2105話 方針のちょっとした変更
アクセスありがとうございます。
レイリーに連れられて、上級士官の天幕に入った。一応、上級士官の集まる場所には建物を建てたと聞いたが、何で天幕だったのだろうか? ここに来るときには気付かなかったけど、何で建物の方を使ってないんだ?
そういえば、レイリー以外に2人一緒にいる。この人たちは、レイリーの副官たちだな。久しぶりに見る気がするけど、よく見ている気もする……意識してないからそう感じるのだろうか?
「シュウ様、建物を建ててもらったのですが、そちらの建物を使わずに天幕を使っていることを、お許しください」
「別に俺が作ったわけじゃないから、土木組に謝ってくれ。それに、レイリーが建物を使っていないというのなら、何かしらの理由があるんだろ?」
「そうですね。一番安全な場所である建物は、今回の軍の出動に合わせて、一般の協力者が複数名着いてきてくださったので、その方たちの滞在場所として使っています。治療師の人たちとは違うので、島の滞在はさせられないので、準備してもらった建物を使わせてもらっています」
……一般の協力者?
「えっと、シュウ様の政務によって救われて、シュウ様のために何かをしたいという人たちがそれなりに集まりまして……特に調理関係の手伝いで、手の空きがちな育児が終わった奥さまたちや、軍に入るには早いですが、経験の1つとして母親についてきた子どもとかですね」
ん~、戦争になることは無いので安全ではあるけど、わざわざ協力をしたいってそんなことがあるのかね? そもそも、政務って何のことだ? グリエルたちが何かしたのかね?
「シュウ様の街は、特にお金の面と衛生面が、他の街に比べて圧倒的に優れており、移住してきた方たちの生活面に大きく影響しまして、そのおかげで助かった人たちが多いってことです。無自覚のようですが、シュウ様がグリエルたちへ指示していることで、立てられた政策で助かった人たちです」
お金の面は良く分からないけど、衛生面には覚えがあるというか、優先的に気を付けさせている事だな。衛生環境が悪ければ、最終的に街が廃れるからな。特に壁の中で暮らしているこの世界では、重要なはずなのだが、甘く見られている項目だな。
多分、スキルとかが影響しているのだろうが、それでも環境が悪くて無くなる人が多い。病気や菌への耐性が元々高くない子どもたちが無くなることが多い。
おそらくだが、日本人がそのままこの世界に放り込まれて、スラムの近くで生活すれば、大半が数日中に病気にかかって、重症化をしてしまうだろう。それくらい、衛生面が悪いんだよね。真夏の変なにおいがする川よりヤバいかもしれない……
日本にいた頃は、部屋をキレイに保てるタイプではなかったけど、それと衛生面は関係なく、見過ごせないレベルの衛生面の悪さなんだよね。
それだから衛生面については、俺のお金を使ってもいいからキレイに維持するように指示しているな。
「あっ、手伝いと言っていますが、ボランティアではなく、しっかりと仕事として着いてきてもらってますので、給金の支払いや生活面のサポートは、しっかりしています。大半の人たちに給金を断られてしまいましたが、承諾されなかった人たちは、連れてきていません」
……? 給金が出るのに欲しがらないって、そんなことあるのか? 承諾されなかったって言ってるけど、実際にそんな人たちもいるのか?
「元々承諾されていた少数の方は、全員シュウ様の考えを理解されている方で、給金の話は出ると判断していて、受け取ることを了承さてましたね」
そうだな。お金に困っているのであれば、無償で手伝ってもらうこともあるだろうけど、今現在お金に困っていないというより、商会側のお金が余っているので、ドンドン渡したいってのがあるんだよな。
っと話が逸れたな。
「今日の話題ですが、難民に紛れた諜報員や工作員への対応ですが、難民の確認の時にある程度はじけると思いますが、シュウ様も危惧している商人たちに扮していたり、それ以外への対策の件を含めて、早めに対処を考えておきたいと思いまして、時間に余裕のある今のうちにしておこうかと思いまして」
なるほど、そういう理由で呼ばれたのね。
「色々な潜入方法があると思いますが、前提条件をくつがえすことになりますが、反乱をさせようとしている人間は、排除しないような方針を取ろうと思っております」
まぁ、積極的に阻止しても限界はあるから、反乱前提の対応を考えていたけど、反乱を起こさせるために工作員を残すのね……確かに悪くないけど、結局のところどうするんですかね?
「工作員などは排除するのではなく、監視対象にして動きを見張っていた方が、効率的なのではないかと考えました。ただ、反乱を起こしたからと言って、住人たちを排除する必要はないと考えていますので、監視している時に積極的にかかわっていなければ、そのまま住人として受け入れればいいと考えています」
ほほ~、監視対象ね。でも、誰がどうやって監視するの? 鬼人たちには無理だと思うぞ。軍の人間でもそれは同じだろ?
「監視に関しては、前に貸し出してもらったシャドーがいますので、100人単位で工作員がいない限り、問題なく対応できます。数が多くても、優先順位を決めて監視しますが、問題はそこではなく、今回の監視は反乱のタイミングを掴むことですね」
それが分かるだけでも、全然対処の初動が変わるな。全体に暴動が伝播する前に対処出来れば、かなり被害が減るな。無関係な人間が巻き込まれる可能性が減るなら、ありでしょうな。
それに反乱に関しては、レイリーに任せることになっているから、レイリーが決めたのであれば、協力するのは当たり前だな。まぁ、明らか問題のありそうな作戦であれば、考えなおすように言うだろうけど、レイリーがそんなことするわけないけどな。
詳細は今後詰めることになるが、工作員などの排除ではなく、発見のために妻たちの協力をしてほしいというのが、今回の話の肝だったみたいだな。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




