2050話 出発前の大仕事②
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うん、妻たちが用意しているのはまだいい、ただ全員で用意しているのは何故だろうか? あと、妻たちの足元でシンラたちが、姉たちとお揃いのリュックをいじっているのは何故だろうか? そして、姉たちは持っていく物の確認をしているのは何故だろうか?
家に帰ったら、俺の理解が追い付かないことが起こっていたのだ。妻たちが全員で準備しているのは、良くないんだけどまだいい。子どもたちが7人全員、リュックを持ち出して何か準備しているのは何で?
姉たち4人は、着替えはお母さんたちが持って行ってくれるから、私たちは勉強道具を持ってかないと、次の時に連れて行ってもらえなくなるとか言っているんだが……君たちも来るのかい?
下の子3人は、姉たちの真似をしてリュックを漁っているだけで、別に何かの準備をしているようには見えない。良く分からない人形やタオルみたいなものを出し入れし、なんだか満足気である。どういうことだ?
混乱している俺をよそに、ブラウニーたちもてきぱき動いており、シルキーたちはその指揮をとって何やらしている……
20分ほどその光景を見ていて、もじかして全員で行くつもりなのか? という結論に到達した。
子どもたちにどうやって納得してもらおうか悩んではいたけど、まさか連れていくというかたちで納得してもらうとは、夢にも思っていなかった。
いや、準備を全員でしているだけで妻たちの何人かは残り、上の子たちはともかく下の子たちは、雰囲気にのまれて真似をしているだけだろう。
状況を確認するために、今回行くメンバーを教えてもらおう。
妻たちは全員こっちを振り向き、頭にハテナマークを浮かべている顔だ。下の子たちは、何言ってんだこいつ? みたいな顔をしている。シンラの表情がなんかムカつくが、今はそれどころじゃない。
何で全員で行くことになっているのか聞くと、実際に戦争を行うのではなく、難民対策として私たちが動くのだから、人数は多い方がいいでしょ? それに、土木組の子たちも連れていくのだから、私たちがいる場所は安全が確保されているのだから、子どもたちも連れていくわよ……だってさ。
よく見たら、部屋の隅でテトたち3匹に、魔獣化した猫たちがケットシーにニャーニャー言われている。ケットシーの話が終わると、敬礼みたいに前足を頭付近に動かして、ビシッとしている。
凛々しく見えるのだが、何となくいけないことをやった後に、反省して恥ずかしくて顔を隠している猫に見えるんだが……
他の従魔たちは、庭に集まり何やら会議をしている様子だ。普段だらけているクロとギンも、キリリとした顔をしてワフワフ言っている。コウとソウは偉そうにコンコン言っているな。
ニコはスライムを集めて、プルプルしている。
そして最近、食事のとき以外ほとんどみることの無かったハクが、その様子を眺めている。って、お前、でかくなってないか? 前は大きくなって、俺の腕に何とか収まる程度だったけど、今は大型犬よりも体がデカくなってるぞ。
食事の時に、いつもいたのに何で気付かなかったんだ?
どうやらこいつ、聖獣と同じで体を小さくする術を学んだらしい。食事の時は小さい姿でいるのだが、普段は元の姿で過ごしており、あのサイズが普段の大きさなのだとか。
おっと、最強の従魔が現れた。ミーシャたちに挨拶をすると、ニョロニョロとシンラたちの方へ向かっている。シリウス君がシンラに捕まり振り回されているが、一国を簡単に滅ぼせるシリウス君は、抵抗をせずにシンラの遊び相手になってくれているようだ。
メグちゃんに睨まれており、下手に動けないというのが正解かもしれないけどな。
バッハは、ずんぐりむっくりした小さな体で、準備体操の様な事をしている。
ここにきて、フルメンバーで出発することになったのだと気付いた。
あまり使いたくないと思っていたが、緊急避難用にゲートを作るのは許せ! 現地までの移動は魔導列車と馬車だが、いざという時のためにゲートは確保させてもらう。子どもたちの安全第一だ。
妻たちの事も心配だが、この世界でも上から数えた方が圧倒的に早い実力の持ち主で、周りには子どもたちを守るために気合を入れている従魔たちもいる。その中にはリバイアサンも2匹おり、俺が全力を出したとしてもどうにもならない鉄壁の布陣だ。
子どもたちは、何かの拍子に怪我をしてしまう可能性があるが、妻たちはおそらく怪我の心配はないだろう。もし何かをしようという者がいるなら、そいつの心配をするべきだな。殺してしまって、情報を抜き出せないことが一番の心配するべき点だ。
子どもたちの周りにも、スライムたちが群れるだろうから、身の安全は確保されている。回復魔法の使えるケットシーもいるし、もし転んでけがをしても安心だ。
色々考えて現実逃避をしていたが、いくら時間が経っても状況が変化しない。やはり、今回は全員で向かうようだな。
従魔たちも、スライム以外ほとんどが出張ってくるようで、生活するためのスペースをしっかりと確保しておかないといけないな。想定していたサイズの10倍くらいは無いと、従魔たちがストレスをため込みそうだ。
地上を自由に走り回らせると、混乱する人間が多くなるので、俺たちと行動するとき以外は外に出せないから、運動するスペースを作ってやらないといけないだろう。
あ~、従魔たちならマイワールド内で自由にさせておけばいいか。あいつらなら、勝手に順番を決めてマイワールドへ移動して運動するだろうし……よし、ダマよ、こっちこい。
お前は、あいつらのトップだったな? 俺や子どもたちが、出かけるとき以外は邪魔になるから、待機メンバー以外にマイワールドにいるように言っておけ。待機メンバーがあまりに多いと邪魔だから、適度に数を減らすように言うんだぞ。
ダマを押して送り出そうとするが、断固として動かないを体現するかの如く、押し進めている部分の庭がえぐれている。どれだけ嫌がっても、お前がトップであることは変わらないんだから、さっさと行って話してこい。
それでも必死に抵抗を続けるダマ。
自分から言うと恨まれるから、俺かシルキーたちから話してもらうように懇願してくる。俺が言っても、本気で言わないと効果がないだろうから、ここはシルキーにお願いするか。鬼軍曹とも名高い、スカーレット軍曹! よろしくお願いします。
「鬼軍曹とは失礼ですね。言わなくても、顔で大体何を言いたいか分かりますよ。ですが、あの馬鹿どもを大人しくさせるには、私たちしかいないでしょうね」
そういって、ふよふよ飛びながら従魔たちのもとへ。
スカーレットが現れると、全員が不動の状態となり、命令されるのを待っているように見える。こいつら……どれだけ調教されたのやら。それだけ悪さもしているってことなんだよな……いつもと変わらないのは、スライムたちだけだな。
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