2058話 問題は多いな
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俺は、のんびりと自分たちの住む場所の設計図を書いている。作る建物の大きさはある程度決まっているので、敷地の広さと配置をどうするか、という点を中心に考えている。
建物を1つ増やすことになるので、やはりもう少し敷地を広げるべきか? いや、安全面を考えれば同じ敷地内とはいえ、俺たちの住む場所に近い方がいいに決まっている。
となれば……今はザックリ言って、土木組や関係者の棟、俺たちが生活する棟、食堂や広い空間を有する2つを繋げている棟が一列に並んで作られる予定だ。
元々真ん中の棟の2階で子どもたちの面倒を看ようとしていたので、その部分を広げて治療院の子どもたちを含めて、面倒を看れるようにするべきかな? 治療師の数として、30ほど来ることになっており、その子供が45人ほどか……
年齢を見ると、2~12歳ね。
13歳を超えてくると、親の手伝いではなく自分のしたい事を仕事にしている子たちも多い。働かなければならないという、家庭的な事情を持っている子たちも多いけどね。
治療院の子どもたちは、母親の収入的には余裕はあるのだが、苦労している母親を見て育っているので、早く助けになりたいと考え、早くから働き始める子どもが多いようだ。他にも、自分がいると新しい恋愛がしにくいからと言って、下宿できるような働き口で頑張っている子もいるのだとか。
子どもに心配されたくない部分ではあるけど、娘たちから見ると、私たちのために頑張っている母親に、幸せになってほしいと考えている娘が多いのだとか。母親の幸せが結婚にあるのかは議論の余地はあるが、いい雰囲気の相手がいる母親の子どもに、多く見られる現象みたいだな。
10歳を超えているのは5人なので、母親だけの家は子どもたちが比較的幼い傾向が高いな。
子どもを抱えて困窮している母親が対象となって集められた職種なので、幼い子どもが多いのはある意味必然だろうな。
っと、シンラたちの事を考えると不安でしかないが、ミーシャたちとブラウニーたちに頑張ってもらおう。後はスライムたちに、子どもたちが怪我をしないように見張らせておくのも悪くないな。あいつらは柔らかプニプニボディーなので、子どもたちに人気が高いんだよな。
一列に並んでいるところへ併設するなら、中心となっている2つを繋げる棟にくっつけるのがベターかな。となると、凸というかTの字というか、そういう形にくっつけて建てるのがいいかな。俺たちがいなくなった後に何に使うかは……残った人たちに考えてもらおう。
そうなれば、敷地は広くする必要はないな。建物1つ分の範囲は取られてしまうが、運動できる場所が狭くなるわけでもないので、そのままでいいだろう。
そういえば、兵士たちの希望で、武器などを振るって訓練するためにある程度の訓練場は欲しいが、走る場所として訓練場の周りではなく、長く走れる場所が欲しいって希望書がでてたっけ?
ぺらぺらと送られてきたメールを見ていると、そんな感じの希望書を発見する。
訓練所の周りだけだと1週が短いんだとさ。何週もすればいいのでは? とも思わなくもなかったが、走る時には1週でもある程度の距離が欲しいんだとさ。
となると、門に併設する形で作る予定の俺たちの建物は……無理かね。ディストピアの門みたいに、兵士たちが多めに待機できるようにするべきかね。
今も、その形に近いのだが、その規模を広げる感じだろうか……ここに関しては、2日の間にどれだけ予定が変わっているのか、数えるだけでも頭が痛くなりそうだ。
建物の造りだけを考えて、後は現地に着いて兵士たちの意見を取り入れながら、作っていくべきなんだろうな。土木組の子たちも、こんな苦労をしているのかね? 作っている内に、細かい変更とかがありそうだからな……後で聞いてみよう。
俺たちが住むところもそうだけど、後発で到着する兵士たち5000人分のエリアも作らないといけないんだよな。こちらに関しては、どれだけ長期化するか分からないので、天幕で済ませるか簡易的な豆腐建築でもいいので、それを作るかで意見が分かれているらしい。
いつの間にそんな話になったんだ? 5000人の兵士たちが引き上げる時に、全部を水堀に作り変えることは聞いてたけど、天幕や豆腐建築の話は出てなかったんじゃないか?
まぁ、俺たちの手間はかかるが、天幕よりは豆腐建築の方が安全性は高いな。トイレなんかを1つの建物ごとにはつけるのは苦労するが、一定のエリアごとに公衆トイレを設置することは可能だしな。掃除の面を考えれば、そっちの方が便利だしな。水場もある程度まとめておきたい気がする。
排水に関しては、スライム層をダンジョンで作ってキレイにしてやれば問題ないが、どこから水を引き込むかの方が悩まないといけない内容だな。
水の溢れるダンジョンと吸収するダンジョンを水堀に作るか?
現地で調査して、メグちゃんたちにもどうしようもできないなら、ダンジョンの機能を使うしかないんだよな……
もっと言うなら、ラディッツやその周辺の街は大きな水源がなかったから、街を大きくするにもできなかったんだよね。平均的な水量で考えればもう少し大きくできるのだが、あくまで平均なのだ。少ない時には水不足に陥るから、街を大きくするわけにはいかなかった。
今街が大きくなっているのは、スライム層……地下下水と呼んでいるあのエリアがあるからだな。あそこは、汚水を流してスライムが浄水してくれる場所なので、その水をくみ上げて畑とかに使えるので、生活に使える水が増えているのだ。
いくらきれいだと言われても、汚水をスライムが浄水した水を飲むのには抵抗があるので、口に入る物には使われていない。それでも貧困エリアでは飲んでいる人も多いけどね。
統計で、貧困エリアでの病気率が減って、貧困エリアより上の層の病気率は横ばいという調べが出ている。きれいな水を使えなかった貧困エリアでは、病気の問題がかなり大きかったが、スライム層の水をふんだんに使えるようになった今は、病気の蔓延はほとんどなくなっている。
それに対して、貧困エリア以外の層に関しては、いわゆる生水の処理が適切ではなく、腹を下したりすることが変わらずあるため、横ばいという結果なんだとさ。皮肉にも……というべきだろうか?
そんなことを思い出していると、ミーシャたちがシンラたちを抱きかかえて、馬車を移動してきた。今は、連結している状態で走っているので、俺の仕事スペースにミーシャたちが来た感じだな。
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