2051話 出発前の大仕事③
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一番大仕事となると思っていたシンラたちの説得は、戦わずに勝利を収めた気分だが、試合には勝ったが気分的には負けた気がする。上手い例えが思いつかんが、そんな気分だ。
この子たちに労力を費やす必要はなくなったが、この子たちが向こうへ行った後の生活環境に力を入れる必要が出てきた。問題は多いが、ダンジョンマスターのスキルを持ってすれば、その問題も解決できるはずだ。
子どもたちが一緒となると、地下にこもりっきりになるわけにはいかないな……俺と妻たちだけなら、昼間に仕事で外に出ることはあるし、複数で行動するなら許可も出せる。だけど、子どもたちは外に行きたい! といったからといって、ディストピアみたいに子どもたちだけで出すわけにはいかない。
ディストピアでも子どもたちだけではなく、従魔たちが過剰に御守りとして付いていくのだが、難民が集まるであろう場所なので、自由に行動させるという訳にはいかない。従魔たちが魔物と言われて攻撃される可能性もあるので、それこそ大人が複数付いていかないと問題になる。
となると……メグちゃんやい、ちょっとこっちに来てくれ。子どもたちを連れていくのは理解した。だけど、向こうに行ったらここと同じように行動できないことは分かってくれるよね?
え!? 邪魔者を薙ぎ倒せば問題ないって? いや待てこら! メグちゃんには可能かもしれないけど、そう言うことじゃないのよ。子どもたちの自由にできないなら、全て薙ぎ払えばいいとかそう言う問題じゃないんだって。
勉強のための遠征(という体にして)だから、邪魔者を薙ぎ払ったら勉強にならないでしょ? そうなったら、ウルは悲しむし、ミーシャたちはメグちゃんの事を軽蔑するかもしれないけど、それでもいいの?
よかった。分かってくれたのね。でも、普段通り行動ができないのは、シンラたちには辛いよね。ってだから薙ぎ払ったら、ミーシャたちに嫌われるよ! 俺が言いたいのは、メグちゃんの力を使って、シンラたちの安全を確保できる場所を作りたいわけ。
どういうことかというと、俺たちが拠点とする場所を作って、その周りにメグちゃんの力のこもった水堀を作って、正規の出入り口以外からは近付けないようにしてもらえたらって思うんだ。もちろん、シリウス君を扱き使ってもいいよ。
水堀から入ってこれないようにしてもらえれば、それで十分なんだよ。堀の内側に塀を建てて、さらに高い建物を造れば、シンラたちも景色を見れるだろ? それに敷地を広くとれば、子どもたちと一緒に遊べるスペースにもなるぞ。
ふ~、どうやら納得してもらえたようだな。メグちゃんは世界最強の一角だから、邪魔者=排除すればいいという考えを地で行くんだよね。でも、子どもたちが大好きなので、その方向から攻めれば、意外に納得してくれるのだ。
それを理解するまでは、娘たちや年少組の妻たちに仲介を頼んでいたんだよな……
シリウス君が首根っこを噛まれて、ドナドナされていった。今から準備するとさすがに早すぎるのだが、メグちゃんは何をする気なのだろうか?
建物は、土木組の子たちと決めればいいとして、敷地はどのくらいにするか? サッカーコートが入るくらいの運動スペースがあると嬉しいな。そこらへんも行ってから決めるか。
難民たちが街を作って生活したとしても、ずっと支援を続けるわけにはいかないから、畑の確保も必要だよな。メギドの近くに作ったバレルは、木材や炭を輸出して食料を輸入しているけど、これから街を作らせる場所は、金になるものが無いからな……
バレルも全ての食材を輸入しているわけじゃない。街の周りに畑を作り野菜などは作っている。魔の森には魔物がいるので、その肉も冒険者たちが持ち帰ってくれるので、食糧自給率は低いがゼロではない。主食となる、米や小麦の大半は輸入に頼っているけどな。
売りに出すものが無ければ、輸入することも出来ないのでバレルより畑を広く作って、この街だけである程度完結できるようにしないと拙いよな……
「シュウ君、それだと独立して、通行税をとってそれで輸入すればいいという話になるわよ。多少街の中枢の仕事をした人間であれば、そういう結論になるんじゃないかしら? そうすれば、自分たちの思い通りに色々できるようになるからね。
特に、塀の中に街を作るのだから、安全は確保されているよね。軍備に力を入れなくても安全なんだからと言って、上に立つ人間は自分都合のいいようにすると思うわよ」
いつの間にか隣にいたミリーから、俺の考えについて突っ込まれた。さすがに心を読んだわけじゃなく、俺が独り言を言っておりそれに対して、リアクションをしてくれたようだ。
問題になるのは、塀の中に街を作って独立された場合か……塀の維持費を名目に金を請求したところで、独立して街を乗っ取る輩が払うとは思えない。
もっと言えば、独立しないで街の通行税だ! と言って、金を巻き上げる輩が出てくるとも限らない。
「ミリーは、どうしたらいいと思う?」
「最初っから独立を許さないように仕向けるか、独立させた後で戦争をして街のトップを排除するかの2択かな?」
なるほど。独立させないように俺たちが出向いて光魔法を使う予定だが、それでも独立してしまう可能性は無くならない。なら、独立をさせてしまってから、戦争をしてトップを挿げ替えるというのもありなのか。
面倒ではあるけど、いくら軍備に力を入れたとしても、街1つでは俺たちにかなうわけがない。
「でも、独立させた場合は、他国からの介入を注意する必要があるわ。国境の門がどういう扱いになるか分からないけど、武装勢力を自由に淹れることができるようになれば、塀の中で暴れさせることも可能だからね」
「どんな結末になったとしても、門と塀はこちらでキープする必要があるな。難民たちの街からの依頼で、民間軍事会社が来たとしても、門で弾けばいいだけだしな。よし、門の周囲は新しく塀を作って、軍隊を配置するべきだな。門の権利を主張されても、無視できるしな。大きな問題になる前に攻め落とせばいいな」
考えがまとまり、ミリーにお礼を言う。
独立を宣言したら、門から軍を派遣すればいいだけだしな。問題は、冒険者の資格を持って、俺たちに敵対する勢力が難民の街に集まった場合か……最悪の事を想定する必要があるとはいえ、面倒だな。
いざとなれば、力で押さえる込めるようにだけ準備をさせておこう。
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