1892話 結局後手になる
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しばらくは、様子を見るだけしかできなそうなので、何か起きた時にすぐ対応できる体制を敷いておくべきだろう。特に、王国と帝国への情報リークは、最重要になりそうだな。
一番の問題は、俺たちの使っている魔導無線のようなものを、あいつらも使っているってことなんだよな。さっきまで忘れてたけど、家に帰る道で思い出した。対策をできるかどうかは、俺たち次第なんだよな……
「で、またここに来たでござるか。さすがに見たことのないモノに、割り込むことは難しいでござるよ。某たちと同じものを作ったのであっても、暗号化の部分が違えば諜報できるとは思えんでござる。せめて現物が1つでもあれば違うと思うでござるが……」
「だよな。地球の無線機なんて使ってるわけないだろうからな。電源を確保できないし、前に実験したときは、長距離は無理だったもんな。各街に設置できるならリレーできなくもないけど、地球と違って出力を上げても、通信できる距離は大して変わらなかったんだよな」
「でござるな。電波の法則が地球と違うみたいでござるからな。そう考えると、魔導無線って恐ろしいでござるな。魔力を電波のようにして飛ばすと、壁とか無視するでござるからな……どんな原理でござるかね?」
「魔導無線は、クリエイトゴーレム無しじゃ作れんから、いくら神が関与していても、難しいと思うんだよな……神の力で魔導無線をコピーしているなら、向こうのやり取りがこちらに入ってきているはず。スプリガンからは、そんな連絡ないしな」
「魔法で魔導無線の様な、通信方法を再現したとかでござるかね?」
「あれ……? 確か情報伝達するだけなら、魔導無線じゃなくても方法があった気がするな……ギルド同士のやり取りで、動かすのにそれなりの魔石が必要だけど、手紙とかはやり取りできるんだった気がする。ちょっとミリーに聞いてみよう」
連絡を入れ聞いてみると、確かにそう言った魔道具は存在しているが、簡単に手に入れられるものではないと言われた。
簡単に手に入れられるものではないと言っても、既に3つも国を支配しているのだから、そこにあった冒険者ギルドのその魔道具を、接収していてもおかしくないだろう。それで、解析して複製したとか……?
「となると、魔道具が作れる人間を押さえたか、複製できるだけの凄腕がいるってことでござるか?」
「その考えの方が近い気がするな。金も荒稼ぎしているみたいだし、研究費に困ることは無いだろうし……そもそも持ち運べるようなサイズなのか?」
念のために、ギルドで使われている魔道具と思われるモノを召喚してみた。うん、思ったよりでかい。大きさは一畳分の広さと、高さ1メートルくらいの物だった。何でこんなに大きいのかは分からんが……送る先の指定に、送れるものは週刊少年漫画位の大きさまでだろう。生物や魔力のこもったモノは無理らしい。
「分解して解析するでござるか? 送り先の特定が出来なければ、介入も出来ないと思うでござるが……」
「そもそも、これを使っている保障もないんだよな。解析するだけ時間の無駄だと思う。一応、この魔道具がどれだけあるか、調べてみるか」
マップ先生を使い、この魔道具がどれだけ存在しているのか、調べてみて愕然とした。
俺たちは知らなかったのだが、各ギルドだけではなく、お金も持っている商会や大国の貴族たちも、普通に所有していたのだ。
「この魔道具って、別に秘匿されているわけじゃないんだな。この大陸に万単位で存在しているとは、思わなかったわ!」
「情報伝達に関しては、問題ないってことでござるな。同時に行動を起こしたのも、計画の1つってことでござろうな。対症療法的しかできないでござらんか? 宗教がらみの公布して、昨日それなりの成果が上がっているのでござるから、様子見しかないでござるよ」
そうだよな。急いでも仕方がないしな……
「まぁ、簡単な方法があるでござるが、主殿は絶対にしない選択でござるからな」
「どんな方法?」
「疑わしきは罰せよ! でござる。乗っ取られた国や街を、乗っ取り返して対応する、でござるよ。王国や帝国が動く前に、こっちでやればいいってことでござる」
「それはない。管理が面倒だから帝国や王国が動くのを待っているんだし、そんなことすれば本末転倒だろう。動きたくなるような情報を、リークし続けるしかなさそうだな」
今はこれ以上話していても、埒が明かないので話を切り上げて、FPSの戦争ゲームのストーリーモードを協力プレイで、バザールと遊び始めた。
ゲームするときの画面って、あまり大きすぎると返ってやりにくくなるんだよな。小さすぎると、FPSはしにくいので、いい塩梅の大きさを探すのに苦労したね。後は、液晶の種類でも、表示のされ方が違うから好みに合ったものを、探したんだよな。
バザールと騒ぎながらゲームをやっていると、綾乃が起きてきて、バザールの頭を殴ってから力技で交代し、ゲームで遊び始めた。顎をカタカタ言わせて、こっちくんな。気になるから止めろっての!
こんなふうに遊んでいたら、いつの間にか夕食の時間になっていたので、俺は慌てて家に帰ることにした。連絡も入れていない状態で、遅れるのはすこぶる拙いのである!
食堂へ到着すると、子どもたちはモリモリと食事を食べていた。うむ、7人ともみんな可愛いぞ! シンラはオッサンくさいけど、それもありだと思う!
今日は、匂いで分かっていたけど、カレーなんだな。いろんな種類があるけど……俺は選べないようで、ブラウニーたちの準備してくれたカレーを食べることになった。
お米のカレーライスは、小さいお茶碗くらいの量で、すぐに食べ終わる量だな。一口食べてみる……ふむ、いつもと味が違う気がするけど、これはこれで美味しいな。お米にマッチしている。具材はいつもより大き目で、しっかり火も通っているな。
次に準備されたカレーは、チキンカレーとチーズナン。チーズナンはいつもと変わらないが、チキンカレーはいつもと味は一緒なのだが、香りが数段強い気がする。これも美味い。普通のナンで食べても美味いぞ。
サラダもモリモリと食べる。ニンジンドレッシング美味し!
スカーレットが来て感想を聞かれたので、そのまま答える。
「良かったです。カレーライスの方は、ウルたちが作ったんですよ。ブラウニーたちも協力していますが。チキンカレーの方も手伝ってもらっていますが、今回はスープストックを使わずに水で煮込んでみました。香りが強く感じたのは、そのせいかもしれませんね」
……カレーって、スープストックを使うのが普通だっけ? 美味いは正義だ! 考えても仕方がない、シンラよ風呂に行くぞ!
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