2104話 意識していなかったが俺って偉い?
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昨日は、ウルを含めた子どもたちが一緒に寝ていたので、面倒を看る妻たち以外の中から、5人の妻たちが俺の部屋に来て、ゆっくり寝ることは出来なかった。シンラの恨みが、俺の睡眠時間を削ったのかもしれないな。
まだ子どもを産んでいないグループが、自分の子どもがやはりほしいのか、最近攻勢が強いんだよね。積極性が出てくると、搾り取られるから本当に疲れるんだよね。物理的に搾り取られる俺と、ツヤツヤになる妻たち……大変な思いをしてもらいたいわけではないが、理不尽だと思う。
妻たちとの仲を深められたから、良しとしよう。
今日の予定を考えていなかったが、リンドが決めておいてくれたみたいで、朝食時に話を聞いた。
昨日で区画整理は終わって、軍は今日から本格的に駐屯地の設営を始めるそうだ。土木組は、橋の建設の続きをするそうだ。俺も協力をしようと思ったが、俺にはレイリーから話が来ており、今日は会議に時間を潰すことになりそうだ。
子どもたちは、午前中に勉強、午後に運動をするそうだ。
俺はみんなと別れて、昨日中に設営が終わっている士官エリアにある天幕を目指して移動開始する。水堀の先に見える天幕を見る。
『今日はどうやって移動するのですか?』
ダマが今日の移動方法を確認してきた。先日のトラブルもあるから、無茶をするなということだろう。妻たちにも言い含められていたのだと思う。だからこのタイミングで確認して、変なことをするなと釘を刺してきたのだろう。
無茶な移動方法はするつもりは無かったけど、釘を刺されたのなら安全な方法で進みますかね。
「シエル、昨日みたいに背中に乗せてくれ。人間大砲も悪くないけど、移動する先が人のいる場所だから、迷惑を確実にかけるから、ゆっくりと見て分かるように進んでいこう」
俺の言葉を聞いてシエルは大きくなり水堀に浮かぶ。ダマは、満足そうに頷いている。こいつ、妻たちに色々お願いされていることを、隠すつもりは無いらしいな。
プカプカと浮かぶシエルに飛び乗り、のんびりと水堀を移動する。
士官エリアが慌ただしいな。設営の準備で、いろんな指示が行きかっているのだろうか? こんなに忙しいのに、俺が行くのは邪魔ではないだろうか? もう少し後が良かったかな? ダマよ、どう思う?
『その心配はないかと。どうやら、主殿が来ることが分かって、上級士官の人たちに集まることが命令されているようです』
ん? 俺が来るから、お偉方が集まっているってことか?
『当り前じゃないですか。この集団の中で最上位に当たるのは主殿ですから、迎えがあってもおかしくないのでは? 次に奥方がいて、その次がレイリー殿ではないですかね』
言われて気付いた。いろいろな建築に来ているとはいえ、俺はディストピアのトップだった。俺がレイリーが中心だろうと考えていても、レイリーから見れば……違うな、俺の街に所属している人間からみれば、どこにいても俺はトップなんだよな。
俺にはそんな意識は無いけど、所属している人間からすれば当たり前なんだよな。
日本っていうお家柄もあるかもしれないが、日本という国のトップは意識することはあまりなくても、どこかに勤めていれば、その会社のトップ、社長には丁寧に対応したりするような物だろうか?
『そうですね。主殿にトップの意識は無くても、下の人間から見れば、間違いなくトップの人間ですからね。一般兵まで集めて迎えることはしなくても、ある程度上の人間を集めて迎えることは、不思議な事ではないと思います』
まぁそうか。なら、このまま行っても問題ないな。
『このままいかない方が、問題になりますよ』
準備しているのに行かなかったら、文句は言われないだろうが、内心仕事を増やさないでほしいとか思われるだろうな。せっかく集まったのに、何もしないで解散とかないな。
それより、ダマってこの距離の声が聞こえるのか?
『普段のこの姿であれば、人間の倍程度だと思いますが、本来の聴力を解放すれば、数十倍の距離を聞くことができますね。都合がいいことに、音が大きくなるわけではなく、小さい音も聞き分けられる感じですかね』
ほほ~、便利な能力だな。地獄耳のイメージにぴったりな能力ではないだろうか? 選択して音を聞き分けられるみたいだから、かなり便利だな。普通に考えれば、範囲内の音をすべて聞けるような能力だったら、雑音になって終わるな。
それでは地獄耳とは言えない。
聞きたい音を選択することができるって言うのが、ダマの耳の能力の1つなんだろうな。
よし、このまま上陸しようか。シエルは、俺が飛び移った後に、小さくなってくれよな。
「シュウ様、お待ちしておりました。話し合いの前に、少し時間を貰っていいでしょうか?」
「構わないけど、何かあったのか?」
「いえ、そういう事ではありません。人員の面通しだけでもさせていただければと思っていました。
今回、こちらが司令官クラスとして連れてきた5人と、その下で直接部隊を率いる50人の指揮官になります。指揮官の50人は、半分を若手にして、2部隊を1つの単位と考えて指導に当てる予定です。能力的にすべてを任せるのは、まだ厳しいですが成長してほしいという意味で連れてきました」
なるほど、100人の部隊を2つくっつけて200人の部隊にして、先達の指揮官が後輩の指導……隊長と副官みたいな感じか。俺よりは年上だが、若い人が多いわけだ。
それに、若くしてこの地位にいるってことは、とても優秀なのだろう。それなのに驕った所は無く、トップとはいえ年下の俺に敬意を払っている。簡単にできる事ではない気がする。
「シュウ様の懸念はもっともですが、軍の指揮官クラスにシュウ様を侮る者などおりません。そういう兵士は、根性を叩き直します。治らなければ、一生一般兵ですね。それと、ここにいる者たちは、シュウ様の訓練の様子を見てますからね、侮る者などおりませんよ。ここにいる半数ほどは、叩き直されてますけどね」
おうふ、侮られたいわけじゃないけど、矯正が行われているみたいだな。
俺が若いってことも、侮る一因にはなっているだろうけど……訓練の様子を見ただけで、侮る者がいなくなるのか? ただ単に、人造ゴーレムと殴り合ってるだけなんだが?
「シュウ様は理解しておられませんが、シュウ様の戦闘訓練は常軌を逸してますよ。それを軍隊でも取り入れたことで、畏怖されていますね。骨折が前提の訓練なんて、普通出来ませんからね。
それに、訓練をしている人造ゴーレムですが、指揮官クラスの人間が10人がかりでもないと、止められませんよ。それを単独で破壊できるのですから、畏怖も抱かれますよ」
意識していなかったが、人造ゴーレムはそこまで強いのか。ポテンシャル自体はSランク相当だけど、スキルや魔法が使えないから、Sランクでも低めの位置になるか。そういう意味では、S級スケルトンの方が圧倒的に強いな。
肉体のポテンシャルは同等だと思うけど、スキルに魔法を使えるあいつらは、人造ゴーレムに比べて攻撃が多彩だからな。それでも、スケルトンたちの最大の強みは、連携を取れることだよな。
集まってくれた上級士官たちと少し会話をして、レイリーとの話し合いになった。
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