1887話 またか!
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一夜明け、悟った顔のシンラも、笑顔に……なってなかった。珍しく早くに目が覚めたので、子ども部屋に行ってみると、上の子たちは起きて着替えを終えていた。下の子たちはまだ寝ていたので、顔だけ見ていこうとして……苦笑した。
いつも通りと言えばそうなのだが、満面の笑みを浮かべたプラムとシオンに抱き着かれているシンラの表情が、寝ているのにどこか悟ったような雰囲気を出していたのだ。修行僧もビックリだな。
仲がいいのは嬉しいのだが、女の中に男1人のシンラは、この先大丈夫なのかと思ってしまう。たまに、上の子たちにもオモチャにされているからな。強く生きるんだぞ!
なんて考えていたら、シンラの目がパチッと開いて、俺の方をガン見してきた……お前、それ怖いぞ!
恐れおののいていたら、ウルたちがシンちゃんが起きた! と言って、抱き着いていたプラムとシオンをはがし、シンラを俺に抱くようにお願いしてきた。おっと、ケットシーが俺の肩に登ったってことは、パンツを変えてやらんといけないか。
起きている時は、時間でおトイレに連れていくので、お漏らしすることは少ないが、寝ている時はしょうがないよな。そのためのオムツだしな。今は、パンツタイプに代わっているから、対応も楽になったな。
む? どうした? 軽く拭いてやったのだが、顔が険しい。どうやら、拭くだけでなくシャワーで少し洗ってほしいようだ。ようだと言うのは、シンラたちは話せるようになったのだが、意味のある文章を作るのはまだまだ難しいので、単語から推測している感じだ。
どうも、拭いたときには気付けなかったが、ちょっと赤くなっているな。蒸れたかかぶれたかな? 軽く石けんで洗ってやり、キレイに拭いてからベビーパウダーをつけてやると、険しい顔ではなくなった。痒いまではいかないけど、不快だったんだろうな。
回復魔法やポーションで治しても良かったのだが、小さい頃はあまりやらない方が良いみたいで、こういった対応を取っている。
プラムとシオンも着替えが終わり、お姉ちゃんたちと一緒に食堂へ向かうようだ。シンラも降ろして歩かせようとしたら、頑なに拒否するので、抱っこしたまま食堂へ向かうことになった。
食事も終わり、庁舎へ仕事をしに向かうと、グリエルに途中で呼び止められた。どうも、昨日の件で情報に進展があり、その報告をしたいとのことだ。
いつでもいいけど、来るときは先に連絡してね。
一通り仕事が終わったころに、ゼニスを連れてグリエルとガリアがやってきた。ゼニスも元気そうでよかった。ちょっと二日酔いをしていたらしいが、万能薬を使って直しました……だってさ。金持ちは違うね!
「昨日の5件の問題なのですが、原因と言いますか黒幕の様な存在が分かりました。フレデリクで、免罪符の話がありましたよね。そこから少し辿ってみたのですが、新興宗教の様なものが関わっているらしいです。聖国とは全く関係のない、独自の物らしいです。
ここからが問題なのですが、話に出てきた免罪符が、本当に効果があるそうなんです。本人が直に確認したそうなのですが、殺人のついていた人間に免罪符を使わせたところ、罰賞が消えたのを真実の目で確認したようです。自分も免罪符を購入して使ったのに、効果が無かった! とキレています」
免罪符の効果は分かったけど、悪いことしていたのはお前だろ! 逆切れすんなし!
「免罪符ね……嫌な予感しかしないわ。真実の目って、この世界のシステムにそってステータスを表示するんだから……それを改変できるってことは、神の手が関わってるってことだろ。今度は、宗教を作って干渉してきたのか? っと、その宗教が黒幕なのか?」
「話を総合すると、その宗教の人間が金持ちにコンタクトを取って、免罪符を使って荒稼ぎをしているみたいですね。稼いだ金を使って、色々な街に干渉しているそうです。確認できたのは3つの都市ですが、既にその宗教の傘下になってしまっているようです」
おう。思ったより大掛かりな事をしているんだな。俺の街で5件、聖国では通用しないやり方だから、聖国の力の弱い王国と小国群でダマされた都市が、3つもあるのか。
「でもさ、俺の所に来た5つは、領地より金って感じじゃなかったか? 特に最後のは、殺して金盗んで逃げるって話だっただろ? ちょっと食い違う気がするんだけど……」
「傘下に置かれた3つの都市なのですが、王国で1つ、小国群で2つの様です。商会の支店があったので、確認させていますが、金を払ったうえで街の権利も奪い取られた感じですね。実際に借金をしているところもあり、全部を請け負ってまとめて返済を迫ったと聞いています」
あ~そのための、免罪符で稼いだ金か……情報が知られれば対処されるから、一気に仕掛けてきた感じかな? 知られる前に、傘下に置ける場所は傘下に置いておきたいみたいな?
「ってことは、今領主がいない都市は、危ないかもな。一応、王国と帝国に忠告しておいてくれ。神が関わっているのか……面倒だな。ここまでタイミングを合わせられるってことは、無線の様な道具もあるだろうし、だるいな。俺の街では、宗教活動は禁止しているから、見つけ次第捕縛だな」
「シュウ様の支配領域ではないので、対症療法しかできません。入り込ませないように、各街に警告しておきます。後、神が相手の様なので、内部に入り込まれないための対処として、宗教の傘下に置かれた街からは、支店を撤退させます」
神が関係してたら、洗脳とかあってもおかしくないもんな……考えることが増えてきたな。
「俺もちょっと、対処を考えてみるよ。ゼニスは、そのまま対応をお願い。グリエルは、さっきも言ったけど王国と帝国に忠告してやって。ガリアは暗部と連携して、スパイ何かを排除してくれ。何かあったら、すぐに連絡頼む」
今できることは多くないので、出来ることを的確に……そして、チビ神! 返事しろや!
『ふぁい? ねてにゃいよ?』
お前寝なくても平気なのに、寝すぎじゃね? それはどうでもいいか。聞きたいことができた。俺の召喚リストにはないが、免罪符って言うのはダンマスに召喚できるのか?
『ふぇ? 免罪符は、ダンマスには召喚できないわよ。神を正しく信仰している宗教の上層部で、神の加護がある部屋で受け取る必要があるからね。あんたの世界では、正しく信仰している人間なんていな……あれ? 何でいるのよ。誰かが、信託でもしたのかしら?』
俺にも分かるように説明しろ!
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