2136話 最近食事が豪華
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庁舎での話し合いを終え、今度こそ拠点に戻った。
思ったより話し込んでいたようで、もうすぐお昼の時間になる。お昼を食べたら、土木組の子たちが作った橋を見に行って……今日は終わりかな。橋を見るのにどれくらい時間をかけるか知らないけど、大した時間ではないだろう。
食堂に行くのはまだ早いので、子どもたちの声がする方へ向かってみる。中央にある、今日共有エリアの2階にある遊べるスペースだな。声の数からして、治療師たちの子どもたちも多くいるのだろう。俺の子どもたちだけの時とは、賑やかさが違うな。
中を覗いてみると、いくつかに分かれて何やらしているな。
一番年上のグループ……といっていいのか、6~12歳くらいまでの子どもたちは、ミリーを先生に何か勉強をしているように見える。この子たちの声は聞こえていなかったので、もっと少ないと思っていた。ほぼ子どもが全員ここにいる気がする。
勉強をしているように見えていた年長組は、本当に勉強をしていた。ここからでは、学校に通えないので、ここで勉強を教えているらしい。見守りのブラウニーが教えてくれた。
そういえば、子どもたちのためにゲートを作るの忘れてたな。明日には行けるようにするから、本当にごめんな。子どもたちの死角から、ミリーに謝罪の意を込めて両手を合わせた。
次に目についたのは、保育園に行くくらいの子どもたちが集まって、わちゃわちゃ遊んでいる姿だな。ここにシンラ、プラム、シオンの3人もまじっている。人見知りするタイプではないと思っていたが、まさにその通りだった。
昔は、知らない人が来ると隠れてたりしたが、行動的になってからは、そんな様子なかったからな。
ここのグループは、大体15人くらいだな。もともと子どもに人気の高い、ニコから派生したスライムたちをモニュモニュして遊んでいる……いや、あれは遊びなのだろうか? 色々していることから楽しんでいるのは分かるけど、クッションと戯れている猫みたいな感じだ。
一方的に色々して、戻ってきた反動で後ろに転がって、後ろのスライムに突っ込みそのまままた遊びだす。変な無限ループが完成している。
シンラたちが問題なく馴染めているようで、嬉しい限りである。
そして最後が、赤ちゃんエリアとでもいうべきだろうか? 元気だったらシンラたちのグループに混ざりそうだが、まだまだ体力が無いのか、先ほどまでは遊んでいたが疲れて眠ってしまったようだ。
この子たちにもスライムたちは人気なようで、1人1匹ずつスライムを抱きしめて寝ている。中にはお腹の上に乗せて、食べられているように見えなくもない子がちらほら。ここにいる子たちは、10人くらいかな。
上の子たちが50人くらいに対して、下の子たちが25人ほど…やっぱり苦労しているシングルマザーなので、小さい子たちが少ないみたいだな。長い事働いて安定してきたとは言っても、新しい人を見つけるには至っていない人が大半なので、25人の子たちの母親は、比較的最近治療師になったのかもな。
自分たちだって大変だろうに、よくボランティアでも手伝いたいと言ってきたもんだ。まぁボランティアは一切認める気は無いけど、その覚悟がすごいよな。自分たちと同じ目に合っている人たちを助けたいって……この世界では、無いもんだと思ってたのに。
そんな様子をながめていたら、いつの間にか昼食の時間になっていた。
ミリーが子どもたちに食堂へ移動することを伝えると、歓声が上がりその声で寝ていた子たちも起きたようだ。どうやら、遮音結界を解除したみたいだな。
子どもたちが走らないように廊下へ出ていこうとしたときに見つかってしまい、子どもたちにギューギューにおしくらまんじゅうをされてしまった。
先日は控え気味だったが、子どもたちも親から話を聞いているのか、メチャクチャ感謝されてしまった。不運な母親も救いたかったけど、一番は子どもを救いたかったから、手を差し伸べたんだよね。
全員に差し伸べることだってできたけど、中にはろくでもない奴がいたので、親には悪いとは思ったが、そういうのは子どもを取り上げて孤児院へ入れている。自分は働かないで、5~6歳の子どもに働かせて生活してたクソもいたしな。
そういう奴らは救うに値しないので、子どもだけ救って親は……のたれ死ぬか、必死になって働くかのどっちかだったな。
子どもがいるかいないかで分けていたが、女性は立場的に弱く、乱暴されることに耐えるのが普通になっているところもあった所は、弱者をいったん保護隔離して、立場の強い人間たちの意識改革をして、それでもだめだったら処分した場所もあったな。
いろんな理由で不幸になる子どもたちを助けるところから始まった、商会併設の治療院と孤児院は今、傷付けられた女性たちやその子どもたちのセーフティーネットになっている。
ここにいる子たちは、本当に強いな。それだけ大変な目にあってきたのに、これだけ元気でいられるんだからな。
そんな子どもたちを引き連れて食堂へ向かう。
おや? 食堂の中の雰囲気ががらりと変わっている。うん、俺知ってる。これ、回転寿司。レーンがあり、それがゆっくりと動いている。
俺の子どもたちは知っているから、テンションをあげているが、他の子たちは良く分かっていない。もちろん、今日は休みで一緒にいる母親たちも分かっていない。
とりあえず席に着くように促され、各台やカウンターに写真付きのメニュー表が置かれており、そこから頼む形式となっている。もちろん回転寿司なので、レーンを流れるお寿司もある。
席に着くと、子どもたちが気付いたようで、お刺身がご飯の上に乗ってる! と騒ぎ出した。
生ものは普通食べないのだが、俺の……正確には、ブラウニーたちの食事を食べている人間の大半は、生ものを普通に食べる。とはいっても、ブラウニーたちが調理してくれたものか、安全だと分かっている物だけを食べている。
治療師になる際に、寄生虫の話もしているので、生ものが怖い理由を理解して、対処方法も知っているので、問題なく食べるのだ。
特に、治療師になるような人たちは、食事にも困っていた人たちなので、処理の下手な内臓なども食べないと生きていけない人もいたのだ。そんな人たちからすれば、生の魚なんて気にならないという人もいたな。
普通、忌避感を覚えるけどな。俺だったら、食中毒を起こしたら、その食べ物食えなくなるわ。それでも食べないといけない生活をしていたんだろうな。
よし、子どもたちよ! 好きなだけ食べるのだ! もちろん母親の人たちも食べてね。働いている人には、既に出前でお寿司を届けているみたいだから、気にする必要はないよ。
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