2116話 久々の全員揃っての日課
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和やかにお風呂に入った後、そのままみんなで一緒に寝ることになった。この流れなら、みんなで寝るかと思っていたが、その通りになったな。
でも、この流れを作ったのって、ミリーたちなんだよね。俺には分かっていた。夕食前から、巧みに娘たちを俺の所へ誘導し、夕食が終わり休憩に入ると、今日の事を話すように促していたのだ。
シンラはいつものようにプラムとシオンに挟まれ寝ているな。周囲には思い思いに寝ている妻たちがおり、俺に抱き着いて寝ているのはミーシャたちだな。もう寝息を立てて寝ているので、もう夢の中だな。
「なぁ、今日の流れってミリーたちが考えたのか?」
「そうね。日中に爆発しないか心配だったけど、お風呂から一緒に寝る流れに乗ってくれれば、今朝の不満も無くなるだろうしね。もともと、この流れでミーシャたちに言うつもりだったんだけどね……その前に、朝食のこと忘れていたんだよね」
ミリーは苦笑しながら、話してくれた。
朝食の事をすっかり忘れていて、シルキーたちが着た瞬間に、冷や汗が流れてしまったらしいね。俺も、正座をしてみてたけど、ドアに現れた時はかなりビビったもんだ。
その後は、他の妻たちも交えながら、眠くなるまで他愛のない話をして、眠りについた。
朝は、息苦しくて目が覚める。どうしてこいつは、俺の顔の上に張り付くんだろうな。今日は左手がフリーになっているので、そのまま掴んでプラムたちの方へ投げておく。着地地点にはスライムたちが待っており、優しく受け止めてくれる。
これで起きないのだから、シンラも凄いと思う。まぁ、スライムがいなければ、こんなことしないけどな。
プラムたちの間に降ろされたシンラは、両サイドからガッチリと抑え込まれるような形で捕らわれた。寝てるはずなのに、あの2人のシンラに対する嗅覚は鋭いな。それを抜け出して、無意識のままに俺の頭によじ登るシンラも、すごいんだけどな。
よくある朝のルーティーンをこなしていると、周りの目が覚めてきたようだ。
昨日はみんな寝るのが早かったので、今朝はみんな朝が早いな。寝ているのは、下の子たちだけだな。これなら、最近はしていなかった朝の運動でもしますかね。下の子たちがぐずらない様に、ブラウニーたちに声をかけ、スライムたちを配置しておく。ケットシーたちは言わなくても近くにいるので、問題なし。
よし、みんな。運動のできる格好に着替えて、庭に集合!
とはいっても、また朝食の前に着替えるので、着替えやすい運動着を着て全員が庭に揃った。
みんなでこうやって集まるのは、久しぶりな気がするな。半数位が集まって体操という名の朝の訓練をすることはあっても、ここまでの人数が集まって朝の訓練をすることは無いんだよね。
俺は必然的に、シュリと組むことになり、少し体を動かしてからストレッチを軽くする。その後、俺たちは向かい合って、ゆっくりとした動きで打撃の確認をしていく。言葉に出してから手足を動かし、目標の場所へ攻撃する。
この際に、攻撃する場所と違う場所は言ってはいけない。今はトレーニング中なので、宣言した場所に防御できる速度での攻撃を仕掛ける必要がある。これが実戦形式の訓練であれば、フェイントとして違う場所を言って惑わすこともある。
「右ハイ、左ブロー、左ロー、右フック」
シュリから宣言された場所へ攻撃が来る。この際注意する点は、相手の主観の攻撃なので、右ハイは右でのハイキックということで、俺からすると左からの攻撃になる。左右反転で攻撃が来ることに注意しないといけない。
たったそれだけ? と思うけど、実際にやってみると、速度が速くなると急にミスが出たりする。
俺も宣言した場所へ攻撃を仕掛けていく。蹴りは前蹴り以外は、ピンポイントの攻撃は少ないので、受けること自体は難しくないが、攻撃が重いから油断して受けると、体ごと持ってかれることがあるので注意が必要だ。
その点、パンチはピンポイントの攻撃なので、受けにくく足に比べれば軽い。比べて軽いだけなので、実際に殴られれば、悶絶するほどキツイ一撃も多い。
俺たちの身内では、足での攻撃はガードした部分にダメージを与えるもの、手での攻撃はピンポイントでダメージを与えたい場所をえぐるもの、という認識が強い。
そもそも、武器を持って戦闘をするので、手での攻撃はほとんどないのだが、何かしらの理由で武器を持っていないときのために、隙をついて一撃で沈める技術を磨く。
それがなぜ、宣言した場所を攻撃することにつながるかと言えば、防御されることを前提でその防御を抜く方法を考えたり、防御のし難い角度を考えたり、防御の上からダメージを与える方法を考えたり、と色々なことを考える事に繋がる。
その中でも最後の部分、防御の上からダメージを与える方法は、1つ確立されている。シェリルが初めに覚えた浸透勁だ。あれは、物理的な防御が意味をなさない代表的な攻撃だと思う。
人間サイズ、大きくても4~5メートルほどのサイズであれば効果は抜群だが、体が大きくなればなるほど効果が薄くなる傾向がある。薄くなるというか、限定的な破壊にとどまってしまうというべきだろう。
例えは難しいが、人のサイズで剣を刺された場合、背丈は俺の倍ほどのオークが刺された場合、ドラゴンのような十メートルを超えるサイズが刺された場合、これに共通するのは同じように刺された痛みだが、損傷の割合が大きく変わってくる。
特に十メートルを超えてくるような大型の魔物が剣を刺されても、人間でいう所の針で刺されたような割合の傷程度しか、負傷を与えられないということだ。
浸透勁もこれと同じような感じなのだ。効果はもっと大きいので、効き目の高い部分に使えば、限定的な攻撃でも相手を倒すことができるので、使い方という考えもできる。
そういった事を考える訓練でもあるので、色々試すことがここでは行われている。身内なので、相手を壊すような攻撃はしないけど、考えていることを魔物相手に試すことはよくあることだ。
物騒ではあるが、コミュニケーションの1つでもあるので、シュリとは結構真剣に打ち合う。その後に他の妻たちの攻撃を受けたりして、ブラウニーたちが呼びに来たことで、朝の訓練が終わりを告げる。
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