2162話 訓練Part4
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土木組が土魔法を使い、俺たちと防衛組の半分ほどまでの距離を掘り返し、そのまま固め直した。多少起伏はあるだろうが、新しく固めたアスファルトの道路位のクオリティーの地面が出来上がるはずだ。
だけど、予想していた通りかなり高威力の、地雷の魔道具が埋め込まれていたようだ。地面の石も利用し地雷に入れられた鉄屑も、同時に周囲へ飛び散った。そして厄介なことに、俺の知っている地雷とは違い、周囲を炎で包むという、殺意の高い地雷だった。
距離もあったので、こちらに被害は無かったが、土煙と炎とその煙で前方が全く見えなくなった。高台にいるソフィーも確認できていないようだな。目算で10メートルは土煙などが立ち上っているので、5メートルほどの高台では、遠くを見ることは出来ないだろう。
「状況は分かりませんが、魔法と矢で牽制を続けてください」
ピーチからの指示が出たので、俺も攻撃を開始する。
風で吹き飛ばすには少し範囲が広すぎるし、そのまま押し流すと防衛部隊がそのまま隠れてしまうので意味がない。だから牽制で魔法を続けるのは分かるけど、防衛部隊が逃げる可能性もあるけど大丈夫かね?
もし俺が敵の部隊の指揮官なら、時間稼ぎがこの地雷のためなら、まだ半分残っている間に撤退をすると思うけど、ピーチには違う考えがあるのかね?
っと、先ほど防衛部隊の方に押し込めたはずの斥候部隊が、また移動をしておりこちらへ魔法や矢を飛ばしてきた。時間稼ぎだろうが、先ほどとは違い仲間を逃がすための攻撃だろう。
ピーチの指示に従って、前衛部隊が攻撃に対処している。俺はソフィーの使っている高台へ登って、視力を強化して攻撃してきた部隊を見た。
おぉ~マジか。さっきの部隊かと思ったけど、多分これは違うな。というか、斥候部隊じゃなかったわ。勘違いしたな。
斥候部隊ではないと判断した理由は、軍馬に騎乗しており斥候部隊とは装備が違ったからだ。魔法使いと罪使いが騎乗して、こちらを攻撃してきているのだ。
あ~これは、あっちの方がレベルが低いとしても、かなり有利な状況だな。こちらよりも機動力があり、斥候部隊よりも火力が高い。時間稼ぎとしては、かなり厄介な相手だと言わざるを得ない。
馬を操るのに多少神経を割くだろうが、それだけで魔法や弓に集中できるのだから、こちらより有利だな。軍馬もLvが上がっているので、普通の馬より賢くある程度は言葉での指示も理解できるのだ。
一番は、俺たちよりも移動速度が速い事だな。駐屯地にいた軍馬は、俺たちが設定している速度よりかなり早いので、追いつくことは不可能だ。こっちが一方的に攻撃をくらう立場になってしまっている。
偏差射撃をしたところで、ある程度視認して回避可能な距離なので、あの部隊に攻撃するのはほとんど意味がないだろう。
失念してたわ。騎兵って言うと、敵に突っ込んで蹴散らすようなイメージが強かったけど、よく考えたらこの攻撃の仕方を教えたのって、俺やバザールだったわ。
煙が晴れるまではまだ時間がかかるぞ。ピーチはどうするつもりだ? 守りを固めて休憩するのも手かもしれないけど、土煙を利用して一気に近付くのも間違いではないと思う。
煙の中に入れば、ピンポイントによる攻撃は難しくなるので、防御に割く力が少なくて済むんだよな。
「傾注! 魔法組以外は防御に専念! 魔法組は、進行方向に向かって爆発する魔法を使用、土煙などを利用して進攻していきます! 斥候部隊は、防御に参加しながら、近付いてくる敵がいないか注意を払いなさい! では進みます」
現状は一方的な不利だけど、煙などを利用して駐屯地に向かう選択をしたようだ。守りを固めて、進行方向に煙幕を出して進むのね。
地球の戦争でも煙幕を使う戦法があったよな。自分たちの姿を隠して狙い撃ちされにくくして、距離を詰めたり撤退したり、有効的な戦術ではあるな。
ピーチは先ほどまで攻撃に参加していなかったが、今回は魔法を使うようだ。指揮に徹するのかと思ったが、そうではないみたいだな。回復魔法だけでなく、他の系統の魔法もしっかりと訓練しているピーチは、問題なく魔法を使うことができる。
他の妻たちも得手不得手はあるが、近接・中距離・遠距離・攻撃魔法・防御魔法・回復魔法等々、様々な分野を一番そつなくこなすのは、ピーチだろう。ライムは魔法に偏っているし、シュリは近接に偏っている。他の妻たちも、同じ傾向があるが、ピーチだけは回復魔法頂点に他もそつなくこなせる。
そのピーチが何か魔法を使おうとしている……魔力の感じからすると、土だな。ここにきて石礫でも追加するのか? ピーチ1人でもかなりの量を出せると思うが、見えない相手に撃っても魔力の無駄だろう……
あっ! なるほどね。他のメンバーは、防衛部隊に向けて魔法や矢を撃っているけど、ピーチは進む方向の地面に干渉して、残りの地雷を爆破撤去するつもりだな。さっきの土木組の魔法で、半分の距離までは撤去したけど、まだ残り半分はあるからな。
予想通り地面に干渉して地雷を爆破撤去した。その後もう1度土魔法を使い、今度は爆破でデコボコになった地面を平らに仕上げていた。
煙幕で視界も足場も悪い中、敵からの攻撃を防ぎながら進むのは、かなりの危険を伴う。あの煙幕の中に入れば、足元すらまともに見えないだろう。そういう事を考えて、ピーチはなだらかにしたのだろう。
ピーチの指揮で煙幕の中に入っていく。一番先頭は、シュリだな。いつの間にか装備を変えており、物理攻撃防御に特化した装備になっている。
「土木組の皆さんは前後に分かれてください。前方はシュリの後ろについて、地面を5メートルほど掘り、幅は2人分くらいでお願いします。後ろはリリーが殿でその前について、通った後の溝を埋めてください。掘って埋めながら進んでいきます」
なるほどね。塹壕を移動に合わせて作る感じで進んでいくのか。それなら、洞窟タイプでもいいんじゃないかな? 疑問に思ってたので聞いてみた。
「洞窟タイプにすると空気に困るので、天井を開けた形で進む予定です。少し手間はかかりますが、上は魔法を使っていないメンバーが守れば、問題ないでしょう」
あ~空気の事を考えてなかったな。ダンジョンじゃないから、空気の入れ替えは自分でしないと、窒息死してしまうことになるのか。すっかり忘れてたわ。
こうして、俺たちは煙幕に隠れながら、掘っては埋め、前方にまた煙幕を作って進んでいく。
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