2181話 説教
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オヤツが終わると、ウルたちは家の方へ戻っていく。治療師たちの子どももシンラと同じくらいの子たちを残して、家へ戻っていった。残った幼稚園児くらいの子どもたちは、俺が準備したエアーベッドの上で、俺と一緒にお休みタイムだ。
この子たちも俺の事を様付けして呼ぶが、行動は幼い子たちのそれなので、こうやって一緒に寝ることも気にせずに寝転がってくれるので、ちょっとだけ嬉しい。
これがウルたちについていった子たちであれば、そんなことは無かっただろう。まぁ、普通に考えて小学生になっていれば、赤の他人で親と同じくらいの年齢の人と、寝るなんてことは普通ないよな。親戚だったとしても、一緒になることなんてまずありえないし。
でもここでは、保育園で昼食の後のお昼寝の時間みたいな感じで、一緒に寝れるみたいだな。俺が小さい頃はお昼寝の時間ってあったけど、今でもお昼寝の時間ってあるのかね?
どうでもいい事を考えながら、左右をしっかりと固められているシンラを見る。眉間にしわが寄ってるけど、いつもの事だな。この子たちはいつになったら、シンラから離れるのかね? 重度のブラコンになって、ずっと離れないなんてことは無いよな?
ふとそんなことを考えると、シンラがぶるりと震えて目を覚まし、辺りをキョロキョロとする。それにつられてプラムとシオンも起きるが、何もないと分かると再び眠りについた。
俺も寝よ。なんか子どもたちを見ていたら、眠気が襲ってきたので、ブラウニーたちに適当な時間になったら起こしてくれるようにお願いする。
お腹の辺りを叩かれる感触で目が覚める。顔じゃないけどデジャヴを感じるな。頭を起こしてみると、シンラたちが俺のお腹の辺りを叩いていた。この子たちは、俺を起こすのに叩け! と教えられているのかね?
時間を確認してみると30分程経っていたようで、俺はグッスリと寝ていたようだ。一緒に寝ていた子たちは既に起きており、柔らかい芝生の上で追いかけっこをして遊んでいる。
芝生の生えている土も柔らかくしてあるので、転んでも大きな怪我をすることも無いだろう。少し固まった土はあるが、小石は魔法で細かくしているので、足を捻ったりすることはあっても問題ないだろう。
そんな様子をうつぶせになりながら見ていると、シンラが俺の背中に乗ってきた。俺の髪を掴んで、何やら得意気に鼻を鳴らしている気がする。その後、2つの重さが加わったので、プラムとシオンも俺の背中に乗ってきたのだと思う。
3人で体を上下してくるため、揺れて少し気持ち悪い。どかそうと思い体を左右に揺らしてみるが、スライムたちに乗って鍛えられているのか、落ちることなく俺の背中の上をキープしている……
無駄に身体操作能力が高くなってるな……こうなれば、体を回転させて背中を地面につければ、この子たちも落ちるだろう。そう思い回転すると、見事にコロンとエアーベットに落ちた。
シンラは何か楽しそうにしているが、プラムとシオンがキャンキャンと何か言っている。ブラウニーそろそろこの子たちに注意してくれ。俺が注意してもあまり効果がないから頼むよ。
一応親なのだが、この子たちの教育にはあまり効果がない。この子たちの中で、俺の立ち位置がそんなに高くないのだ。飼い犬によくあるあるの、よく世話をしてくれる母親が一番偉くて、次に世話をしてくれる子どもたち、その下に自分がいて、最後にほとんど家にいない父親。
そんな感じでランク付けをしているみたいで、さすがに自分たちの下に俺がいるとは言わないが、そのピラミッドの頂点にいるのがシルキーたちで、次に妻たち、ブラウニーたちの順番だな。だからか、俺が注意してもあまり効果がない。
ということで、任せたぞ。
そう思っていると、ブラウニーたちが飛んできて、自分より大きなシンラたちを抱きかかえて、東屋のコの字の中に連れて行った。どうやって怒るのかと思ったが、怒る気配はなかった。だけどシンラたちにとって、怒られるよりも辛い状況を目にする。
寝る前におやつを食べたから虐待ではないだろうが、この字のテーブルの中では、ブラウニーたちが休憩しており、みんなでお茶やお菓子を楽しんでいた。
ブラウニーたちの休憩時間は交代制ではあるが、俺たちが食事している時に休んでいる者はいないため、俺たちの食事と時間をずらして休憩しているのだ。その1班が今ここで休憩している。
シンラたちに正座をさせるようなことはしていないが、目の前で美味しそうにお菓子を食べていれば、自分たちも欲しくなるのが子どもである。だが、俺にいたずらしたことを怒っているので、俺に謝るまでお預け状態だ。
良く分からないが、この子たちは俺に謝る気は無いらしい。そもそも悪い事をしたと思っていないらしいので、シンラたちにも俺の状況を体験させるみるみたいだ。
それでもブラウニーたちが子どもたちの背中に乗れば、さすがに止めるつもりでいたが、ここで呼ばれたがのスライムの中で制裁をくらっていたスライムたちだ。悪さをしたから仕方がないが、何故こいつらが呼ばれたのだろうか?
何やら言っているが聞き取れなかった。だけど、最後だけ聞き取ることができた。
「……協力するなら、今回の罰を軽くして皆さんに制裁を止めるように言いましょう」
だってさ。こいつらに罰則がどれだけ効果があるか知らんが、スライムたちの動きを見る限り、喜んでいるような気がする。
シンラをうつぶせにして、その上に小さくしたスライムを3体乗せた。そうするとシンラの背中の上で、シンラたちが俺の背中でしていたように、体を上下させ始めた。
嫌がったシンラは体を転がすが、スライムたちはシンラが回転しても、しっかりと上を確保している。プラムとシオンが下りるように言っているが、命令の出どころがブラウニーであるため、スライムたちも必至である。
ブラウニーたちから、プラムとシオンに、
「お嬢様方、あなたたちはお父様にいたずらをしたのです。それはメイドとして見逃すことは出来ません。お父様が怒らないからと言って、何でもしていい訳ではありませんよ。スライムたちに命令を出すのも、その後にイジメるのもダメですよ」
笑顔の中にキレた目を見せるブラウニーたちに、2人は首を縦に振っている。
ブラウニーたちには、嫌な役目を押し付けているから、今度何かお礼をしよう。
「シンラお坊ちゃま。人の上で揺れたら、下の人は凄い不快な思いをしますよね? 自分が嫌なことは、相手にやってはいけません。だからと言って、自分がされてもいいと思うことを、強要するのもいけませんよ」
撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ、というアニメの名言があるが、撃たれてもいいと思っているからと言って、むやみやたらに何をしていい訳でもないということを伝えたいようだ。
初めは難しい言葉を使っていたが、次第に優しい言葉になり、子どもたちにも分かりやすい言葉になっていた。
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