2173話 久々の登場
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軽傷の集団に回復魔法を使い、全員の治療を終わらせると……そのグループのメンバー全員が、俺たちにお礼を言ってから、走って行ってしまった。回復魔法で、傷だけではなく体力もある程度回復したためか、鬼気迫る勢いで走っていった。
この時は知る由もなかったが、カレー祭りのようなときは、カレーなどは際限なく提供されるのだが、トッピングに関しては有限なのだそうだ。所謂、早い者勝ちということみたいで、全力で走っていったグループは、置いていった恨みを晴らすべく先に戻ることを考えたらしい。
恨みを晴らすといっても、喧嘩などをするわけではなく、トッピングを大量に乗せたカレーを準備するのだとか。それを、置いていった自分たち以外の兵士たちに対して、見せびらかすようにして食べるのだとか……
俺たちが戻った後に、子どもか! とツッコんでしまうような一幕があったが、よくある話らしいので悔しがりながら、そのおかずを見ながらカレーを食べるのが、争いに負けた兵士たちの一連の流れらしい。
そんなくだらないことしている暇があるのなら、マジで訓練を追加してやろうとも思ったが、レイリーから止められてしまったので、俺からの追加は無くなったがレイリーの訓練は実施されるようだ。
一種の息抜きではあるようで、兵士たちもそれを分かっているから、本気の喧嘩を起こすようなことは無くなっているんだとか。新兵になる前の訓練生の時に、そういういざこざで上の人間にコテンパンに叩きのめされているので、懲りているのだろうといっていた。
思っている以上にハードな訓練生の時代があるんだなって思ったね。
俺たちは、遅れても別にトッピングを用意してもらえるので、遅れている部隊の治療を続けながら戻ることになった。
特に俺たちの食事は、シルキーが中心になって出来立てを準備してくれるから、一番おいしい瞬間で食べれるのだ。そういう風に兵士たちに言ったら、恨まれるだろうか?
「恨まれることは無いわよ。シュウ君がトップで、その恩恵でブラウニーたちが監修している食事を食べられるのだから、喜ぶことはあっても恨まれることは無いわ」
ミリーが横に並んで、俺の考えを読んだ……なぜバレる?
その他にも、他の街ならここまで手の込んだものは食べれないらしい。上手いものが食べたければ、自分たちで食堂や居酒屋に行って食べるしかないんだとさ。カレーだけでも、他に比べれば天と地ほどの差があるので、新兵以上になった兵士たち同士の喧嘩は少ないんだとか。
うむ、確かに飯にはこだわっている。栄養価もあるが、やはり美味しい食事というものは、それだけで幸福を感じられるものだからな。主食になる物は、制限をしないことになっている。だから、ライガのような大飯ぐらいでも、問題なく限界まで食べることができるようになっている。
あいつに関しては例外なんだけど、体が大きくて沢山食う奴は大勢いるからな。米やパンは、いつも余ってもいいように大量に準備させている。それと主食になるおかずもいつも余る量を作っている。
これが地球なら廃棄されるが、ここは異世界! 収納のアイテムで時間を止め、ディストピアやゴーストタウン以外なら、スラム街の炊き出しに使われたり、兵士たちの夜食に使われたりする。
おかずのメインは、ごはんとの相性がいいものを作っているので、簡単に丼物にして食べられるものが多く作られているんだよね。炊き出しの際も、まとめられるので、主食と汁物の2つで栄養バランスのいいものが提供できるということだ。
初めはこうではなかったが、効率を考えていくうちにこういう形にたどり着いたのだとか。
俺たちが戻り始めてから1時間ほどで、やっと駐屯地に到着した。俺たちが殿だったようで、到着するころには、駐屯地のあちこちで食事の際のバカ騒ぎが聞こえてきた。
これが他の街なら、俺と同等の立場の領主や王がキレて、兵士たちに罰則を与える! みたいなことを言う奴がいるんだろうな。バカらしい話だ。自分たちは贅沢をして、その煽りを受けて兵士や騎士たちの正義は歪み、汚職が蔓延。領民たちを守る立場の人間が民を虐げる。
負の連鎖が続く……
帝国と王国の領主……貴族の成り立ちや法律を調べたが、最上位にあるのが民を守ることだと明記されているのに、それを守ろうとしないんだよな。国のトップが守らないんだから、その下も守るわけないよな。
それに詳しく調べないと分からないことだってあるが、調べる人間が汚れており、金で解決できるような状況では、法律なんて守られないんだよな。判断する人間が都合のいいように解釈し、民を苦しませる。自分たちは贅沢をしているのに、民には苦を強いる……
日本でも同じような事があったっけ?
政治家たちは、自分たちの不利になることはほとんどしない。利益になるから、新しい仕組みを作る。そもそも、平均の給料より多くもらっているのに、天下りをしてさらに多くの多くのお金をもらっている。
国に尽くしてきたのだから、甘い蜜を吸ってもいい……そんな腐った奴らが上にいるんだよな。
考えるだけでも鬱陶しくなってくる。
はぁ、この世界に来てから、よく考えが逸れるようになった気がするけど……転移の影響があったりするんかね?
『久々に私に対する質問が来たy「無いから帰れ!」……相変わらず辛辣な返しね。一応言っておくけど、転移によって変わったわけじゃないわよ。あんたのレベルが上がって知力が高くなったことによる弊害ね。ステータスの知力って、魔法の威力だけではなく、思考や学習速度にも多少影響するみたいなのよ。
あなたにも覚えがあると思うけど、地球にいたときより物覚えが良くなったんじゃない? 覚えたいと思う物の事柄を、すんなりと覚えられるようになっているんじゃないかしら?』
そう言われて、色々考えてみる。確かに、覚えたいモノの事柄については、かなり早い学習速度だった気がする。でもさ、よく忘れることもあるんだけど、それはなんでなんだ?
『そんなの当たり前じゃない。どんな天才と言われる人間だって、忘れることはあるわ。忘れても問題ないようなことだから忘れるの。本当に大切なことは、忘れない。すぐに思い出せるもんなのよ。もし忘れない人間がいるとすれば、完全記憶能力の持ち主だけかもね。
ああいった特殊な力を持っていても、忘れないだけで思い出すのに時間がかかったりすることもあるみたいだしね。完璧じゃないわけよ!』
ってか、何で急に話しかけてきたんだ? 前は……いつか忘れたけど、急にくんじゃねえよ!
『しょうがないじゃない! あなたが行動を起こさないから、こっちは暇なのよ! 後、最近おやつが足りなくなってきたから、こっちに送って!』
それなら俺じゃなくて、妻たちに話せよ!
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