2139話 次なる問題
アクセスありがとうございます。
土木組の作った橋は、概ね問題ないな。歩行者保護のためのトンネルを作るくらいだな。作りもしっかりしていたし、問題ないだろう。時間はあるので、歩行者用のトンネルを作っていこう。
段差はあるので、馬車が突っ込むと言った事は難しいはずなので、そこまで壁は厚くする必要はないだろう。土台に使ったレンガをそのまま使う感じで、問題ないと思う。もし壊れても修理しやすいように、統一した規格でよろしく。
積み方を工夫して、格子状にレンガを配置して、外が見えるようにしてみよう。10メートルほど作ってみて、変だったら違うのを考えてみるか。ということで、全員集合。
俺は自分の頭でイメージした事を、簡単に絵にしてみんなと一緒にトンネルを作っていく。ちなみに今は天井は付けていない。レンガだとアーチ状にしないといけないので、外を見せることは困難だと考えて、盾に積むだけを採用してみた。
天井は、何で作ってもいいしな。木の板を張ってもいいし、鉄板でもいいし、天井が塞げれば何でもいいと考えている。見た目の問題もあるので、最後に統一感を出すために苦労するかもしれないけど、初めての試みなので仕方がないだろう。
サクサクとレンガの壁が作られていく。頭1つ分くらいの格子状になっており、単純に積んでいくよりは手間がかかっているが、見た感じは良くできているな。圧迫感は多少あるけど、外が見えるのでトンネルほどはきつくない。
あっ、一応排水できるように地面に近い位置には、穴をあけておいてくれ。言われなきゃ気付けないレベルで中心部分を盛り上げて、外に水が流れるようにする。まぁ馬車より人優先なので、馬車道に水が排水されるのは問題ないだろう。
距離的に数分も歩けばつく距離なので、トイレも必要はないだろう。でも、歩き疲れている人もいるかもしれないので、休憩できるベンチのような物は設置しておくか。
とりあえず、10メートル分は完成した。
「ん~ちょっと窮屈か?」
「上も出入口もあいてるから、判断しにくいわね」
俺の呟きに隣にいたリンドが答えた。
「それもそうか。みんな、作った壁の内側に集まってくれ。ちょっと魔法で囲ってみるから、中から外を覗いてみよう」
外に出たりして壁を確認しているメンバーを中に呼びよせ、俺は魔法を使い天井と出入り口を塞いだ。
周囲が一気に暗くなる。今まで太陽の下にいたので、暗く感じるのは必然的なことだ。さて、どうなんだろうなこれ。予想以上に外は見にくいが、俺的にはそこまで圧迫感は無いかな?
土木組の子たちも、あまり圧迫感を感じていなさそうだな。そもそも、この子たちは地下を掘ったりもしているから、こういう空間にも慣れている。よく考えれば、ダンジョンよりよっぽど明るいな。
「シュウ、ダンジョンよりは明るいと思うけど、普通の人はダンジョンに何て入ったこと無いんだからね。ダンジョンと比べるのはナンセンスよ。でも、この世界にシュウの心配は無いと思うわ。ディストピアやゴーストタウンは明るいですが、他の街は暗いから気にしなくてもいいと思うわ」
リンド的には、問題ないと思っているようだな。そう言えば、この世界に来た時に初めて訪れた街……フレデリクの宿もほとんど明かりが無かったな。ただ、ダンジョンマスターの能力を使う時のボードのような物が、光っていたのであまり気にならなかったというべきか?
そもそも、夜は考え事をしていて、別に明るい必要もなかったから、そこまで気にしてなかったな。
ん~ただ、昼間でもこの暗さとなると……絶対に明かりは必要になってくるよな。埋め込む形で魔道具を設置しないといけないかな?
「明るい日はいいかもしれないけど、暗い日は大変かもしれないわね」
リンドも同じような心配をしているみたいだ。どうしたもんだかね?
「これなら、ヒカリゴケでも使いましょうか? 高い物じゃないけど、生息地が限られてるから採取が面倒なんだけど、シュウなら簡単に召喚できるしね。天井から光を取り込むような構造にすれば、昼も夜も明るい状態にできるわね」
俺にはリンドの言っていることが分からなかったが、ヒカリゴケと言うワードを聞いて、何となく明かりの元になる物だと理解した。
予想通り、ヒカリゴケとは光を発する苔なのだが、俺の想像とは違い浴びた光を蓄え、暗くなると蓄えた光を放出して周囲を明るく照らすというものらしい。
そんなものがあるなら、ディストピアの街灯もそれでよかったんじゃないか? と思ったのだがこのヒカリゴケ、思ったより光は強くないそうだ。
例えの話なのだが、直射日光が当たる場所の光の強さを100としたら、ヒカリゴケが光を放つと20の明るさになる。だけど、ヒカリゴケは100パーセントに近い吸収率で光を吸収するので、20の明るさで吸収した5倍の時間光り続けるのだそうだ。
極端な話なのだが、曇った日の外位の明るさで最大5日間光るらしく、坑道に持って行く光として活用されているんだとか。火を使うと中毒になるのは、経験上解っていたみたいで、魔道具は高価だし維持費も高いから、ドワーフの多いヴローツマインでは、ヒカリゴケが多く使われているらしい。
そう言えば、俺たちは魔道具を使っていたけど、ドワーフの人たちは魔道具も魔法も使っている様子がなかったのに、明かりを確保しているグループもいたな。気にしてなかったけど、あれがヒカリゴケの明かりだったのかね?
最大5日って言うのは、ドワーフたちの研究で分かった事らしい。後、魔法や魔導具で作られた光などでは、光を吸収せず太陽の光だけしか駄目らしい。謎の生態だな。
天井に天窓のような物をつけてヒカリゴケを配置して、少しの時間光を吸収させ、もう一度通路を閉じてみた。
「おぉ、思ったより明るいな。これなら、気にならないかな。もし暗くて歩けないって言うなら、入り口で我慢してもらうしかないかな。たった数分なんだから、それくらい我慢できないなら、明るくなるまで待ってろって感じだな」
「ここまでする必要は無いと思うけど、この明るさでダメって言うなら、この橋を通る必要は無いかな。商人の馬車に同乗でもさせてもらえって話になるわね」
これで、歩道のトンネルについて概要は決まった。
問題は天井をどうするかだな……
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




