表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンマス(異端者)  作者: AN@RCHY


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1963/2519

1963話 すり合わせたつもりだったのに

アクセスありがとうございます。

 午後は、おやつの時間を30分ほど過ぎるくらいまで、模擬試合をした。


 戦績は、6戦やって4勝2敗……勝ち越したものの、武器を持った俺と無手のライガ、それで2回も負けてしまっているのだ。真剣勝負であれば勝っていたのは俺でも、バザールの判定は覆らない。俺自身が審判をしていても、同じ判定を出しただろう。


 1回目は、お互い何度も攻撃が当たるが、クリーンヒット判定は無く膠着していたときに、ライガが変則的な攻撃を仕掛けてきたのだ。



 ライガの戦い方は、基本的に誰かを守るということが前提だ。その守る対象は、俺であったり妻たちであったり、ディストピアの重鎮たちであったり、そう言った人たちである。


 生きてさえいれば、治すことが可能なエリクサーを持っているので、身を挺して守ることを叩き込まれているのだ。死んでも守る……ではなく、死ぬギリギリまで体を張って守る、とレイリーは教え込んでいるようだ。


 死んでしまったらそこで終わりなので、死なないようにギリギリまで体を使い守ることを前提に、戦い方を学ばせたといっていた。死ななければ、自分の体がどうなっていようとかまわないということだ。


 それゆえに、仕掛けられた変則的な攻撃は、俺の虚を衝いた。


 治せるという前提で攻撃を仕掛けてくるライガの事を、とっさの判断で止める術を思いつけなかったのだ。武器を持った初戦の振り返りで、ライガが最後に言った事を理解していなかったと痛感した。


 あの試合の振り返りの最後に、バザールが試合終了の判定を出していなければ、両手と片足が使えなくても、喉元に噛み付いてでも攻撃を仕掛けるつもりだったと……それを聞いたとき俺は、そのくらいの気持ちで戦っていたのだと感心していた。


 これが間違いだったのだ。



 ライガが俺の攻撃を、右腕を犠牲にすることを前提で受け止めたのだ。俺はこの時点で、クリーンヒットだと判断したのだが、バザールは試合を止めなかったのだ。


 後で聞いた話だと、俺の攻撃はライガの右腕だけを切り飛ばして、他の部分にはダメージを与えないような受け方をされたと判断したらしい。思い返してみると確かに、右腕に当たる瞬間にライガは、剣の軌道を逸らすように外側へ腕を動かしていた。


 実戦で判断すると、ライガの腕は俺の刀が食い込んでいる状態で、強引に軌道を逸らしたため傷口はデコボコになっていただろうが、致命傷と判断できなかった。


 腕を失ったらクリーンヒットでは? とも思ったが、俺が実際に片腕をなくしたときに取った行動を考えれば、戦闘は問題なく続行可能だった。勝手に勝ったと思い止まってしまった俺は、ライガの左手が喉元に突き付けられて、負け判定を受けた。


 俺の攻撃がライガの腕を切り落とし、更に体のどこかに深い傷をつけたと判定されれば俺の勝ちだったのだが、ライガに刀を逸らされて止まってしまった俺の負けだ。


 2回目は、バザールもどういう状況かつかめなくて、俺の顔にライガの拳が添えられて数秒経ってから試合終了の判定が出た。


 何が起きたかを口で説明するのは簡単なのだが、実際にその光景を見たバザールが言うには、起きていることを口で説明することは出来るけど、何でそうなるかが全く分からなかったと言っていた。


 実際に負けた俺も、始めは何が起きているか理解が出来なかった。体全体に強い衝撃を受けたが、その状態でいることは負けを意味すると判断して、慌てて体勢を整えようとしたが、時すでに遅し……顔に拳が衝き付けられていたのだ。


 バザールが説明は簡単だと言った事をそのまま言うと、


 俺が下段から放った切り上げ攻撃に対し、ライガは距離をとることで回避する。そこから更に俺は連撃で、切り下し瞬時に体を一回転させ薙ぎ払う。薙ぎ払った俺の木刀に、ライガが手を添えると俺の体が反転して、地面に背中から倒れた。


 次の瞬間にライガは移動をして、俺の顔面をめがけて下段突きをした体制になっていたのだ。


 言葉にすれば確かに簡単なのだが、正直何が起きているのか見ている人間もくらった人間も、そして仕掛けたライガ自身も理解できていなかったのだ。ライガは、何が起きているか理解はできていなかったが、試合を止める合図は出ていないため、最も効果的な攻撃を体が仕掛けていたのだとか。


 呆然としていた3人だが、最終的な結論は……合気道の様な何かが起きて、俺はひっくり返されたのだろうと判断した。


 偶然にも起きてしまった現象ということになった。それでも負けは負けなので、2敗目を喫してしまった。


 6試合、戦った時間は合わせて30~40分くらいだろう。戦った時間の4~5倍を使って、試合を振り返っていた形だな。


 おやつをすぐにでも食べたかったのだが、汗だくのままはさすがに食べる気になれなかったので、本日3度目のシャワーを浴びてから、ライガにおやつを出してもらった。


 口がぱさぱさになるようなお菓子ではなく、甘くしっとりとしたお菓子……氷菓子を出してもらった。コンビニで売っている、ちょっと高めのパフェみたいな、プラスチックの容器に入っているアイスだ。


 お菓子は冷たい物を食べたが、水分補給用のスポーツ飲料は、常温に置いておいた物を飲んでいる。汗をかいた後に冷たい飲み物だと、一気に飲み過ぎてしまうことがあり、量によってはお腹を下すこともあるので注意が必要なのだ。


 常温の方が吸収率が高いので、そんな配慮でぬるい飲み物を飲んでいる。これがディストピアの家なら何も気にしなくても、ブラウニーたちが色々考えてくれるので、出された物を飲むんだけどな。


 でも、冷たい飲み物が体に悪いってわけじゃないぞ! 特に熱中症を起こしている時なんかは、冷たいスポーツ飲料は効果的だと言われている。


 熱中症は、何らかの原因で体温調節機能が正常に働かずバランスが崩れてしまい、体が熱を持っている状態を言う。熱を持っている状態なので、冷たい飲み物を飲むことで、体の熱を少しでも奪うことができるし、バランスの崩れた体にとっては、悪いものではない。


 注意が必要なのは、体温を下げるためだからと言って、一気に量を飲みすぎるのは逆効果だ。口に含んでから熱を多少移してから飲み込むのがいいとされている。


 熱中症=脱水症状を起こしているわけではないので、そこらへんは注意して摂取する必要がある。


 冷たいアイスを食べて、常温のスポーツ飲料というのも変な感じだが、意外に口の中がさっぱりするので、悪くなかった。ブラウニーたちが作ってくれるアイスよりは味は落ちるが、あいつらの作る物は次元が違うのでノーカンだろう。


 多少劣るとは言っても、ワンコインもしないアイスで、ここまでの満足感を得られるのだから、日本の企業努力は凄いと思う。大量生産でこの味が出せるんだからすごいよな。


 帰る気は無い故郷、日本のコンビニチェーンの企業努力を、良く分からない世界で感心していた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ