195話 ワイバーンの卵とミリーの真価
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ニコが分裂して色違いの八匹に増えた。ディストピアに帰ってきたらこうなるよな。ニコの仲間を希望していた三幼女がスライムまみれになっている。小説とかにあるエロイ感じじゃないぞ!
かわいい系のスライムと幼女がひしめき合っている? って言っていいのか、両腕に一匹ずつ抱えて頬ずりをしている。余った二匹、ニコと赤スライムは俺の手の上に乗っている。手乗りスライム? にしてはバスケットボール程の大きさがあるので手乗りとは言い難いが、プルプル震えて仲間を見ていた。
「ご主人様! ニコの仲間もう呼んでくれたの! ニコもよかったね!」
「シェリル、その子たちは俺が呼んだわけじゃないよ。ニコが分裂してその子たちが生まれたんだよ」
「ニコの兄弟? 子供たち? でも仲間が増えてよかってね! 名前はもう決まってるの?」
「色違いだから色にちなんだ名前を付けようとしてるけど、いい名前が他にあるならそっちでもいいよ」
「確かニコの名前も色にちなんだ名前ってご主人様が前言ってた! 仲間なら色にちなんだ名前でいいと思うの!」
「じゃぁそのまんまになるけど、赤にはレッド、青にはブルー、緑にはグリン、黄色にはイエロ、茶色はブラウ、白にはライト、黒にはダークって呼ぶことにしよっか」
「緑や黄色、茶色はちょっと呼び方変じゃないですか?」
「ニコ、数字の二と名前が二文字だったから、その次って意味で三文字で統一してみたんだけどおかしいかな?」
「!! 名前的にはおかしくないの! レッド、ブルー、グリン、イエロ、ブラウ、ライト、ダーク、みんなこれからよろしくね! 私はシェリルっていうの! こっちの娘はイリア、こっちの娘はネルっていうのよろしくね!」
シェリルが挨拶すると、嬉しいのかポンポン跳ねてシェリルたちに、やさしいタックルをしている。タックルしてきたスライムたちを捕まえて三幼女が楽しんでる……なごむな~。
「さて、なごむ光景はこの辺でいったん止めて仕事の話をしよう。グレッグの事に関してダリアに後始末を任せる際に、俺が勝手に約束したワイバーンの卵を取りに行こうと思います。
今回みんなは自由参加でついてきたい人だけで行こうと思います。ミリーもできればついてきてほしいけど君の意思を尊重するよ。じゃぁ行く人は手をあげて~」
全員手をあげていた。ピーチに至っては後で「なぜあんなこと聞くんですか? 時間の無駄ですよ?」とちょっと凄みをつけて言われた。ちょっとちびりそうだったよ! 本当にごめんなさい!
「山に行くという事でしたので、メイから高山に対応できるようになるバフ魔法を教わっています。魔法のLvも問題ありませんでしたので使用可能です。
持続時間はおよそ半日ほどでした。なので時間を決めて更新していけば問題ないかと思います。他にも高山に適応可能なバフの付く魔道具があるそうです。ただ製造方法がわからないため研究段階で止まっています」
へ~魔道具って本当に便利なんだな。痒い所に手が届く感じか? でも値段の問題や製法が不明のため入手がむつかしいという点だけが残念だろうか? DPで召喚できるかもしれないが、能力から検索ができないので探すのが難しいのだ。よくわからん名前がついていることもあるので困ったものだ。
元の世界で火打石の様なものをこの世界の魔道具の名前にすると、便利石っていう名前になるのだ。効果と名前がかみ合っていないものが、それなりにあって本当に困る! 自動翻訳のせいなのかな?
「今から出発しても遅いので明日の朝の出発にしよう。移動はどうしようか? ウォーホースじゃ岩山の部分はつらいかな?」
「人が進むのが困難な場所でなければ問題はないようです。移動用には十分適していると思います。普通のウマより大きいので三人乗っても問題ありませんし、他にもクロとギンにミリーの従魔もいますので十分数は足りてます」
「じゃぁ今日はゆっくり休んで明日の朝出発しよう! 今日は久しぶりの自分の家でのお風呂だから、従魔たちと一緒に入ってきれいにしてあげないとな。山登りするから戻ってきたらまた洗ってあげないといけないけどな」
従魔たちを俺専用のお風呂に連れて行こうとすると、スライムたちにくっついていた三幼女がこっちを見上げてくる。まぁこの娘たちならいっか? ロリコンに見つかったら殺されそうだけどな!従魔たちと一緒に洗ってあげよう。
一人っ子だったから兄弟がいるとこんな感じだったのかな? と思いながら、三幼女と一緒に従魔たちを洗ってから三幼女の頭も洗ってあげることにした。くすぐったいと言いながらも喜んでいるようだ! お兄ちゃんって呼んでもいいんだぞ!
何事もなく朝を迎えいつもの朝食を食べてから、みんなで移動する。マップ先生で検索する限り、この山の上にはワイバーンしかいない。この世界のどこかにドラゴンがいるらしいが、今のところハク以外のドラゴンは検索にも引っかかることはない。どこに住んでるんだろうな?
うぬ、ウォーホースと従魔たちの移動速度は速い。山の上まで直線距離でも三十kmはあったはずなのに、上り始めてから三時間経たずに目的地に到着した。
確かエベレスト登頂するのに二ヶ月は期間みないといけないはずなのに、エベレストよりさらに高い山を三時間で走破するとは……高レベルの魔物ってやばいな。俺たちだっていくら魔法があってもさすがに一日はかかっただろう。それでも異常な速度なのだが。
近くのワイバーンの巣には十七個の卵がある。全部調達できれば七個も余るな。利用方法は後で考えるか。
「じゃぁミリー、もう少し行ったところにワイバーンの巣があるから、その巣を守っている親ワイバーン二匹を倒してもらっていいかな? 実力的には問題ないはずだからよろしく」
「わかりました。行ってきます」
ミリーは、ウルフ二匹、狐二匹の従魔を引き連れてワイバーンの巣へ向かう。一応保険にシュリとハクを見張りにつける。
ミリーはウルフ二匹に指示を出してワイバーンの親一匹を巣から引きずり出すようだ。おそらく巣を空にするわけにはいかないだろうから片親のどっちかが出てくるだろう。
ミリーの釣りにつられて出てきたワイバーン、前にディストピアに飛んできたワイバーンよりおそらく小さい。ミリーの指示で狐二匹が魔法を唱える。
飛行系の魔物に有効な気流操作のダウンバーストだ、魔法によって起こるダウンバーストは局地的で威力が高い。ワイバーンは魔法的な要素でも空を飛んでいるが、鳥と同じく体重を軽くして羽で浮力を得ている部分もあるのでダウンバーストが有効なのだ。
落ちてきたワイバーンに向かって指示を出された二匹のウルフとミリーが距離を詰める。ウルフたちは羽の付け根の部分にかみつき前足で体を押さえつけ、ミリーは俺が作った棍棒をワイバーンの額に押し付けて何やらしゃべっている。ミリーどうしたんだろ?
しばらくすると、ウルフ二匹がワイバーンから離れミリーも離れる。ワイバーンがミリーに頭を下げている……はぁ? そうするとミリーはワイバーンの治療を始めた。何が起きているのか俺には全くわからなかった。
「シュウ君、ワイバーンをテイムしちゃったけどよかったかな? 巣にいる方も多分テイムできるけどしちゃってもいい?」
おうおう、ミリーはどうやら俺が従魔を与えたせいか、テイマーとしての才能が開花していたようだ。テイム出来たってことは、主人と認めたってことだよな? すげえ才能だな。俺は召喚で得た忠誠関係だからな。
「問題ないよ、倒すって言っても卵をとるために排除する予定だったから、殺さなければいけない理由はないしね」
俺の答えを聞いてそのままテイムしたワイバーンを連れて巣の方へ向かい、ワイバーンがギャースカいった後にミリーが何やら話しはじめ先のワイバーンと同じく頭を下げた。そうすると卵を差し出してきてそれを受け取っている。巣にあった十七個全部だ。
「しばらくはここで生活してもらう予定ですが、あの地下通路の出口の城塞を作るときに城の上に彼らの巣を作ってもいいですか? 巣を作らせてくれたら卵を定期的にくれるそうです」
「なんていうか、ミリーも規格外だな。城塞ができたらあの子たちを呼ぼうか。城塞を作るだけならすぐだしな。場所を確保してから、とりあえず作っておこうか。地下通路の出入り口として使うかは分からないけどあれば何かに使えるだろう」
のんきなことを話しながらワイバーンの巣の位置を決定することになった。城塞の守護獣ワイバーン?ってことになるのだろうか、名物が増えそうだな。
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