2184話 子どもたちと一緒に
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説得も終わり昼食の時間になった。
ミーシャたちは俺に近付いてくるが、治療師の子どもたちは近付いてこなかった。ウルは片づけをしていたため遅れてきたが、俺の周りには自分の子どもたちだけだ。
普通でも知り合いのお父さんの近くに行くことなんてほとんどないだろうが、俺は一番偉い人間だから、なおさら近付いてくる子どもたちは少ない。気軽に声をかけてくる子どもたちは、ディストピアの子たちだけだろう。
それも、従魔たちのついでに俺に声をかける感じだ。従魔たちに嫉妬をしてしまうが、それだけ可愛いから仕方がないともいえる。一番人気がニコって言うのも面白い話だけどな。
ウルのことを褒めながら食堂へ向かうと、ミーシャたちがズルいと騒ぎ出したが、母親たちに何もしていないのに褒めてもらうのはおかしいと諭され、今度何かあった時にほめてもらおうと説得された。それとは別に、頭を撫でてほしいといわれたので、3人の頭も撫でてあげた。
食堂では外で遊んでいた子たちが、ブラウニーたちの指示に従って準備をしていた。東屋で食べるのかと思ったが、違うみたいだな。椅子を並べたり机を拭いたり、食事前の準備を頑張っている。
年上の子たちも混ざって、準備の速度は加速した。
今日の昼食は、どうやら天丼のようだな。好きな具材を注文して、それをご飯の上に乗せタレをかける。別の取り皿で天ぷらだけを注文するのもアリらしい。
俺の中で天丼と言えば、かき揚げがジャスティス! アナゴとイカは別皿でよろ! 野菜は……かぼちゃ、レンコン、アスパラ、シイタケ、ゴボウあたりでよろしく! 他は、おまかせで!
俺が一番初めに注文したのは、やはりトップだからみたいだな。これが身内だけだったら、こんなことは必要ないのだが、今日は食事開始前に俺が来ているから、序列順ということらしい。
次は妻たちかと思ったら、始めだけ序列順でその後は自由みたいだな。
それは妻たちが子どもたちに早く食べさせるべきだと判断したから、先に行くように促したらしい。なら俺も! と思ったが、そうはいかないのが俺の立場なんだってさ。良く分からん。
先に食べるのは何か嫌だったので、子どもたちの半数位が食べ始めたあたりで天丼に手を伸ばす。あったかホカホカのご飯に、ごはんの上を覆う巨大なかき揚げと甘めのタレ。
まずはかき揚げにかぶりつく。周りはサクサクで中はシャキシャキ、俺の一番大好きな玉ねぎ中心のかき揚げだ。今度はかき揚げを少し崩しながら、ごはんと一緒にかき込む。
子どもたちも夢中になって天丼を食べている。妻たちも食べ始めているな。
シンラたちは……さすがに丼の物は狙わないか。3人仲良く、モリモリと天丼を食べている。
注文していた天ぷらの方も出てきた。アツアツで食べたいので、順次持って来てもらうようにお願いしている。ブラウニーたちの判断なので、何が出てくるのかは俺にも分からない。
何やら大きなものが……これは、アナゴですな。だから時間がかかったのだろう。そして、天丼のたれがたっぷりかけられている。俺は、お寿司でもアナゴが過ぎで、あの甘辛ダレが好きなのだ。
口いっぱいに頬張って、幸せを堪能する。ウナギは、独特の風味が嫌いだという人もいるが、アナゴはタンパクなのでそういった人は少ない。どちらも濃いタレなのだが、違いがあって面白い食材たちだな。
ウナギも好きだけど、うな重よりはひつまぶし派である。
そんなことはどうでもいいか。
続けて出てきたのは、イカだった。しっかりと食べやすく包丁が入れてあり、これなら子どもたちも咀嚼で疲れることも無いだろう。
包丁を入れるで思い出したのだが、みんなは知っているだろうか?
焼き肉店で、しっかりとお肉の処理をしているところは、食べる人の事も考えて隠し包丁を入れているらしい。特にかみちぎりにくい部位に関しては、咀嚼の回数を減らすために、工夫をしているのだ。本来は少し硬い部位でも、隠し包丁を入れることで食べやすくなり、美味しく感じるのだそうだ。
見えないところで努力をしているお店は、本当にいいお店だろう。
俺の周りでは、状態を維持する保管系のアイテムが多いので、気にすることは無いのだが、本来肉は痛みが早いものである。特に内臓系と呼ばれるものは、すぐに痛んでしまう。肉の保存の仕方が悪くても、すぐに腐ってしまうのだ。
多少腐っても焼けば食べれることは食べられるが、飲食店としては褒められた行為ではない。
特に少しでも変色したものを出す店は、管理のしっかりできていない店だと、お肉のプロフェッショナルが言っていたな。痛みやすい部位は、注文が入ってから切るって言っていた。
こういう所に手を抜かないブラウニーたちの仕事ぶり、本当に頭が上がらないな。
特にイカは、加工の仕方や調理の仕方を間違えると、ゴムみたいに硬くなったりするから注意が必要だったりする。それをここまで食べやすく調理してくれているのだ。本当に感謝だな。
食べにくいものは今回ほとんどないので、あまり実感はわかないだろう。子どもたちも、ブラウニーたちの努力を知らないだろうし、妻たちの中でも気付いているのは一部だろう。
次々に運ばれてくる天ぷらを食べながら、天丼もかき込んでいく。
そういえば、最近日本で流行ってきているジャンルにVTuberというジャンルがあって、そこで団長と呼ばれている人が、牛丼は飲み物です! というセリフを思い出した。丼繋がりだが、牛丼には無限の可能性がある! とか熱弁している動画もあったっけな。
そんなことを思い出したら、なんだかおかしくなってしまった。
俺がいろんなものを注文しているのが気になった、シンラたちと同じグループの年下組の女の子から質問をされた。
色々食べたいけど、何を頼んでいいか分からない。という物だった。
好みを聞いてブラウニーたちに任せようかと思ったけど、他の子たちも気になっているみたいで、耳を傾けていたので、1つ1つ説明してあげることにした。ブラウニーたちの協力も得て、子どもたちは自分たちの食べたいものを注文できるようになった。
そもそも、こういう風に色々選べること自体が希少だから、経験したとしても身になるか分からないが、食事は美味しく食べてもらいたいので、頑張って説明した。
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