1987話 黒幕判明!
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苦しくて目が覚めた。
あ~、デジャヴュやな。何でこうやって起こされるのか意味が分からんけど、空気を取り入れるために息を吸い込むと、シンラの匂いがする。匂いだけで子どもたちの判断ができるのは、普通なのかね? 娘たちも一人ひとり匂いが違うから、分かりやすいんだよな。
っと、シンラの匂いはいいのだが……若干臭いぞ。寝ている間に自分ではけるパンツタイプのオムツに、小便をしただろ。俺の顔に張り付くならな、せめてお漏らしをしないでほしいのだが……こいつに言っても無駄なんだろうな。
クスクス笑っている声も聞こえるから、妻たちの何人かは現状を見ているんだろうな。どういう状況でこうなったのか聞いてみるかな。
顔に張り付いたシンラを引き剥がしながら小脇に抱え、水を使っても問題ない場所へ移動する。
眠気眼の息子をくすぐって起こし、自分で服を脱ぐように促す。目が覚めて違和感があるのだろう、すぐに服を脱ぎ捨てたので、魔法で再現したシャワーで体を流してやる。自分で体を擦っているのが、何となく面白いな。
別に本人的には、汚れているからやっているのではなく、シャワーを浴びる時はこうする! みたいな感じで、この行動をとっている。最近は自分でやりたがることも増えてきたから、その一環なんだろうな。
一連の流れを見ると、お漏らししたからキレイにしているように見えるのだから、不思議である。
身体を洗っているつもりなのだろうが、手には何も持っていないので手を肌に擦り付けているだけなんだよね。洗っているふりをしているみたいで、面白い。
最後には、俺が手に子ども用のボディーソープをつけて泡を立ててから、シンラの体を泡まみれにしていく。
ってお前! 体を洗っている最中にお尻の穴に軽く指が当たった刺激で、大きい方をし始めた……庭で脱糞ですか。子どもだから自由でいいんだけど、俺の手に付いたのを見て笑うな。
近くにいたブラウニーが慌てて準備してくれたお丸に座らせ、思う存分に大きい方を出させる。
俺は、ダンジョンの穴を作り、そこで手をきれいに洗う。3回ほど洗ったが、まだ匂いが付いている気がするんだよな。そんなことないのだが、気持ちの問題なのでどうしようもない。
トイレの訓練を始めてはいるが、不意打ちの刺激で出てしまったのだろう。それに、たまにもらしてもおかしくない歳ではある。
すっきりしたシンラは、眩しいほどの笑顔で俺を迎えてくれた。自分では拭けないので、妻の誰かに手伝ってもらったのだろう。まだ体の所々に泡が付いているので流してやり、再度軽く泡まみれにして流してやると満足したようで体を拭き始めた。
自分で拭けるようになったのかと、少し感動したのだが、拭くのは体の前だけ……後は俺が拭くのな。初めからやらせてもらえた方が手間は無いのだが、自分でやらせることも大切だからな。もう少し大きくなったら、自分でやるんだぞ!
陰部やお尻にかぶれは見えないが、一応ベビーパウダーをつけてやると、満足したように自分で服を着始める。パンツは問題なく自分では蹴るみたいだな。ズボンは……面倒だからはかない感じか? 上着は脱げるけど着れないらしい……あれ? 普通って逆じゃなかったっけ?
脱ぐ方が難しくて、切る方が簡単だった気がするのだが……どっちがどっちだ?
こいつの事だし、どっちでもいいか。そのうち自分でできるようになるだろう。服を全部着せてやると、訳の分からないポーズをとってからエアーベッドに戻っていった。まだ寝るのか?
シンラはすぐにまた寝てしまったので放置をして、妻たちにシンラがどうやって顔の上に来たのか聞いてみた。
どうやらシンラ1人の力であの位置に来ているわけではないそうだ。それは考えれば分かることなのだが、どうしてそういう状況になるのかを知りたくて聞いているんだけど……
そう聞くと妻たちは苦笑するように俺から視線を外して、シンラたちの寝ているエアーベッドの方を見る。俺もその視線につられて振り向くと……エアーベットの影から、こっそりとこちらを覗いてきている丸い物体がそこにいた。
やっぱりあいつらが協力していたのか。前もお前らが協力していたとかいう話だったよな……ニコから分裂したスライムがやっていたと思ったのだが、近くに行き捕まえてみると、色を変えていたニコだった。
バレた! みたいな感じで体をプルプルと揺らして、いろんな色に変化し始める。
ため息をついてから、プールに放り投げておいた。ニコの指示でシンラを顔の上に乗せているのか? 何でそんな行動をとっているのかは分からないが、あいつらが主体ではないと思う。
ニコたちスライムは、自由意志は持っているが基本的に、いたずらに分類される行動では自分たちの体を使うのだ。他人……スライム以外の協力を仰ぐこともあるが、それは協力関係なだけである。
今回の件で言えば、スライムたちが中心なら、あいつらの内誰かが俺の上に鎮座するのだが、シンラを顔の上に乗せているんだよな……シンラは起こされるたびに不服そうな顔をしているから違うと思う。
誰かがスライムたちに指示をしていることになるのだが……家族以外で指示できる人なんていないし、家族の中で誰かの指示を受けているのか? 妻たちはそんなことしないだろうし、ウルもミーシャたちもそんなことはしないだろう。シンラも違うとなると……もしかして!?
バッと音がする勢いでエアーベッドを振り返ると、たまたま目を覚ましていたプラムとシオンと目があう。何かを察したようで、目は合っていませんよ~と言わんばかりに視線を逸らして、シンラの方へ2人して転がっていき、ピトリと張り付いて寝始めた。
この行動には妻たちも苦笑いだ。まさか、プラムたちからの指示で、シンラを俺の顔の上に乗せていたとは……俺を領主の座から引き下ろしたいのは、シンラではなくプラムたちだったのか!
パシンッ
「だから痛いって……」
「シュウ君が変なことを考えるからでしょ。その顔は、プラムちゃんたちがあなたを亡き者にして、シンラを領主の座につけようとしている! みたいなことを考えていたんでしょうけど、それは無いから。それにシュウ君が、あんなことで死ぬわけないじゃない。ただの悪戯みたいなものよ」
呆れたような顔でミリーが突っ込んできた。
悪戯でも毎回やられると、結構しんどいんだぞ。苦しくて目が覚めるのって、寝起きが良くないからな。シンラと寝る時は注意が必要ってことだな。
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