2060話 新たな事実
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俺が現地の兵士たちから話を聞き終わると、大体お昼くらいの時間になっていた。
俺以外のメンバーは、野営の準備を始めてくれているので、おそらくは昼食の準備も今日の寝る場所も問題ないだろう。そう思ってみんなの集まる場所へ戻った……
8割くらいは俺の正解だったのだが、2割ほどの間違いを見て首を傾げるしかない。
馬車やサイドタープを使って野営地の設営は終わっていて、食事の準備も始めており、土木組の子たちが浴室まで作っていた。そこまではいい。だけどさ、野営地の一角で、シンラたちが何か一生懸命頑張っているんだよね……
いや、何かって言うか、していることは分かるんだけど、何でお前らがそんなことをしているのかが分からんのだ。ミーシャが指揮をとって、シンラたちが頑張り、スミレとブルムが手伝っているのだ。
野営地に簡易的なものだけどベッドが準備されるのに、シンラたちは自分たちでテントを建てていたのだ。サイズ的に言えば、大人が2人で寝れば狭く感じるほど小さなテントだ。シンラたちなら倍になって寝ても、問題ないかもしれないが……何でテントなんだ?
スカーレットもそれを見守り、頷いているところを見ると、間違ったことをしているわけではなさそうなのだが……俺には現状がよく理解できていない。どういうことなんだ?
おかしいと言えば、野営地の一角と言ったが、外側ではなく内側……いや、ほぼ野営地のある場所の中心部に近い場所にテントを建てているのだ。そこにテントがあると、邪魔なのにそこでいいのか?
馬車の配置的にシンラたちの立てているテントの近くに、俺たちのベッドが準備される形になるはずなのだが……それならわざわざテントはいらなくないか? 例えるなら、天幕の中にテント……部屋の中にテントを建てるような物なのだが。
頭が混乱してきた。分からないことは聞いた方がいいな。
指示をしているのはスカーレットみたいなので、彼女に聞くことにした。
どうやら、シンラたちは手伝いもせずにスライムに乗って、遊びまわっていたようで自分たちの寝る場所位は自分たちで準備しなさい! と、スカーレットが怒ったそうだ。子どもたちには酷かもしれないが、言うことを聞くように話していたのに、いきなり破ったので、無理のない範囲で出来ることをさせているんだとさ。
ミーシャたちが手伝っているのは、シンラたちを御せなかったことに対するペナルティーなんだと。子どもたちには酷すぎるのではないかと思ったが、妻たちも様子を見ているし、無理のない程度にやらせているんだとか。
そうか、お前たち頑張れよ! 俺は手伝ってやれないからな!
シンラたちのテントが建つのも、食事ができるのももう少し時間がかかるので、先に土木組に聞いた話をしておこう。予定とはだいぶ変わるが、水堀の内側の設計はほぼ決まったので、任せられるだろう。
俺は壁の中に通路を作るのと、その通路を監視できるような仕組みを作らないといけないから、任せっきりになるけどよろしくね。
壁に関しては、土木組の子たちもクリエイトゴーレムで自動修復などをつけれるようになっているが、作った後に修正することはまだできないのだ。こういうことは、俺か綾乃かバザールの3人しかできない。
壁をいったん壊して作り直すのであれば、土木組の子たちにもできるのだが、壊すのはNGなので俺が手を加える必要がある。このあたりの違いが出るのは、良く分かっていないんだよね。イメージの問題なのか、生まれの問題なのか……検証する方法がほとんど無いからな。
土木組の子たちは、水堀の内側に土をどのように盛るか検討を始めている。造りは全く違うが、バレルも段差になっている街だからな。あれを参考にするかもしれないかな?
5000人が一時的に駐留する場所の水源はどうするか? メグちゃんやい。近くに使えそうな水源はありそうですかね?
シンラたちを応援していたメグちゃんを呼び寄せて、話を聞いてみる。ここら辺には使える水源は無いそうなので、ダンジョンを使った水源確保をする必要が出てきたな。
湖や池ってただ作るだけじゃなくて、ある程度水の流れを考えないと、すぐに水がよどんでしまい生物の住みにくい水になってしまう。そして、難民たちの街の水源としても使う予定なので、ある程度の水質は確保しておく必要があるよな……
あまり手間がかかるのは良くないから、水が湧き出るダンジョンと吸収するダンジョンを作る形になるかな。
ダンジョンで作った水でも、メグちゃんたちなら問題なく活用できるよね?
聞いてみると、体を使って〇を作ってくれた。やはり、水に関することはリバイアサンが一番だな。
リバイアサンが攻撃や守り等の戦闘に特化しているイメージなら、水の大精霊アクアは豊かにしたり綺麗にしたり、補助的なイメージが強いな。
そもそも、精霊は戦闘に特化した種族じゃないからな。どちらかというと、自然と一体化している感じだろうか。属性持ちの精霊は、自然そのものと言っても過言じゃないかもな。ドリアードとか、たまに木と同化してるしな。
水堀を使った監視はメグちゃんたちに任せるけど、水自体の管理は水の精霊に手伝ってもらった方がよさそうだな。水堀の内側は、全面的に管理してもらいたいところだしね。中級精霊と相談しながら下級精霊を呼べば大丈夫かな。
シンラたちは……もう少し時間がかかりそうだな。食事は、この子らが建て終わるまで後回しになりそうだから、ちょっと確認しておこう。
戦争が始まりそうだという話だったが、もう始まっているのか、まだ先なのか確認したいのだが、誰か状況を知っている兵士はおらぬか?
兵士の中にはいなかったが、先発で来ていた暗部の人間からの情報で、国境線で戦闘が始まったのを確認したと教えてもらった。ウォーゲームとは違い、数も多く死者もたくさん出る、無益な争いが既に始まってたんだな。
国境線に近い街の人間たちは、既に両方の国とも退避を始めているらしい。
それを聞いて俺は首を傾げる。どちらかが有利とかそう言う話で、負けそうな国から多くの難民が出るんじゃなかったのか?
どうも俺の考えていた話とは違うようだ。前提が間違っていたらしい。
今回戦争を行っている2ヵ国だが、元々は1つの国だったそうだが内部分裂し2つの国になり、兄と弟で争うことになったらしい。戦力的には拮抗しているのに、戦争が始まったため第三者の介入があったのではないかと、暗部の人間は分析している。
どこが介入したかと言えば、周りの国の大半だろう……と。5ヶ国ほど周りに国があるのだが、その国々が両方の陣営に肩入れしているようなのだ。自分たちでは兵士を出さないが、お互いで戦力をすり減らしてもらい、漁夫の利を得るのが目的ではないか? と分析しているみたいだ。
証拠が無いので何とも言えないが、使用されている武具などを見ると、可能性は高いと判断しているらしい。
これって、2つの国の国民が全部難民に化ける可能性があるってことか……いやはや、戦争を煽った傍迷惑な奴らは、すり潰してしまいたいところだな。帝国はどう対応するんだろうね……マジでこっちに誘導してきたりしないよな?
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