1930話 強敵?
アクセスありがとうございます。
俺とライガは、綾乃を探すために外に出る。ウル、ちょっと探しに行ってくるけど、いい子にまっててくれよな。バザール、守りは頼んだぞ。
おそらく来ているであろう綾乃を探すために、カンに任せて移動を開始する。何故カンに任せるかと言えば、幸運3セットの効果を発揮してもらうためだ。多分、俺たちが比較的近くに集まっていたのは、幸運3セットのおかげだと思う。
神が意図的に近くに配置することは無いと思うので、運が関わってきているのだと思う。ロジーと初めに合流できたのは、あいつも運がいいからな。一番近かったのだと思う。ガロウは力技だったけど、匂いの届く位置にいたからこそ、合流できたわけだ。
そんなこともあるので、カンを頼りに進んでいくのは間違いではないと思う。
「シュウ様、人の匂いが近付いてきました」
移動をしていると、近くに人の匂いがあるようだ。近くと言っても、俺の感覚の外なので1キロメートルは離れているはず。感覚を最大限に引き上げ、ライガから方向を聞いてサイレントアサシンに先行してもらう。
ターゲットをすぐに発見したサイレントアサシンから、バザール経由で情報が伝わってくる。火は使っていないようだな。鑑定がないから何とも言えないが、地球から来た男の人っぽいな。
サイレントアサシンは、殺すことに特化しているから、捕らえることを苦手としているんだよな。まぁ気にするな。そこらへんは俺がヤルから、まかせろ。ライガは周囲の警戒よろしく。
気配を殺し移動を開始する。この状態になると、索敵能力が下がるが相手のいる場所が分かっているから、問題ない。
ってか、このゲームは何がしたいか分からん。本気のバトルロワイヤルなら、バザールが圧倒的に有利だろ。アンデッドだから、休む必要がない……無限の体力と、影に潜ませたアンデッドの軍団があるから、戦いになったら勝てる気がしねえ。長期戦に持ち込めばいいだけだからな。
ゲームとすると、バランスがおかしいんだよ。特にバザールのな! それにガロウも神授のスキルが使えるから、長期戦になれば絶対に勝てない。対戦相手と言っていいのか、そう言う奴らが弱すぎるんだよな……
っと、いかんいかん。
ターゲットは……木の上には登っていないようだな。登れそうだけど、枝まで20メートルはあるから危ないし、何かあったときに不利になるから登らないのかね?
休んでいる雰囲気だが、しっかりと警戒している気配だな。残り50メートルほど、索敵スキルにも反応が出た。すると、急に座って休んでいる状態から、しゃがんで地面を這うような体勢で警戒を始めた。
マジですか。索敵スキルではないと思うが、俺の気配に気付くんか。足音も消していたと思うし、何で気付いたんだろうな。
それでも近付かないという選択肢は無いので、木をブラインドにして進んでいく。
残り20メートル。
突然走り出した。俺のいる方とは逆に!
いきなり逃げるんかい!
慌てて俺も走り出す。俺の方が足が速いようなので、しっかりと索敵スキルにおさめたまま追跡を始める。夜目が聞くと言っても、結構なスピードで走っているので足元まで確認できていない。転ぶ可能性があるのだ。
っと、逃げれないと判断したのか、戦闘態勢に入ったな。
あちゃ、これ判断ミスったかも。いる場所が特定できなかったから、逃げるように見せかけて追ってきたところで姿を確認したんだろうな……
そして、構えからなんかヤバい気配がする。地球の達人みたいに、常軌を逸した人だと分かる。身体能力がこちらが上でも、技術面はあっちが上だろうな……一度やりあって、確認しても大丈夫か?
トップスピードならこっちが上だし、ライガが控えているから戦力的には問題ないだろう。それにサイレントアサシンもいるから、逃げるだけなら何匹か放出して逃げ出せば大丈夫!
馬鹿正直に突っ込むアホはいないので、10メートルほどの距離を取って止まる。そのまま女スパイっぽいやつから奪った投げナイフを投擲。狙いは体の中心、鳩尾付近へ……一番回避しにくいと思って、全力で投げている。
マジか! 暗くなっている上に黒塗りのナイフを簡単に弾き落とした。何かを投げた仕草をしたからって、弾き落とせるもんかね?
技量はかなり高い感じだ。今までで一番の難敵かもしれん。
相手は、距離を空けていると不利と覚ったのか、一気に距離を詰めてきた。左手にナイフ、右手は素手のままか……漫画やアニメの特殊部隊みたいに、秘密道具とか持ってたりしないよな?
俺は右手のナイフで受け、手足から繰り出される攻撃を、使える部位を使って受ける。力はあまり感じないのだが、装備の上からでも打撃が体にちょっと響くんだよな。
俺の攻撃も防がれてはいるが、力は上回っているので多少のダメージは与えているかと思う。
30秒ほどの攻防の後に一息つくために距離を取ろうとしたが、敵は食らいつくように距離を詰めたまま攻撃を仕掛けてきた。
完璧に動きを読まれている感じだ。仕方がない、呼吸に合わせて歯笛を鳴らして、ライガを呼ぶ。合図としていくつか伝えておいた内の1つだ。
少し受けた後に、一気に攻勢に出る。顔や脇腹を狙いつつ上に意識が向いたところで、1歩踏み込むふりをして敵の足の甲を踏みつける。地面が少し柔らかいうえに鉄板が入っているのか、ダメージにはならなかった。だけど、意表は突けた。
その一瞬でライガが飛び込んできて、後ろから敵を地面に押し倒す。
「よし、よくやった。装備をはぎ取るから、押さえつけててくれ」
ライガに指示を出して、身に着けている物を剝いでいく。この敵は、ベスト状の物にコンパクトなあれこれを仕込んでいたのか、意外に重かった。
手袋を外すために右手を押さえると、不意に悪寒が走った。慌てて手を離すと、舌打ちが聞こえる……こいつ、この状態で何かしかけやがったな!
何とか後ろ手にして、手袋を外し悪寒の原因を探っていると、服のすそに隠れるように小さな平べったいものが、リストバンドについていた。外して確認すると、細い糸状のナニカだった。
なんだこれ? よく見ないと糸が見えないとか、細すぎじゃないか? 漫画やアニメに出てくる、アラミド繊維だったりしないよな?
多分、これを巻き付けて手首でも落とそうとしたのだろう。装備を身に着けているとはいえ、何かの拍子に隙間に入り込んで、力をかけられれば手首を切り落とされていたかもしれない……
パンツ一丁にしてやり、抵抗できないように拘束して、尋問を開始する。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




