1942話 そろそろ情報ください
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4日目、俺とライガは昨日と同じように、行動を開始する。バザールには、サイレントアサシンで敵の位置をマーキングしてもらう。森の中の影を移動して、俺たちの探索をしていない場所を、ローラー作戦のように探してもらっている。
ローラー作戦でも、それなりに距離を保って影の中からの探索になるので、全員を見つけられるわけではないが、数をこなしたい今の俺たちには一番の作戦だと思う。
俺とライガは移動を開始するが、昨日も大量に捕まえているため、2時間ほど移動しても敵が見つからなかったのだ。ライガの鼻にも、俺の気配察知にもひっかかっていないので、かなりの距離が離れているのだろう。
「ライガ、山沿いに探そう。まっすぐ東に進んでいたけど、山が少し遠くなってる。頂上から見て、拠点より距離があるんだろうな。横長の山じゃないから、多少ずれがあったとしても、円錐っぽい形をしていそうだしな。戻る時に、茂っている山の中を探索してみよう」
見やすい場所の敵は捕まえてしまったと思い、隠れる場所の多い山の中を探索することを提案した。
はぁ、何でこんなことをしているんだろうな……ダンジョンバトルの方が数倍マシだな。自分が駒になって、ここまで動き回るのは、かなりしんどい。元居た世界でも駒のような物だけど、あっちはここより自由に動けたもんな……
更に移動して1時間ほど。急に視界が開けた。
「西側にも草原があるのか?」
目の前に東のに進んだ草原と同じ、膝丈の草の生えているエリアに到着したのだ。違うこともあり、草原の先に森がみえるのだ。どのくらい広いのか分からないが、森の中にある草原みたいだな。
「少し休憩しよう。木の上から、草原を見渡しながらゆっくりしようか」
俺とライガからすればナイフを持っているので、簡単に木に登ることができる。登る木には申し訳ないが、ナイフを両手に持って木に刺しながら、腕の力だけで簡単に登っていける。
20メートルほど上にあった、一番太い枝に座る。俺はナイフ4本を枝に刺して、バックパックか折り畳み式の薄い金属の板を取り出し、ナイフの上にセットする。板が落ちないように、脚代わりにナイフを刺したのだ。枝の側面に目測で刺したので、少しずれてるな。
ナイフの位置を微調整して、その上にライガがおにぎりを大量に生み出してくれる。その神授のスキルって本当に便利だな。バックパックから、綾乃が生み出した茶葉から作った、瓶に詰めた即席の緑茶を取り出して昼食を食べ始める。
「ライガの目から見て、違和感とかあるか?」
「そうですね。何ヶ所か、草の見えない場所があるように見えます。広さは分かりませんが、こうやって上から見ても見にくいので、範囲は狭いのではないかと思います」
「やっぱり同じように見えてるな。木に登らず近くを通らなかったら、発見できなかっただろうな。周りが森に囲まれているから、夜の休憩場所に使われてたりするのかね?」
ライガとこの草原について、何か感じることをお互いに話し合って、昼食後の行動を決めていく。
遠くに見える森へ行くのが前提なのだが、行く途中に木になる物があれば、確認していくのは当たり前だろう。数ヶ所見える空白地帯の内、比較的進路方向にある3つを確認することにした。
1つ目に到着する。
「人のいた痕跡があるな。跡を見る限り、2~3日ってところか? こんなところで火を起こしたら、火事になるんじゃねえか? 見にくいから、草原を燃やすのは……いや、無しだな。これだけの密度の草原が燃えたら、森の木もヤバいかもしれんな」
空気が乾燥しているわけでもないので、外国で見られる大規模な火事のようにはならないと思うが、大惨事になる気がするので、火をつける案は自分の中で却下した。火事がおさまれば見通しが良くなると思うが、時間がかかるし危険だからな。
「シュウ様、火の痕跡があるのですが、匂いがほとんどしないです。時間が多少経っているとはいっても、かなり近付かないと匂いが分かりませんでした」
「ん~、この世界特有の物なのか、俺たちの知らない技術があるのか……考えても分からないな。残り2つも確認して、向かいの森に移動しながら考えよう」
残り2つの空白地帯も確認してみたが、片方は草が倒れていただけ、もう片方は1つ目と同じで焚き火の痕跡がある。こちらは、それなりに時間が経っていたので、焚き火跡に草が生え始めていた。魔の森みたいに、育つのが早かったりするのかね?
大した情報も得られず、森へ向こう事になる。
昼食を取った位置からは遠すぎて見えなかったが、こちら側にも痕跡があった。偶然見つけたのだが、特に情報は得られなかった。
焚火をしていたにしても、昼間にすれば煙が目立つし、夜にすれば光で目立つだろ……リスクを冒して焚き火をしていたのかね?
森の中を進んでいくと、ライガが敵を発見する。5人グループのようだ。忍者みたいに仲間なのか、力に支配されているグループなのか……あ~、力に支配されているタイプなのね。
ただ一緒にいるだけでは分からないが、独特の匂いがしているので間違いないだってさ。
こんな世界に着て……こんな世界だからこそかね、自分の欲望のままに行動してたりするのかな……って、地位の高いクズや力のあるクズは、この世界じゃなくても欲望のままに行動してたな。ここにきてそういうことをしているってことは、元の場所でも同じようなことをしていたんだろうな。
木に登り上からの偵察だ。二対三で二の方が支配層とでも呼べばいいのかな。男2人だ。3人の方は女性で、そう言う用途に使われている……といった感じだな。
鑑定をかけると、男の方はどうやら勇者みたいだな。女の方は、地球からきているみたいで鑑定できない。スパイとかエージェントになる女性って、美人が多いのかね? 街で見かけたら振り返るとまではいかないが、かなりの美人だと思う。
そんな扱いを受けてはいるが、どっちにしても殺す予定なので、何の感傷もない自分にビックリしている。
ライガに、それなりにレベルが高いから注意するように促し、2人で強襲を仕掛けることにした。
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