2175話 弱っていくシュウ
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子どもたちに無視をされた俺は、傷心を癒すために近くに来たダマを捕まえて、お腹に顔を埋めて猫吸いをする。虎だけど猫ってことにして、じたばたしているダマに我慢してもらってめっちゃ嗅ぎまくった。前にもあった気がするけど、我慢してくれな。
半分くらい進んだところで、ミーシャたちがダマに抱き着いている俺を見て、私も! と3人が集まってきた。これも、俺じゃなくダマに集まっていたため、俺の心はさらに傷付いた。こうなりゃやけ食いだ!
拠点が見えてくると……賑やかな声が聞こえてきた。治療師の子どもたちが、外に出ているようだな。こんな時間に外にいるのは珍しいと思ったが、そこには母親たちもおり、カレー祭りが開かれていた。
ここでは、カレーだけでなく窯も用意されており、ピザの他にも窯を使った料理がいくつも準備されているようだ。兵士たちには悪いとは思うが、これもトップの権限ということで何の問題も無い。
っと、遅くなったからシンラたちは食事を食べたと思っていたが、少し空腹を満たすために食べただけで、しっかりとは食べていなかったらしい。下の子3人はいつものように、密着するくらい近くに座り、両手にスプーンとフォークを持っている。
いつもと違ったのは椅子の席ではなく、畳が置かれておりそこに座っての食事となった。
ミーシャたちは大人用の席でも問題ないのだが、シンラたちはまだ体が小さいので普通の机を使おうとすると、低い椅子に座ったり底上げしないといけないのだが、それは気に入らないようだったので、下の子たち用に背の低い机を準備して、そこに座らせていた。
これはこれで可愛い光景なのだが、一緒の机じゃないからかシンラは不服な表情をしている。こいつも本当に意味が分からんよな。両サイドに姉妹がいて大変なのは理解できるが、それ以外の行動が俺には良く分かっていない。奇行がおおすぎるだろ。
まだ傷心している俺は、欲望を叶えるために、カレーのトッピングにトンカツ、エビフライ、チキンカツ、唐揚げを乗せてもらい、お米よりトッピングの方が量が多くなるというカオスなカレーライスを作ってもらった。
ブラウニーに野菜も食べろと小言を言われたので、野菜の盛り合わせも頼んでおいた。ほんとはカレーに乗せたかったのだが、物理的に無理だったので別の皿で持って来てもらい、そこにカレーをかけてもらっている。
カレーに合う野菜にドレッシングのようにして、カレーのルーがかけられている。これも俺が注文したんだけどね。賛否両論あると思うが、これはこれで美味いんだぞっと。
変わり種として、キャベツの千切りも別に用意されており、カレーをかけてもらっている。
キャベツの千切りに関しては、カレーの味次第なのだが、ブラウニーたちの日々の研鑽のおかげで、あうカレーを作ってくれている。市販品のカレールーでは美味しくないが、独自に調合されたカレー粉で作られた物をかけると、マジで美味い!
モリモリと食べていると、視線を感じてキョロキョロしてしまう。半数以上の妻と目があい、微笑むような表情で俺の方を見ていたな。微笑ましい光景でも見ているかのような表情だった。
そんな表情をされる覚えはなかったのだが、半数以上がそんな表情をすれば、俺に原因があることは分かった。
「シュウ君、あなたの今の姿とシンちゃんの今の姿、まるで一緒よ。親子だなって分かるような行動をして、温かな目で見てるのよ」
前に座っていたミリーが、俺に教えてくれた。
シンラの方を見ると、俺みたいにブラウニーたちが作った山もりのカレーを、一生懸命モリモリと食べていたのだ。俺はシンラみたいに口の周りは汚していないが、あの食べっぷりは俺にも覚えがある。なにせ自分の事だからな。
自分の食べている姿を鏡で見たことは無いが、自分の取った行動でどう見えているかは分かるものだ。そのイメージしているモノとシンラの行動が、ほぼ一致しているのだから、苦笑してしまった。
あれ? いつもみたいにプラムとシオンとの攻防がないな。さすがに食べているカレーを狙うことはしないか……あの子たちは、お肉とかお魚などは狙うのに、野菜は全く狙わないんだよな。気持ちはわかるけど、シンラの好きな物だけ狙うのはやめたれよ。
量にすれば3人前……1キログラムは食べただろうか? 野菜が多かったので、重さから考えるよりお腹に溜まった気がするが、まだまだ食べ足りない。次に頼むのはもう決まっているので、サクッと注文をする。
この前の祭りでも食べた、チキンカレーとチーズナンだ。もちろんおかわりのプレーンのナンもタイミングを見て持って来てもらう予定だ。
プレーンのナンは、二等辺三角形のような形をしているのだが、チーズナンは丸いんだよな……プレーンの方は窯に張り付ける時の道具や何やらで、ああいう形にするのが焼きやすいらしいのだが、何でチーズの方は丸なのだろうか?
気になったので、ブラウニーに聞いてみたのだが、本や動画などでそう作っているからこの形にしている! と言われれば、そうなんだとしか言えなかった。
別に形にこだわる必要はないらしいのだが、やはりイメージというものがあるので、形が違うと気分が変わってくるだろうと言われれば、その通りかもしれない。
スイカを食べて違う果物の食感がすれば、頭がバグるのと一緒で、料理には一定の形というものが存在しており、それにそった見た目の方が美味しく見えたり、認識できたりするものだから、大きく形を変えたりはしないらしい。
1杯目のカレーがヘビーだったので、プレーンのナンを食べたあたりで、だいぶ満足度が高くなっていた。そこで止めても良かったのだが、今日はやけ食いするつもりだったので、追加でタンドリーチキンを注文した。
食べやすいサイズで出てきたのだが、その数20個ほど。重さにして600グラムほどだろうか?
さすがに食べれないかな? とか思ったが、思うよりすんなりと全部食べれてしまった。
ん? 食事に集中していて気が付かなかったが、みんなほとんど食べ終わっており、酒のみ3人以外は次の行動に移っていた。取り残されたかのようにポツンと座っており、少し寂しかった。また傷心してしまう……
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