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ダンマス(異端者)  作者: AN@RCHY


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2005/2519

2005話 束の間のひととき

アクセスありがとうございます。

 昼食を食べ終わっても、食堂に居座っている綾乃を見て……


「なんで残ってるんだ?」


 思わず聞いてしまった。


「初期の報告ならすぐにくるだろうから、シュウの近くにいるだけよ。どうせ呼び出されるんでしょ?」


 ……確かに、言われてみれば、こいつの家は俺の家の敷地に隣接しているので、呼び出すだろうな。ダンジョン農園に作った指令室って言う線もあるけど、今回はあそこを使う必要はないから、どこでも問題なかったりするんだよな。


 綾乃がしばらく居座るということが分かったので、ブラウニーたちに食堂の隅に綾乃のスペースを作るようにお願いする。1分も経たないうちに、駄目人間製造機の様な一角が完成する。何も言っていないのに、呼吸をするかの如く移動する綾乃……


 気にしてもしょうがないな。俺はウッドデッキに出て、娘たちが世話をしているプランターを眺める。


 ふむ、芽ってもう出てるんだな。こんなに早いんだっけ? 種を植えてからどのくらいで発芽をするか知らない俺は、判断に困った。畑エリアの知識は全く役に立たないから、この状況が正常なのかどうなのか良く分からない……


 ドリアードも様子を見に来たようで、話を聞いてみた。そこで1つの事実を知る。


 プランターや畑で育っている植物たちは、本来の成長速度らしい。早いもので3日程、遅くても1週間ほどあれば目が出るのが普通らしい。畑エリアでは数倍の勢いで育つので、半日で芽が出ることがあるそうだ。


 アスパラは、普通でも1日に10~20センチメートルとか伸びるらしく、朝昼夕と3回収穫が必要になるのだとか。そのアスパラを畑エリアで育てると大変なことになるらしい。テレビの早送りみたいなスピードで、ニョキニョキと育つらしい……広さにもよるけど、悪夢だな。


 なので、成長の速い植物は、途中で植え替えているらしい。そうでもしないと、収穫しても食べられなくなってしまうからだ。畑エリアの一角に早く育たないエリアを作って、収穫時期に合わせて植え替えるんだとさ。手間がかかってるんだな。


 そう言えば稲とかって、刺激を与えると多少太く成長するらしいけど、他の食物ではやらないのか聞いてみた。結論は、物によるらしい。ストレスで強く育ったりするらしいのだが、ストレスに弱い植物はあるし、そんなことしなくても育つ植物ももちろんあるのだとか。


 植物にあった育て方が重要だということらしい。俺も知っているトマトで、あらためて説明してくれたよ。


 子どもたちの好きな甘いフルーツトマトは、水分を制限してトマトにストレスを与えることで、必死に生きようとして糖分を蓄えるから、あれだけ甘くなるのだ。


 ドリアードと話しながら、プランターの様子を眺めていると、いくつかのプランターでは芽がまだ出ていなかった。もう出ていないとおかしいのに……どうして?


 植えた時期があっていないので、タネのまま発芽しなかったということが正解らしい。娘たちに失敗から学んでほしいと、時期に合わない植物も育てさせてみるとか言ってたっけ? それがここのプランターたちなんだな。


 そんな話をしていると、シンラがウッドデッキに出てきた。後ろからプラムとシオンが付いてくるのは、いつもの光景だな。よたよた歩きながら、自分たちの世話をしている鉢の前に向かって行く。


「ドリー、これ、こう?」


 なんだと! シンラよ、お前ってそんなにキレイに発音できたのか!? 俺の事なんて、おい! とか良く分からない言葉でしか呼ばないのに、ドリアードの事をドリーって呼んでるし、このやり場のないモヤモヤをどうすればいいんだ!


 スパーンッ!


 痛くないけど、いい音が鳴った。これはハリセンだな。しかも謎技術を詰め込んだ、綾乃特製のハリセンだ。


「シュウ、またくだらない事考えてたんでしょ。それよりもバザールからまだ連絡ないの?」


「どうでもよくないわ! シンラがドリーってドリアードたちの事を呼ぶのに、俺の事はお父さんでもパパでもいいのに、呼んでくれないんだぞ!」


「……本当にどうでもよかった。ちなみに、この子たち私の事は、あやーって呼んでくれるわよ。シュウより仲がいいかもしれないわね」


 なんだと……


 スパーンッ!


 今度は若干痛かった。誰かと思ったら、シンラたちに付いてきたライラだった。小言を貰ってしまった。


 シンラたちが何をしているのか気になったので、様子をうかがっていると、植物を育てているという認識があるのか、水やりについてドリアードに相談しているみたいだ。早く育ってほしいから水をたくさんあげたいようだけど、あげすぎると死んでしまうと教わっていたので、確認しているみたいだ。


 この歳でそこまで理解しているとは……こいつ天才か!


 っと冗談はさておき、この子たちは何を育てているのだろうか? ドリアードたちに聞いてみたが、秘密と言われてしまったので、大きくなるのを期待して待つしかないようだ。


 世話が終わると、いったん子ども部屋に戻り、クッションを持ってまたウッドデッキに出てきた。何をするのかと思えば、日当たりのいいところにある椅子にクッションを置き、3人で埋まるように椅子に座ってくつろぎ始めた。


 ブラウニーたちがストロー付きコップで飲み物を運んできて、それを受け取りオッサンくさく、プハーッとか言ってやがる。こいつの生態は謎過ぎるな。プラムたちはシンラの真似をしてはいるが、プハーッとまではしていないな。


 そんな様子に苦笑していると、バザールから連絡が入る。一応会って話したいとのことで、使う予定の無かった指令室へ向かう。もちろん綾乃も付いてきているぞ。近未来的な監視室で働いているスプリガンの皆さんに挨拶をして、奥へ入っていく。


 ここにはゲートがあるのだが、実は何処ともつながっていない。このゲート自体はマイワールドに繋がっているのだが、その先へ移動する方法が無いのだ。俺はゲートをくぐり、暗部が使っているマイワールドにゲートを作る。そこを通ってすぐにバザールが現れた。


 指令室へ戻り、飲み物を持って来てもらい、監視の途中報告を聞く。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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