2015話 対応終了
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俺に攻撃をしていたプラムたちが落ち着いたところで、シンラをプラムたちの近くへおろす。シンラは降りるのを嫌がるが、今日は職場に連れていくつもりは無いので、息子よ家で待機しているのだ!
すぐにプラムたちに抱き着かれ身動きが取れなくなったが、唯一動かせる足で俺の脛を蹴ってきた。不意打ちに慌てて足を引こうとしたのだが、スライムたちが俺の足を固定しており、シンラに俺の事を蹴らせるつもりのようだ。
見事に脛へ爪先蹴りを行う。
次の瞬間、シンラが泣き出してしまった。
そりゃそうだ。地球で行われた常軌を逸する修行で鍛え抜かれた体ではないが、ステータスを見ればこの世界でトップクラスだ。その俺のステータスが、シンラの蹴りを攻撃を認識して、補正がかかっている状態で爪先をぶつけたような物だ。
例えるなら、コンクリートの分厚い壁を爪先で蹴ったような物だ。この結果は、分かり切っていた。蹴りを避けようとしたことで、補正がかかってしまっていたのだ。
プラムたちの攻撃は、甘んじて受けていたので、ステータスによる補正は無く、普通の肉体に攻撃をしていたようなたちだ。
だからさ、プラムとシオンよ。今回は俺のせいじゃなく、足元にいたスライムたちの……あいつらどこ行きやがった? あいつらのせいなんだから、後でつかまえてお仕置きしておいてくれよ。
朝から変なトラブルに巻き込まれてしまったな……
いつもより大分遅れて庁舎に到着する。俺は朝早くからいてもいなくても変わらないので、庁舎は普通に活動を開始している。
俺の事を見つけたグリエルが声をかけてくる。もう少ししたら、執務室に伺いますだとさ。グリエルたちには、まだ詳細は送られていないのかな? 記録は健司から送られてきたけど……詳細は誰が作るんだ?
気にしてもしょうがないので、グリエルたちが来るまでは、のんびりと仕分けされた書類でも読んでますかね。
20分ほどすると、グリエル、ガリア、ゼニス、レイリーが執務室へ入ってきた。
健司が作成した、時系列表を見せて簡単に説明していく。結果さえわかれば問題ないのだが、情報共有をしておきたいこともあったので、一連の流れを説明した。
特に、催眠弾の効果は、詳細に書かれており、使用に関しては取り扱い注意が必要な物として指定された。
催眠弾を間違って使ってしまった場合、半径数百メートル範囲の人間が眠ってしまうので、万が一にも誤爆させないような機構を考え必要が出てきた。
「今回の騒動に関しては、勇者の神授のスキルによる付与効果で、フレデリクをターゲットにしていたみたいだ。1つでは効果が発揮されず、特定の複数のサプリメントを服用したときに効果が出るようになっていたらしい。男しか死ななかったのは、男性用の精力剤がトリガーとなって効果が表れるように作られたんだとさ」
「でしたら、精力剤のみを禁止する形にすればよろしいですか?」
「意識的に付与しなくても、効果が発揮される可能性があるから、サプリメント系は全部回収した方がいいと思う。いくらかかってもいいから、買い取るように指示を出してくれ。
問題なのは、こっちが使えるスキルで付与効果を発見することができないので、神に返すのは絶対に阻止したいから、うちのネルが引き継ぐことになった。薬関係に強くなるスキルなので、欲しい人が多いと思うが、悪用されないためにも、こっちで引き継ぐことに決めたから」
「調べる方法の無い特殊効果ですか……予想以上に厄介なスキルですね。ネル様が引き継ぐことに何の問題もありませんな。軍部を預かる人間としては、プラス効果を発揮する付与で使いたくはありますが、悪用を考えるとシュウ様の判断が妥当だと思います」
レイリーが肯定し、それに追従するように他の3人も肯定してくれた。
「サプリメントの件は了解しました。回収に当たって、どこまで情報を公開しますか?」
「サプリメントに特殊な効果があり、最悪死に至る恐れがあるため、買い取り回収します。って感じでいいだろう。勇者と軟禁していた侯爵に関しては、後で国王に連絡を入れておくわ。話せば襲撃の件もバレるけど、今回の事を全部伝えて話し合うわ」
「了解です。すべての街で、情報公開と同時にサプリメントの買い取り回収を告知します。告知以降に飲んでしまった場合は、自己責任ということにしておきます。今回サプリメントで亡くなった男性のご家族には、手厚い保障を実施します。こんな感じでよろしいですか?」
「保障に関しては、仕事のあっせんや子どもたちの養育費など、漏れがないように頼む。街のお金じゃなくて、俺のお金を使ってくれ。今回は、俺の関連する場所として、フレデリクが狙われたみたいだから、街の御金は使うなよ」
使っても問題ないと言われたが、今回の件は対応が後手に回った事もあり、発端は俺を狙っていたので、有り余る資金から手厚く保障するように指示を出した。
報告も終わり、通常の状態へ戻った。
「シュウ、追加の報告に来たよ。勇者はあれ以上有用な情報は吐かなかったみたい。バザールと暗部の人が念入りに確認して、ツィード君にもいじってもらったけど、何もなかったよ。侯爵の関係者が関わっていたから、どう対処するか検討が始まってたわよ」
おっと、報復活動について話し合いが始まってたか……それに関しては、こっちの話し合いが終わってからなので、すぐに暗部に連絡して話し合いを中止させる。バザールもいたようで、実行しなければ問題ないでござるから、報復の計画だけしておくでござる、だとさ。
バザールは止めても良かったのだが、暗部が止まらない感じだったので、検討だけさせてそこで満足してもらおうという話らしい。
よし、これで庁舎でやることは最後だな。アリスは……すでに分別を終わらせて、自分の持ち場に行ったみたいだな。
国王へホットラインを繋ぐ。
『このタイミングでシュウ殿か……もしかして、侯爵の街に何かしなかったか?』
「したした。勇者を拉致って、今回の騒動について証言を得たから、一応そっちに伝えておこうと思ってな」
『やはり、シュウ殿だったか……侯爵の話では、かなりの人数が被害にあって死んだらしいのだが、どうしてこういうことになったのだ?』
「死んだ……? 俺たちは、眠らせて勇者だけを拉致って来ただけだぞ。重傷者はいたかもしれないが、死者はいないはずだ」
『そう言うことか……分かった。勇者を拉致られた侯爵が、癇癪を起こして警備を担当していた人間たちを処刑して、それを襲撃者に押し付けたのか。それで、今回の騒動とは何のことだ?』
「それは、侯爵の息子が勇者を使って、フレデリクにちょっかいをかけてきた。こっちには死者が数名出ており、原因が分からなかったので、可能性のある勇者を拉致って拷問したら、全部はいてくれたよ」
『襲撃前は、可能性だけだったってことか。そちらは殺していない、勇者じゃなかったときのことを考えて、殺しをしなかったということか。つじつまが合うな。連絡してきたということは、こっちに何かをしてほしいということかな?』
「こっちには死者が出ている。侯爵とその関係者には、しかるべき対処をしていただきたい。生温い事をするなら、こっちで処分することになるからな。多少は見逃すが、侯爵と主犯の息子は厳罰に処してくれよ。後で、こっちが知っている今回の件の情報を送っておくから、読んでくれ」
『了解した。こちらでも調べを進めて、情報を照らし合わせる。侯爵と息子には、病気になってもらい、爵位は優秀な親族に引き継がせることにする。終わり次第、詳細を届けさせる。忙しくなるので、また今度』
さて、帰りますかな。
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