2017話 わかりやすい?
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抱きかかえられた3人は、良く分からないがはしゃいでいる感じだな。
シンラの様子を見ると、両脇にプラムとシオンがいるからか、ちょっとムスッとしているが、抱きかかえられて運ばれているのが楽しいのか、ちょっとテンションが高い気がする。俺にはあまり抱かれたがらないのに、楽しい事がある時だけは違うんだよな。
プラムとシオンは……ちょっと早めに移動しているので、楽しんでいて声をあげているが、俺に抱かれていることが不服です! という視線をちょいちょいこちらに向けるのは、止めていただけませんかね?
相変わらず、俺には冷たい娘たちだな。少しは姉たちを見習ってほしい物だな。
「また変なこと考えて……そんなこと考えているから、プラムちゃんたちにそういう態度を取られるのよ。子どもは、思っている以上に敏感なところがあるんだから、考えるのを止めろとは言わないけど、少しは隠す努力をした方がいいと思うわ」
カエデに突っ込まれた。別に変なことではないと思うのだが……カエデにドンピシャで言い当てられたので、カエデたちから見ると十分に変なんだとさ。俺の心の機微を察するとは、この子たちはもしかしたら天才かもしれないな!
「シュウが分かりやすいだけよ」
リンドにも突っ込まれた。ん~、俺ってそんなに考えていることが分かりやすいのかな? ポーカーフェイスとは言わないけど、妻たちも含めて、よく考えていることをドンピシャで言い当てられるんだよな。本当に不思議だな。
「私たちだって、全てが分かるわけじゃないわ。特に、異世界の知識が関わってくると、何を考えているか本当に分からなくなるわね。私たちも勉強はしているけど、やっぱり元の情報量も違うから察するのは難しいわね。ただ、表情であくどい事を考えているかは判断できるけどね」
地球……日本の知識か? そんなこと考えたことあったっけ? ん~、思いつかないけど、カエデたちが言うのだから、何かしらがあったから、そういう風に判断しているんだよな。
表情から察せられないように、無表情でしゃべってみるのも対策の1つだろうか?
「ポーカーフェイスを使ったからと言って、シュウの考えていることが分からないわけじゃないわよ。表情は大きな判断材料になるけど、考えを読むのはそこからだけじゃないからね。表情が無ければ、何とかなるって話でもないのよ」
解せぬ。無表情を作りポーカーフェイスを実践してみたのに、カエデには俺の考えていることを言い当てられてしまった。リンドも苦笑いしていることから、こちらにもバレていたみたいだな。何でわかるんだよ!
「別に悪い事じゃないんだけど、感情の起伏が分かりやすいのよね。それなりの時間一緒にいるのだから、考え方も理解しているし、方向性だってみんな分かってるからね。それに表情を合わせて考えれば、大体のことは分かると思うわよ」
考え方や方向性を理解しているから、表情が無くなっても大体のことは分かってしまうみたいだな。本来ポーカーフェイスは、ゲームの対戦で使う技術であって、日常生活で使うには無理があるのだとさ。常日頃から無表情を心掛けているのならともかく、普段表情が豊かな俺がそんな顔をすれば、バレバレなんだってさ。
妻たちに考えているのがバレるのは良く分かった。だけど、何で子どもたちにまで考えていることがバレているんだ?
「それも表情なんじゃないかしら? 考えている内容は分からなくても、ろくでもなかったり、害があるのかないのかは解ったりするものよ。シュウは、とにかくわかりやすいからね」
色々バレバレみたいだな。俺が心の中で考えていることと、普通に会話が成り立つんだから、正直エスパーなんじゃないかと思うけど、俺が単純で分かりやすいからこういう結果になっているみたいだ。
大分前に食堂について、3人を解放している。子どもたちの様子を眺めながら、色々考えていたのだが、隣で俺に付き合ってくれていたカエデとリンドが、俺の心の中の声と会話をしてくれていたのだ。
その様子を見ていた他の妻も、ブラウニーたちも一切気にする様子が無く、またいつものあれか? みたいな感じで、優しい目をこちらに向けてきている。
なんとなく、みんなの考えていることが分かる気がする……残念な子を見るような表情は止めてくれ!
その後も色々話して、分かった事がある。
話の流れや内容で俺の考えていることを推察できるが、唐突に俺が何を考えているのか聞けば、いくら表情が豊かでも誰も答えることは出来ないそうだ。そんなことを聞いたときの妻たちの目がかなり痛かったけどな。
誰だって、いきなり何を考えているかいかれれば、答えられるわけがないでしょ! と、怒られてしまうくらいには、アホな質問をしていた。もしその状態で考えていることが分かるなら、本当に考えていることを読み取ることのできる能力の持ち主だけだな。
あまりにも必死になりすぎて、妻たちにドン引きされた後の昼食は、何故か空しかった。子どもたちもいるのに、心の中がひんやりしていた。
何とか立ち直ると、ミーシャたちからお誘いがある。何のことかと思ったら、ドリアードたちに芽が出ているのと出ていないの、育ちが悪いやつの違いについて聞きに行くらしい。そう言えば、そんな話をしていたな。すっかり忘れていたよ。
子どもたちよ、許してくれ。そして下の子たちよ、忘れていたからと言って、俺の足に猫たちをけしかけるのは止めるんだ。
自分で攻撃しても効果が無いと悟ったシンラたちは、猫たちを味方につけ、俺の足に噛み付かせたり引っ掻かせたりしている。無駄な知識をつけるんじゃない!
この猫たちも魔獣化した時にLvをあげているので、地味に俺の防御を突破してダメージを与えてくるのだ。噛みつきは大したこと無いのに、爪の引っ掻きというか突き刺し? と言えばいいのか、その攻撃がめっちゃ痛い。
痛覚をピンポイントで攻撃されたような痛みがするのだ。思わず「いた!」と声をあげてしまったくらいだ。
俺の従魔たちは子どもたちの命令を聞いて、悪戯はしてくるがここまで本気で攻撃はしてこない。それに対してこの猫たちは、召喚したのは俺だが、実際の所は俺の従魔ではないのだ。誰に属しているわけでもないペットなのだが、猫たちの中で俺のヒエラルキーは最下層らしく、このありさまである。
俺が言ってもカジカジするのを止めないので、伝家の宝刀……「シルキー!」と呼び出す。
そうすると、猫たちが散らばって逃げ始めた。
アマレロがやってきて、これは少しお説教が必要ですね。と言って、怖い笑みを浮かべていた。
もうすぐドリアードたちが来るので、ウッドデッキに行こうと急かせれ、移動する。
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