハイを注文する。アルコール抜きで……
こういう時の合図を決めているので、ブラウニーたちも呼び方はウーロンハイで統一してくれている。できるメイドは違うぜ!
ビールとウーロン茶、まったく違うが苦みのある飲み物というくくりで考えて、手羽先と唐揚げが上位に入ってくるな。手羽先は煮つけではなく、揚げたタイプの名古屋名物の方だ。
グリエルは唐揚げ、ガリアは餃子、ゼニスは叉焼ときれいに分かれたな。ここに俺の票で唐揚げに入るから、唐揚げの価値かと思えば、グリエルが焼き鳥も捨てがたい! ゼニスも角煮が! とか言い始め、更にはガリアが豚キムチ! と言い始め、収拾がつかなくなる。
そして思った通り、食べ比べだ! と言い始めたので、複数の区切りのある皿に、ちょっとずつ盛り合わせのような形で、話に出た食べ物が乗せられている。量が少ないと言っていたが、ブラウニーの睨みつけで鎮静化する。
それから食べ比べが始まるが……どれもこれも、ブラウニーたちの作る料理は美味い。
どれもこれも美味しいんだけど、一つひとつの量が少ないから、少し満足感が足りなかったりする。全部食べれば同じような満腹感を味わえるのだが、別の料理で少量ずつだとなんだか違う気がする。
人によって意見が違うだろうから、個人の見解ではあるが、ちょっと物足りないんだよな。居酒屋のお通しで好物が出てきた時みたいな感覚だろうか。もっと食べたい! って感じになるんよな。
グリエルたち3人は、違う料理が食べれて嬉しい! という感じがあふれ出しているので、俺とは違うんだろうな。それに、先ほどまで言い争っていたはずなのに、今では仲良くお酒を飲んでいる。
酔っ払いの行動は良く分からんが、本質が見えると思っているので、こいつらは本来は言い争いをしたかったのではなく、自分の好みの物を食べてもらいたかったのではないだろうか? 色々発言していくうちに引けなくなり、それが言い争いに発展してしまったのだと思う。
今まで知らなかったのだが、この3人には同じ趣味があったらしい。
以前、妻たちの誰かにお願いされて召喚したゲームなのだが、簡単に言えば街を作っていくゲームだな。DPでこの世界にカスタマイズされたシステムを使って、3人で競い合うそうだ。
リアルでもゲームの中でも、街作りをしている3人に少しビックリしている。
特に教えていないはずの、縛りプレイもしているようで、誰が一番いいスコアを出せるか勝負していることもあるそうだ。
集まって会話をしながら遊ぶために、新しく家まで準備して、週末に集まったりしているらしい。俺が考えている以上に、タフなオッサンたちである。
ゲームにかまけていると、奥さんに怒られるので新しく作った家には、奥さんたちの意見も取り入れて色々な設備を整えているらしい。後で知ったが、妻たちもそこに何度かお邪魔したことがあるんだとさ。
奥さんたちが強くなったのは、その家の地下にダンジョンを作って、そこで鍛えているかららしい。
なるほど! と思い、今までの話が繋がるのだった。
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