1913話 知ってた
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家に帰ると何かを察したのか、プラムとシオンが間を置かずに現れた。近くにはスライムにケットシーと、護衛が沢山いるので結構ガチャガチャしているな。テッテッテと音が鳴りそうな走り方で、こちらに駆け寄ってくる。
途中までは先頭を歩いていた俺に向かってくるようなコースだったが、キレイに俺を避けるように後ろにいたウルたちに抱き着いている。うん、知ってた。この子たちが俺に向かって抱き着くようなことはしないって、分かってたさ!
そんな感じでへこんでいるとシンラも現れ、今度は俺に向かって走ってきたのが分かった。愛いやつよのう。そんなに寂しかったのか? 今日はかまってやるから安心するんだ!
腰を曲げてシンラを抱きとめようとする。シンラが思わぬ動きを見せた!
俺は立った状態で腰を曲げているので、前屈みたいな体勢になっている。その俺に対してシンラは、テコテコと歩いている状態から、ハイハイになって俺の股下を抜けていったのだ。そして後ろにいた、ウルたちに抱き着いている……
あまりの出来事で、俺はしばらく呆然としてしまった。
後ろにいるミリー・カエデ・リンドの3人は、俺の様子を見てケラケラと笑っている。その間に下の子たちは、ウルたちだけでなく年少組のお母さんたちにも抱き着いていた。シンラだけはウルに捕まっていたけどな。お姉ちゃんたちに囲まれて、頬をいじくりまわされていた。
シンラのことなどもう知らん! 遅れてきたブラウニーに食事ができていると言われたが、1日ダンジョンを走り回っていた俺たちは、汚れているのでお風呂へ行かねばならないのだ。このまま食堂に行けば、後ろでニコニコしているスカーレットの大目玉をくらうことになる。
よし、こんなことしている間に風呂へ入るぞ! シャワーだけどな!
下の子たちは何かをして汚れているわけじゃないが、俺以外とスキンシップを取ったので、少し不衛生だと言うことでシャワーを浴びることになった。
急ぐことも無いと言われているので、体をのんびりと洗っていると、何かを引きずる音がした。周りを見てみると、シンラが自分の座る椅子を押してシャワーの元に来たようだ。お前って、自分で体を洗えるようになったのか?
子どもの成長って早いな……とか思ってたら、押してきた椅子を俺の前まで押し込み、そこへ座った。
ちょっと感動した俺の気持ちを返せ! と言いたい。そんなことは関係ないとばかりに、自分専用のスポンジを持って、「んっ!」と俺の方に突き出してくる。わかったよ、わかった、洗ってやれば良いんだろ!
自分の体を流す前に、シンラの体をアワアワにしてキレイに洗ってやる。ついでに洗髪もするから、目をつぶるんだぞ。ワシャワシャと洗ってやり、サクッと流してやる。体を拭くように圧力をかけられたが、さすがにそれは違う人に頼むか自分でやるんだ。シンラを立たせて、脱衣所へ行くように促す。
ブスッとした表情をするが、体を洗ったんだから違う人に頼めっての。拭いてても拭いてなくても、脱衣所でキレイに拭いてもらえんだからさ。でも、もう少ししたら、自分でできるようにならないといけないぞ!
娘たちと違って、男のシンラは洗髪が楽でいいな。コンディショナーやトリートメントなんて、つける必要ないもんな。
シンラに送れること3分ほどで俺も体を洗い終わり、脱衣所へ入ると……おっさん座りしているシンラがいた。股をおっぴろげて、自分の一物を隠そうともせずに丸出し。そして手には、子どもたち用の小さな牛乳瓶を持っており、口の周りにひげを付けていた。
救いようのないオッサンだな……
シンラを捕まえて、着替えをするように促し、俺もさっさと着替えていく。今日の俺のスタイルは、触り心地の良いトレパンにぶかっとしたTシャツだ。スウェットかこのスタイルか、甚平が部屋着なんだよな。楽な格好が一番である。
洋館っぽい廊下をこの格好で歩いていると、違和感しかないんだけどね。妻たちもゆるっとした部屋着が多いな。後、モコモコ系も多いかも。下だけはショートパンツのぴったりしたのを着ている妻もいるな。
子どもたちは、基本的に動物パジャマを着ている。ここら辺は、俺が初めてミーシャたちに着せたあたりから、妻が気に入って娘たちもこの格好が好きなようで、今では20種類くらいのパジャマがあるらしい。
ウルやミーシャたちは、可愛い。プラムとシオンも可愛い。でもシンラだけは、着せられている感が強くて苦笑してしまう。今日は珍しく、夜もビュッフェ形式の食事みたいだな。毎朝の料理とは違い、みんなの好きなものが中心に作られている感じだな。
もちろん鶏料理を選んだ俺。油淋鶏だ。久しぶりにお酒が飲みたくなった感じ出したので、ブラウニーたちに俺が好きな料理にあうお酒と、無茶な注文をしてみた。
むっ? シンプルなレモンサワーが出てきたな。唐揚げにはあうみたいなことを聞いたことあるけど、今食べているのは油淋鶏なのだが……うん、全然問題なかった。美味い! しかもこれ、ただのレモンサワーじゃなかった。
俺が好きなハチミツレモンを使ったお酒だったのだ。しかも味が薄くならないように、特製のハチミツレモン……クイーンハニービーの王蜜を使ったハチミツレモンに、直接炭酸をぶち込んだものに、厳選したお酒を加えたお酒だってさ。めっちゃ味が濃いけど、レモンでさっぱりする。
脂っこい食べ物にめっちゃあうんですけど! こうなれば、鳥からにチキン南蛮みたいに味の濃いものを制覇するぜ!
あぁ~久しぶりに飲んだけど、めっちゃ美味かった。このほろ酔い加減も悪くないけど、この状態のままは無いな。回復魔法でほろ酔いを消して、水分を多めにとる。すぐにトイレへ行きたくなり、排尿……良く分からないけど、回復魔法で状態異常の酔いを消すと、トイレに行きたくなるんだよね。
アルコールを強制的に体の外に排除しているんかね? 水分を取らないと喉がカラカラになるし、間違っていないと思う。
酔いを醒ましてから、お風呂へ向かう。さっきはシャワーだけだったからな。今回は、サウナにでもゆっくり入るかな。
地球にいるときには、自分の家にサウナや温泉が作れるなんて思ってなかったな。今じゃなんだって手に入れられるんだよな……世界で一番高いモノだって、多分召喚できる。する理由が無いけどね。
さて、のんびりしますかね。
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