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ダンマス(異端者)  作者: AN@RCHY


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1997/2519

1997話 いつもと違う

アクセスありがとうございます。

 いつものように朝食を食べ庁舎へ向かおうと、玄関へ移動する。


 パターンとしてあるのは、シンラがプラムたちに追いかけられ俺と一緒に行くと騒ぎ出すか、一緒に行く妻たちだけで玄関を出ていくのだが……今日は一味違った。娘たちも一緒に玄関まで来て、見送りをしてくれたのだ。


 その理由が、


「とーたん、早く帰ってきてね!」


「今日の午後は一緒なんだからね!」


 と、父親の俺なら娘から言われたら、涙を流して喜ぶところなのだが、その中心にプランターや畑があって、俺は付属物みたいな扱いなのが寂しい。今日はタネを植えるので、絶対に早く帰ってくるようにという念押しである。


 複雑な気分ではあるが、嫌われていないことを喜ぼう。


「なんで百面相なんてしているんですか?」


 今日のお供のキリエに突っ込まれてしまう。


「大体予想は突きますが、シュウさんって本当に娘たちに嫌われないか心配していますよね。そんな事なんてありえないのに、本当に心配症だよね」


 メルフィーがキリエの疑問に答える。だからさ、どうして君たちは俺の考えていることが分かるのかね? 分かりやすい顔なんてしてないと思うんだけど、そう思っているのは俺だけかな?


「考えていることが分かるわけじゃないですよ。今の状況とシュウさんの考え方を元に、百面相している理由を考えれば、大体のことは間違いないと思いますよ。分かりやすいんですよね。よく言えば、表示着物というところでしょうかね」


 と、ライムが、今まで俺が疑問に思っていたことを答えてくれた。やっぱり俺って、分かりやすい人間なんだな……たまに子どもたちにも考えていることが、筒抜けだったりするし、こんなんで大丈夫か?


 娘たちに見送られ、シンラには早く行けみたいな仕草をされ、キリエ・メルフィー・ライムと一緒に庁舎へ向かう。


「そういえばさ、この3人って珍しくない? 俺が勝手に分けたグループから1人ずつって、今までなかったよね? 何か理由があったりするのか?」


 庁舎に向かいながら歩いている時に、気になったので聞いてみた。


 年長組からライム、年中組からキリエ、年少組からメルフィーと、全員妻だけど大きく分けた時に、グループとして集まって行動していたメンバーから、1人ずつって珍しかったので聞いてみたのだ。


「ん~特に理由は無いかな? シュウさんが私たちを分けた時の年齢を考えれば、ある程度近い年齢で集まった方がいいというのは分かります。ですがあれから何年も経っているんですよ。歳の差は変わりませんが、みんな成長しているということですね」


 なるほど。極端な話をすれば、10歳と15歳の歳の差5年と、40歳と45歳の歳の差5年って全く違うもんな。そう考えればグループが違っても、一緒に行動するのは不思議じゃないか? でも、最近までなかったのに、急に何でだろうな?


「今も集まっているのは、シェリルちゃんたち3人くらいだよね。シェリルちゃんたちは仲がいいというよりは、3人で一緒にいるのが当たり前みたいな感覚だよね」


 メルフィーがそう教えてくれた。あの3人はいつも一緒だよな。ミーシャたちみたいだな。


「今は、上下関係なんてほとんどないよね。前は、歳の差があって上下関係みたいなのはあったけど、今はミリーさんたちを除けば、歳の差なんて関係なくなってるかな。集まったときのまとめ役はだいたい決まっているけど、まとめ役であって上下関係とはまた違うよね」


 キリエがメルフィーの後に、今の妻たちの関係について話してくれた。上下関係が無くなってきてるんだな。


「でも、ふとした時に、昔の上下関係というか、歳の差で構築された関係性は出ちゃうよね」


 メルフィーが笑いながらそう言うと、キリエもライムもつられて笑っている。下の子たちから見れば、お姉さん的存在だった人たちへの敬意はあるんだろうな。それを考えれば、上の子たちから見れば、妹的存在だった人たちを甘やかしたりするのかね。


 道中に妻たちの関係性を教えてもらったが、結局各グループから1人ずつメンバーが選ばれた理由は教えてもらえなかった。たまたまだったのかな?


 庁舎ではいつも通りに仕事をこなして、グリエルたちと2~3ほど雑談をしてから家に戻る。


 家の前につくと、不思議な光景を目の当たりにする。


「スライムたちが玄関の扉に張り付いているように見えるけど……」


「偶然ですね。私にもそう見えます」


 ちょっとしたジョークに付き合ってくれるライム、俺の事をよく理解してくれているな。


「ゲームでありそうなシチュエーションかな? スライムを全部排除しないと中に入れない……みたいな?」


 メルフィーは、ゲームで使われていそうな場面を思い出したのか、スライムたちをどうしようか考えている感じだな。


「こういう時のスライムって、無敵っぽい感じのが多い気がするから、スライムたちの嫌がる物を近付けるとかかな? ゲームによっては火が苦手だから、たいまつを近付けるとか?」


「そこは、火魔法でいいんじゃない?」


 キリエがメルフィーの話に乗って、スライムたちをどける方法をアドバイスしている。そして、メルフィーもウンウンとか頷かない。このスライムたちは、ニコから生まれてるんだぞ! 火魔法で退治するにしても、丸ごと家を焼くような火魔法を使っても死なないからな!


 イタッ!


 頭を叩かれた。


「シュウさん、本当に火魔法なんて使うわけないじゃないですか。冗談にツッコミを入れるような顔をしないでください」


 また考えていることがバレてた。


「っと、本当にこの状況は何なんだ? 玄関から入れないなら、裏に回って食堂の裏口から入ればいいだけなんだけど……相手はスライムたちだから、考えても分からないよな」


 そういって移動をしようとすると、どこに隠れていたのか俺の方に向かって何匹かスライムが跳んできた。俺に張り付くと、拘束でブルブル震えている。


「シュウさんに抗議してるみたいですね。言い方が気に入らなかったのかもしれないですよ」


「そう言われても、実際にお前たちの考えている事なんて分からないぞ。分かるのはシンラたちくらいじゃないか?」


 分からんと言って引っぺがそうとすると、なかなか離れずに徹底抗議の構えのようだ。分かった分かった、俺が悪かったって。で、誰か俺の質問に答えれるのはいないのか?


 ダメもとで聞いてみると、張り付いていたスライムの一匹が触手を伸ばし、俺たちを誘導する。


 辿り着いたのは、食堂の裏口……向かおうとしてた場所だな。そこから中に入る。食堂に入る前の部屋で、風魔法を当てて汚れを落とし、靴からスリッパへ履き替える。


 中に入ると、スカーレットがこちらを発見して、事情を説明してくれた。


 どうやら、玄関でシンラたちが寝ているそうだ。3人で寝てるなら、子ども部屋に連れていけばいいんじゃないかと思ったが、ウルを除いた子どもたちが、玄関にあるソファーで寝てしまったのだとか。


 無理な体勢にならないように、スライムたちが体を使ってガードしているが、6人が気持ちよさそうに寝ているので、そのまま寝かせておくことになったらしい。スライムたちは、玄関から俺たちが入らないように集まっていたんだとさ。


 ミーシャたちが寝ているのは珍しいが、今日の事が楽しみで夜にあまり寝れていなくて、午前中の運動の後に俺を玄関で待っている間に寝てしまったみたいだ。例えるなら、遠足前の子どもかね? 実際に楽しみ過ぎて寝られなかったって人、見たこと無いけどな。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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