2107話 何やら秘密があるらしい
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バザールは、難民の街を作り始めるまで、正直暇になるので報酬の先渡しをして、レイリーとの打ち合わせ以外、自由にしててもいいと許可を出しておいた。そうしないとすることが無くて、拠点の魔改造をどんどんしてしまうので、集中できる場所を逸らす目的もある。
この拠点は、難民の街の対策に使うものでは無く、落ち着いた後に必要な人員が滞在する場所なので、ある程度整っている必要はあるが、ディストピアやゴーストタウン程の設備は必要ない。
前提として、最悪放棄しても問題ない施設を作っているのだ。でも、壊すことを前提にしているわけではないので、ちょっと機能を詰め込み過ぎているが、すべては破棄しても問題ないレベルで作っている。
対策は講じるが、俺たちは街ができた時点で帰るので、100パーセント対応しきれるとは考えていない。だから破棄することも視野に入れて作っている。
軍隊の練度を考えても、失敗する可能性は限りなくゼロに近いが完璧ではないので、最悪の事態を考えて拠点は設計されている。
特にディストピアの基準で工房を用意すると、万が一にも接収された時にかなり不味い事になるからな。使う人間の技術が伴ってなくとも、今までの数段上の者が作れたり、品質や能力が向上するので、その装備が一定の国に出回るのは、よろしくないからな。
全体に広がるのがいいかと言われれば、それも良くないんだけど……一部の国だけに出回ることになると、帝国や王国、聖国であればまだいいかな。この3ヶ国は物量が違うので、戦況をひっくり返せる程の戦力になるわけではない。
だけど、小国で出回ることになると、小国で英雄とか呼ばれる……レベル300越えのSランク冒険者クラスの兵士がいない限り、7対3くらいの戦況不利なら、覆してしまうほどの装備の性能なので、正直出回らせたくないのだ。
むやみやたらに、小国群のバランスを崩すつもりは無いので、万が一に接収されても問題ないようにランクを下げて、最低限の機能だけにしている。
装備については、ディストピアでも議論をされていたのだが、ドワーフの聖地であるヴローツマインの装備品と大国の装備品は、かなりの差があるのだ。帝国のクソ貴族が、ドワーフの武器を欲しがって戦争を仕掛けてきたくらいだしな。
色々な理由があって、施設のランクを下げている感じなのだ。
ここの生活は家に比べれば何ランクも上だけど、子どもたちはこの状況でも楽しんでくれていて、たくましく育ってくれているようで頼もしいな。従魔たちや影ながら見守っているケットシーたちのおかげでもあるんだけどな。
綾乃は、バザールについていって一緒に遊ぶようなので、俺は俺の仕事をすることにしよう。
土木組の状況を見るために歩いていると、
『主殿、土木組の方へは行かないように言われていたのではないですか? それに、もう少しで昼食になると思いますが、それでも行くのですか?』
ダマに質問された。
俺は腕時計というか、手首に物をつけるのが苦手で、収納の腕輪を止めようかと考えている。収納のカバンなら指輪でらくなので、便利だなと考えている。ただ、昔から使っているので、愛着がわいており帰られていない。
なので、腕時計などは付けずに、懐中時計やスマホのような携帯端末で時間を確認している。
確かにダマの言う通り、昼食の時間が近付いているな。ここは様子見というよりは、昼食の時間に呼びにきた感じになるな。ダマよ、よくやってくれた。
『何でほめられているのか分かりませんが、奥方に怒られても知りませんよ』
さすがに怒られることは無いだろう。来るなとは言われているけど、それは手伝う必要はないということで見に来てはいけないということではないはずだ。
『そうだといいんですけど』
フラグを建てるのは止めなさい!
ダマの忠告を無視して、土木組の子たちが作業をしている橋の所へ移動する。
その途中で、子どもたちが遊んでいるのを発見。勉強が終わって、少し体を動かしているのかもしれないな。子どもたちに手を振りながら、その場所を抜けようとすると、ミーシャたちに捕まった。
「どこにいくの?」
「土木組の子たちが作業している場所に行って、昼食のお誘いかな」
「ダメ! 絶対に行ったらだめなの!」
はぁ? スミレに全力で否定された。いったい何が起きたのかを理解できずに、思考回路が停止してしまった。
「とーたん、橋が完成するまでは、近付いちゃダメなんだよ! そんなことしたら、お母さんたちに怒られるんだからね!」
マジか……思考回路が停止しているところに、ブルムが追撃をかけてきた。
『追撃ではないと思いますが、どうしてそこまでショックを受けているのですか?』
どうしてって、娘たちに否定されたんだぞ……
『主殿が否定されたのではなく、橋に行くことを止めただけだと思いますが?』
そう言われてみれば、そうだな。娘たちにダメとか言われることがあまりなかったから、突然言われてびっくりしちまったな。とりあえずここで分かった情報は、橋は完成するまで見に行ってはいけないってことか。
何か隠しておきたいことがあるってことかな。
行ってはいけないみたいなので、ここで子どもたちと土木組の子たちとカエデとリンドを待ちますかね。
姉たちが俺に絡んでいることを見たシンラたちが、敵を倒すかの如く俺に攻撃を仕掛けてきた。
何をしたいのか分からないが、ミット打ちのようにクッションを取り出して、シンラたちの相手をしてあげることにした。
この子たちは、これが気に入ったのか、実に楽しそうに殴ったり蹴ったりしているな。前回は10分くらいしかやってないけど、それでも楽しそうにしている。
姉たちに叩き方を教わって、試してみているが、やはりまだ手足が短いので、ワチャワチャして遊んでいる感じに見えるな。
今日は30分ほどミット打ちをすると満足したのか、ブラウニーたちが用意してくれたタオルで、体を拭き始めた。まだ羞恥心などあるわけなく、その場で脱ぎ始めてパンツ一丁になって、蒸しタオルで体を拭いている。
さすがにパンツは脱がないんだな……って思ってたら、着替えも準備されており、そこにパンツがあったので脱いでからパンツに隠れていた部分を拭いて、新しい服に着替えている。
ミーシャたちは、これくらいの運動では汗をかかないみたいで、少し体を拭くだけだったな。
そんなことをしていると、土木組が来たので一緒に昼食へ向かう。
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