2101話 シンラの受難
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橋を作りに拠点に戻ると、ゲートを作った部屋の入り口の外で、シンラが不貞腐れた顔で待っていた。対照的に両サイドにいるプラムとシオンは、ニッコニコの笑顔でくっついている。
状況の理解できない俺は、その場に立ってシンラの様子をながめる事にした。
状況が改善することなく、5分ほどが過ぎた。
俺が戻ってきたことに気付いたミーシャたちが、俺の疑問に答えてくれた。
どうもシンラは、起きた時にベッドにしていた俺がいなくなっていたため、不満オーラを爆発させていたらしい。爆発と言っても、可愛らしい癇癪だったと姉たちは笑っている。
起きた時に俺がいなかったことに、腹を立てているだけで、それ以外に何かがあったわけではなさそうだ。それなら、放置しておけばいいか。
人をベッドに使ったのに、いなくなったからって八つ当たりされても困るからな。
どうやら、話には続きがあって、プリプリ怒っていたシンラを、ライラが注意したことで、両頬が風船みたいに膨らんでいるんだとさ。
注意された理由は理解できたようだが、まだ感情を制御できないシンラは、見るからに不満があると全身で示すように、今の状況になったのか。
気持ちは分からなくもないが、それ以上に気になるんだが……注意された理由が理解できた、ってところにビックリしているんだけど……地球には、大人だって怒られた理由が判らない奴も一定数いたんだけどな。
「とーたん、それはこの世界でも一緒だよ。お母さんたちが前に話してくれたんだけど、貴族やお金持ちで甘やかされた人たちって、常識が通じないんでしょ? そうなってほしくないから、常識はしっかり身に付けるようにって、聞いたよ」
その通りなんだけど、まだ小学校に入る歳になっていないシンラと、クソ貴族や金持ちの脳足りんを一緒にしたらダメだろ。注意の仕方によっては、自主性が失われてしまうんじゃないか?
シンラの将来に不安を抱いていると、
「そんなことにはならないから、安心して。しっかりと、自分がしていたことを自分がされたら、どう思うのか考えさせたわ」
ライラが現れて、注意をしたときの話をしてくてた。
今回は俺がベッド代わりにされていたけど、シンラがその立場になったら……と言う話をしたようだ。とはいえ、大人の俺がシンラの上で寝ることはないから、プラムたちに協力をしてもらって、理解してもらったようだ。
プラムたちなら、シンラにくっつくようなことなら、喜んで協力しそうだな。その時のシンラの様子が目に浮かぶな。
……って、そのせいで俺に八つ当たりしてるんじゃないか?
ライラは苦笑しながら、頬をかいていた。
何となく、そんな気はしてたのか……出来れば、俺に影響が少ない方法をとって欲しかったな。
その後の話もあったようで、協力したとはいえ、シンラは自分がされて嫌だったから、プラムたちに色々言ったそうだが、尽く通用しなくて不貞腐れたらしい。
くっついて寝るのは疲れる! と言って、シンラがプラムやシオンを抱き枕のようにしたのだが、2人は反対に喜んでしまった。上に乗るようなことも、シンラには苦痛でも2人は、嬉しいことだったようで、話にならなかったんだとさ。
この状況も目に浮かぶわ。
ブラムとシオンに関しては、もう少し大きくなってから、妻たちや姉たちに色々教えてもらうといい。
シンラを放置して俺は仕事に戻ろう。
……で、シンラよ。何故俺の行動を邪魔するのだ?
そもそも、俺って何も悪い事してないんだけどな……
さて、どうするべきかね。ライラも一緒にどかそうとしてくれるが、シンラはプラムとシオンを味方につけて抵抗してくる。こういう時は本当に仲がいいよな。
少し相手をしないと、どうにもならないかな?
橋は、少し無理をすればすぐに作れるし、シンラの相手をしてやりますか。で、シンラよ、何がしたいんだ。聞いたところで、この子たちはその時のノリで遊んでいるから、明確に何がしたいということは無いんだろうな。
大体俺に付き合ってくれるのは、体を動かす系の遊びなんだよな。となれば、
「シンラ、外に行くぞ!」
勢いとノリで、シンラたちを外へ連れ出す。一緒にミーシャたちも来てくれるのが少し嬉しい。
途中で、今日の御守り担当の妻たちも合流して、グランドへ出る。
運動を始める前に、準備体操をしよう。ラジオ体操第一で体をほぐしていこう。
ミーシャたちは俺の真似をして、しっかりと体を動かせているが、下の子たちは……体操っぽいんだけど、短い手足で下手だけど頑張って、ツイストダンスをしているように見える。
笑っちゃいけないと思うのだが、一生懸命やればやるほど可笑しく見えてしまう。耐えられずに笑ってしまうと、シンラから無言の圧力がかかる。だけど、まだまだ迫力が足りないな。
下の子たちは、姉たちの真似をすることにはまっているので、ミーシャたちの訓練をすることにした。午前中は勉強をしていたみたいで、体を動かしていないのでちょうどいいだろう。
さすがに模擬戦をするためには身長が足りないので、ボクシングのミット打ちみたいなことをしようか。
脛と手と前腕にミットをつける。屈み腰になってミーシャたちのミット打ちの相手になる。
妻たちの訓練を受けているだけあって、3人とも動きがいい気がするな。ミットの音もキレイにパンパンとなっている。
その後ろで下の子たちは、姉たちの真似をして手足をワチャワチャさせている。その姿がまた面白いので、笑いそうになってしまう。
シンラたちも、姉たちのようにミット打ちをしたいのか、必死にせがんでくる。こんな時ばっか可愛らしくなりおって……仕方がないな。無理はするんじゃないぞ!
って言った瞬間に、コロッと態度を変えやがって! こんな高等テクニックを覚えたのやら……子どもたちに翻弄されるなんてな。
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