1983話 空気の読める子
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食事が始まり、食べながら子どもたちの様子を見る。
シンラは……いつも通り、勢いよくムシャムシャ食べているな。同年代の子どもに比べて、3~5割くらい多く食べてるんじゃないか? 太ったりはしないのかな? この歳で太るって、あんまり考えられないけど、注意が必要かもしれないな。
シンラの横で食べているプラムとシオンは、一般的と思える量の食事だから……シンラが特別に食べる量が多い気がする。そしてプラムよ、苦手な野菜があるからってシンラの皿にコッソリ置くな。そしてシオンよ、シンラの皿から好きなものを盗むな。
それでも気にせずムシャムシャと食べるシンラは、将来大物になりそうな予感だな。今でも大物感が漂っている時があるからな、間違いないだろう。
あ~、言わんこっちゃない。プラムとシオンは、ブラウニーたちに見つかり怒られている。怒られている理由も、人の皿に移したり盗んだりしているからという理由だ。嫌いなものを食べられないのは仕方がないので、そこらへんはブラウニーたちが何かしら考えるのだろう。
人の皿から奪うのは良くないことだと怒られているシオンは、半分不貞腐れているが、食べたいならブラウニーたちに言えばお替りがもらえるのだから、シンラのを奪うなと怒られている。
その間もシンラはムシャムシャ食べており、お皿に食事が無くなるとお替りをお願いしている。きちんと自分の食べられそうな分だけ注文しているあたり、歳を疑ってしまうな。
ミーシャたちは俺が帰ってくるまでは、いつもの半分ほどしか食べなくなり心配していたが、戻ってくると7割ほどまで回復しているので、シルキーたちも安心しているようだ。
ミーシャたちの運動量を考えると、7割でも少し少ないのだが、半分の時に比べれば大分改善している。多少栄養価の高い食事を出して、量より質で補っていたので何とかなった感じだな。
でも、一度食が細くなってしまったのか、1週間以上たった今も俺がいなくなる前の8割ほどしか、食べれていないそうだ。運動量が戻っているので、カロリーや栄養素が気になるところだが、おやつの量を増やしたりして対応してくれているみたいだ。
ウルは、戻ってきた当日はかなり食事量が少なかったが、向こうでもしっかり食べさせており、戻ってきてからもシルキーたちが頑張ってくれたので、そこまで食事量は落ちていない。でも、運動量が少し下がっているので、太らないように様子観察しているらしい。
この年代の子どもたちは、制限すると恐ろしく急激に痩せたりするから、痩せすぎるくらいなら多少ポッチャリでも、しっかり食べさせるのがシルキーたちの考えらしい。俺もそれに賛成だ。ポッチャリになっても、妻たちと訓練をすればすぐに痩せてしまうので、見極めが大切だと言っている。
俺は戻ってきてから、少し食事量が増えていると言われたな。体感にすれば2週間はシルキーたちの食事を食べられていなかったので、その反動ではないかと考えている。
体を改造する前は食べれば太ったし、制限すれば痩せていたのだが、改造後は食べても食べても太ることはほとんどなくなったっけ? その代わり、食べないとすぐに痩せてしまうのだ。
シュリやライガみたいに、非効率的な消費量ではないが、基礎消費量が上がっているのだと思う。あの2人は、俺と違って消化速度も速かったりするので、量を食べられるのだが、俺は普通の人間の胃に詰め込まないといけないので、多少無理をして食べる必要がある時が存在する。
それが無くなっているのは嬉しい事だが、動かなかったら太るとかは無いよね?
ちょっと気になるので、午後は運動をするかな。久々に泳いだりするか。
っと、午後一はゴーストタウンに行って、追悼してこようと思っていたんだった。グリエルたちはともかくレイリーは来そうなので、リリーに連絡を入れておいてもらわないとな。1時間後にゴーストタウンに行くからよろしく。
そんなことを口頭で伝えていたら、食堂で聞いていた妻たちが全員行くことになり、子どもたちも連れていくことになった。上の子たちは体験はあるが、下の子たちはほとんどなかったはず……大丈夫か?
言葉も理解し始めているので、連れて行っても問題ないというのが妻とシルキーたちの判断だ。もしうるさくするようなら、シンラたちは違うところで待機させるということになった。
ダンジョン農園の一角のホームステーションで準備をしていたら、庁舎の方から魔導列車が到着する。レイリーだけなら歩いてくると思ってたけど……
魔導列車から降りてきたのは、20人ほどの兵士たちだった。
他の兵士たちも仲間の追悼に行きたがっていたのだが、関係者として直属の上司たちだけの参加となった。
参加したい人数を考えると、追悼式をしっかりとやるべきだろうという話になり、後日大規模に追悼式を行うことになった。遺族に補償はしているが、そう言うことじゃないんだよな。年に1回は行うように、グリエルたちに計画を立ててもらうことにした。
兵士を伴い、慰霊碑のあるゴーストタウンの墓地へ向かう。途中で、ゴーストタウンの上層部の人間も合流して、献花を行うことにした。家族も呼んでおり、人数は少ないが盛大に行おう!
遺骨の数だけ慰霊碑に花束を置くことを決め、ダンジョンマスターの能力で、様々な白い花を準備して、思い思いの場所へ置いてもらうことにした。
俺は最後に、慰霊碑より大きな酒樽を準備して、高級な日本酒を大量に準備して、追悼に来たみんなで慰霊碑にお酒をかけることにした。礼儀としてあっているか分からないが、この世界では墓標にお酒をかける文化があるようなので、今回のようにしたのだ。
慰霊碑より大きいので、さすがに余ってしまう。残りは戦友たちへと送られ、今日の夜はお酒と共に、鎮魂の飲み会があるようだ。
俺たちが間に合わなくて亡くなってしまった家族や子どもたちに対しては、色々なお菓子を備えることで追悼の意を示すことになる。いずれ腐ってしまうのだが、1週間は置いておいてほしい……そう思った俺はバザールに頼み、近くに立地を派遣してもらい温度管理をお願いした。
不届き物がいれば、指揮官のエルダーリッチが捕まえてくれるだろう。
この者たちの魂に、安らぎがあらんことを……この者たちに非道な行いをした者たちに、神の鉄槌がくだることを祈っておこう。
『えっ!? 私が何かしなきゃいけないの!?』
お前のせいで台無しだよ。気持ちだからこれでいいんだよ。でも、可能ならまだ生き残っていたら情報をクレ。そしたらこっちで対処するからさ。
『了解、知り合いに探させてみるわ』
うむうむ、ちょっと不謹慎だけど、これで追悼は終わりかな。
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