2180話 暇だと色々考えてしまう
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ブラウニーを引連れてきたアマレロに、こっぴどく注意をされたが、最終的に納得してもらえた俺は、ブラウニーたちが準備してくれたミルクティーを口に運ぶ。お願いした通りに甘い。でも、いつもと違う気がする。美味しいけど違う。
「アマレロ、いつも飲んでいるのと違う気がするけど、何か変えたのか? 美味しいんだけど、いつもと違うからビックリしたんだが」
「ご主人様の舌は、私たちが想像している以上に、味覚をしっかりと感じられていますね。今回は、紅茶もミルクも変えていないです。変えたのは、甘味となる物ですね。砂糖やハチミツを使ってないんですよ」
ん? その2つを使わずにここまで甘くなるのか? 新しい砂糖とかそういう事か?
「精製した砂糖とかではないです。前に作り方を教えていただき、みんなで作った甘味料ですよ。ですが、甘みと旨味を引き出すために、少し時間がかかってしまいました」
作った? 作れる甘味料……何かあったっけ?
「お忘れかもしれないですが、麦芽糖ですよ」
麦芽とデンプンを煮て作るあれか。それがここまで美味しいのか? 前に食べた時は、美味しいは美味しいけど、紅茶に合う感じじゃなかった気がするんだけどな。
「麦芽糖自体の作り方は変えてませんよ。デンプンを取り出す芋と、不純物を追加したことでこの味が出てるんです。ただの麦芽糖だけでも、料理に問題なく使えますが、研究したこちらの麦芽糖の方が、色々なモノに合うんですよね。物によっては、普通のやつの方がいいものもあるのですけどね」
甘味料も色々あるから、最適な物が料理によって変わるのは納得できる。もっと言えば、砂糖で言えば上白糖と三温糖が分かりやすい違いだろう。前者は精製して白くしている。雑味をとったものだ。それに対して後者は、雑味が含まれるが深い味わいになる物だ。
他にも、ハチミツは代表的なものだろう。ハチミツを作っている場所や花の種類で、まったく風味が変わるのだ。同じ甘みだったとしても、その風味が違うとまったく別のものに感じられる。ハチミツとはそういった不思議な甘味なのだ。
じゃぁ、クイーンハニービーの王蜜はどうなのか? 作り方は良く分かっていないが、ハニービーたちが集めてきた物の中で上質な物を女王蜂が自ら加工するらしい。ミツバチとは、微妙に生態系が違うようだ。
最初は、ミツバチと同じで女王蜂が食べる物だと思っていたが、ローヤルゼリーは甘くないので、早い段階で違うものだと分かっていたが、王蜜については本当に良く分からなかったのだ。
普通のハチミツと味が違うのは、女王蜂が加工する過程になんかあるのだろうと考えている。
話はさておき、何故雑味があると美味しく感じるのか。
アクセントになる、深みが出る等、色々な意見があるがその中に、人間の舌は均一な味を感じるより、不均一な味を感じる方が美味しく感じるという物がある。
あくまで主観的な話になってしまうが、卵かけご飯をしっかりと混ぜるより、中途半端に醤油などを混ぜて口に入れる方が美味しく感じないだろうか? 個人的な話をすると、卵とご飯はしっかり混ぜて、醤油をまばらにかけて食べるのが好きだ。
卵かけご飯の全体をしっかり混ぜるのであれば、そこに少しふりかけ等をかけても美味しく感じるものが多いと思う。卵かけご飯には納豆が一番合うと思っている俺なので、人とは味覚がズレているかもしれないけどな。
それはさておき、その雑味が美味しく感じる秘訣なのだとブラウニーは言っている。
実際に美味しいので文句は無いが、デンプンに雑味を入れるってどうやったのかが気になるところである。完全に精製するわけではなく、手を抜いて精製しているってことかな?
それにしてもミルクティーが美味い。特に今日のミルクティーは、紅茶とミルクを合わせたモノではなく、ミルクで紅茶を煮出しているので、ミルクのコクも強い。
俺が作った東屋の下に、いつの間にかライブキッチンでもするのか? と思えるような、豪華なキッチンが出来上がっている。鉄板系の料理は迫力がある物も多いので、子どもたちに人気だったりするんだよね。今日の食事はここで作ったりするんかね?
少し寝転がりたくなったので、エアーベッドを敷き詰めて寝転がった。適度な弾力がまた気持ちいんだよな。
寝転がりながらブッ君で本を読んでいると、何やらにぎやかな声が聞こえてきた。ウルとミーシャたちを先頭に、治療師たちの子どもも一緒にここへ向かってきているようだ。
子どもたちにはとーたんと呼ばれ、他の子どもたちにはシュウ様と呼ばれる。かしこまる必要は無いと思うのだが、治療院付きの勉強を学べるところで、俺の呼び方まで教えているのだから修正するわけにもいかず、呼びたいように呼ばせている。
母親たちにも、様付けをするように教えられているようで、子どもたちに様付けされるのはむずがゆいが、我慢するしかなかった。
ミリーたちに言ったら笑われたけど、いつ奴隷に落ちてもおかしくないし、死んでもおかしくない状況から救ってもらった人間としては、それくらいは当たり前だろうとのことだ。ヤリ方を変えれば、宗教だって簡単に作れるんじゃないかだってさ。
誰がそんな面倒なことするもんかね。
その子どもたちもここに来たのは、何かあるのだろうか? 俺がゴロゴロしているのには、誰もツッコまないのはよく訓練されている証拠だろうか?
誰かが、領主は領民を守るためにお金を集め政をする。領民は領主が領地内で自由にふるまうことができる。とかいうことを言っていたっけ? 自由にふるまっていいとは言うが、責務を果たさずに金だけ集めて、領民を虐げているバカな領主は、領主失格だとか言ってたんだよな。
だから俺は、休みの日はぐーたらする姿を普通に見せている。初めはグリエルたちに怒られたけど、時と場合を考えれば見なかったことにしてくれるようになった。
今いる東屋は、その条件をクリアしているので、こういう風にダラダラできるというものである。
ウルやミーシャたちは来なかったが、シンラが来たのでそれにつられてプラムとシオンも近くに来ている。
どうやらオヤツを作るらしく、準備された鉄板に火が入れられている。シンラたちには専用の机が準備され、他の子たちは椅子に座って各々楽しそうに話している。
何を作るのかと思ったら、クレープを作るみたいだ。街中で歩きながら食べるタイプの物ではなく、フォークとナイフで食べるような、少しオシャレなクレープだ。果物も一緒に焼いたりして、香り付けのリキュールのような物もまで使っている。
ガッツリ食べるわけではないので、このくらいがちょうどいいな。
っと、朝は取り合いしていなかったのに、おやつは取り合いするんかい!
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