2035話 行動が開始される
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ダンジョンの中なら見れるのに、支配エリアってだけじゃ見れないのは不便に感じてしまうよな。本来なら見えるだけでも、かなり便利なはずなのにな。
話し合いも終わり、執務室でダレながらマップ先生をいじり、何とかならない物か考えている。
無理だと諦め、この先の事を考える。
少なくとも2時間後のお昼過ぎには、暗部が集めた内部情報を知ることができるだろう。何もなければ、俺がかってに誤解しただけだと笑い話になるだけだ。何もなくそうなった方がいいのだ。だけど、万が一に何か起こっていたら困る。
違和感が何かを調べることでそれが解消できるのであれば、一部の人間が苦労をすればいい。そのために働いてもらう人員なのだから。
レイリーから連絡が入る。
『準備ができましたので、先方に連絡を入れ訓練を開始しても問題ないでしょうか?』
レイリーが2時間必要と言っていたのに、1時間で済んだようだ。
「暗部の準備は……問題ないようだな。なら、後のことはレイリーに一任するから、訓練を行ってくれ。もし何かがあれば、連絡を入れてくれれば対応するから、よろしく頼む。あ、訓練後には、全員が休めるようにバザールに協力してもらうから、酒を準備しておくから全員で酔い潰れてもいいぞ」
『それはそれは。訓練する兵士たちの指揮が上がることでしょう。ですが、羽目を外さないようにだけ注意させていただきます』
レイリーが行動を開始したみたいだな。
っと、忘れる前に、
「シルキー、誰かいるか?」
『はいはい、どうなさいましたか、ご主人様』
「アマレロか。レイリーからの連絡は来ているよな? 今回は誰が派遣されるか決まっているか?」
『シルキーからは、誰もいきませんね。ブラウニーから10人ほどがついていき、現地にいる者たちと一緒に宴会の準備をさせます。お酒の準備も出来ていますので、問題ありません』
おっと、俺が指示する前に、秘書たちからの伝言がしっかりと伝わっていたようだな。
俺は満足気に頷いて、過不足ないように料理を出すようにお願いする。
仕事は終わっているから、手持無沙汰である。何もしていないと色々考えてしまいそうなので、猫たちに相手をしてもらうことにした。
まずはテトだ。
ダマの通訳で猫じゃらしに興味は無い! と言っているが、俺の取り出した猫じゃらしを片眼で見て、尻尾がピクリと反応する。左右に振って、突然スピードを変えてみたり、止めてみたりすると……その度に尻尾が反応している。
興味ない風を装っているが、実は遊びたくてたまらないのだろう。ツンツンしすぎな猫である。
俺は容赦なくテトに猫の本能をむき出しにさせる。
手の届く位置まで猫じゃらしを進め、目の前で飛び掛かりたくなるように動かす。少し離れていた場所でやっていた時は、余裕を見せていたが、今は目の前で手が届く範囲で猫じゃらしが動いている。
となれば……テトは我慢できずに猫じゃらしへ飛びついた。素早く動かすとそれに合わせてまた飛び掛かる。5分ほど猫じゃらしに熱中したテトをみて、ニヤリと笑う。
そして俺の表情を見たテトが、やっちまった! みたいな顔をして、寝ていたランのお腹の下に逃げ込んだ。
その様子を見ていたダマが、ため息を漏らすので、大きな猫専用に作った巨大猫じゃらしを取り出す。
全長は2メートルを超え、先に付いているフワッとしたところは、全体の4分の1ほどあるだろうか。そしてフワッとしたところの太さは、成人男性の頭を軽く凌駕している。
ダマは小さい姿だけど、これを使うと面白いように飛びついてくるのだ。
我慢できなくなったダマが突っ込んできたので、うまく誘導してバク宙をさせる。たまに失敗して背中から落ちることがあるけど、高さにして2メートル程度なので、ダマにとっては大したことがないようだ。
うちの魔物に進化した飼い猫でもできるか試したことがあったが、高く飛びあがるだけでバク宙をすることは無かった。猫じゃらしがそのような軌道をとれば、反転して飛びつくような、頭の賢い猫たちで困るわ。
ダマと遊んでいると、ライもツッコんできて、2匹のモフモフが絡み合っている。眼福である。
ガチャッ!
誰かが入ってきたな。ノックがないから、多分
「あぁ!! 私もダマちゃんと遊ぶ! あっ! ライちゃんも遊んでもらってるんだね、私がシュウと交換するから楽しんでね!」
そう言うと、俺から猫じゃらしを奪って、2匹と遊び始める。
「自分では飼えないのに、猫が好きで大変でござるな。某の準備も出来たでござるから、戻ってきたでござるよ」
後ろから入ってきたバザールが呆れの言葉と共に、準備完了の報告をしてきた。こいつらが戻ってきたのは、リアルタイム映像を見るために、この部屋を使うためだ。
指令室でもいいのでは? と言われたが、グリエルたちも関心があるようで、時間ができたら見に来ると言っていたので、指令室の次にハイテクなこの部屋を使うことになったのだ。
バザールは、軍が演習を行った後に警備に当たるスケルトンたちの準備で、綾乃は映像を見るための人造ゴーレムを準備していた。それが終わって送り出したので、こちらに戻ってきたということだ。
綾乃が準備してくれた人造ゴーレムにつないで、視界をいくつも準備しているモニターへ移していく。
目の前で演習が開始された。
俺の興味はこっちじゃなくて、暗部の方なんだよね。暗部の何人かにも、眼鏡式のカメラを準備して、視界を共有している。
映し出された映像には、暗部を示すネームタグをつけており、強制査察に踏み込むところだった。ネームタグを見たその街の庁舎の受付の人間が、驚いた顔をしている。
ん? 俺の予定では、隠れて調べさせるつもりだったのだが、暗部は堂々と調べることにしたようだな。だけど受付の人、早く上司に知らせなさい。
そう思っていると、慌てて動き出し、上司へ連絡を入れたみたいだな。続けて何処かへ連絡を入れている。その何処かって言うのは、俺の秘書の所なんだけどね。暗部の査察があるのかを確認するためだな。
これがマニュアル通りなので、問題は無い。
暗部が正面から来た際は、必ず俺の秘書に確認を取るようにしてあるのだ。グリエルたちが、ネームタグを密造して情報を抜き取る輩がいるかもしれないと進言してきたので、ネームタグと俺の許可が揃って初めて、暗部が強制捜査を行えるようにしている。
面倒だけど、ダマされないように配慮した結果、こういう形になったのだ。
出てきた上司は……慌てていたのか、少し汗をかいているな。
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