1870話 爆走中
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「よし、多少本気でやることにした!」
何こいつ、急にバカなこと言い始めた……みたいな視線を綾乃が送ってきた。でもな、お前だけには言われたくないんじゃ!
「っと、そんなことを言いたくなる視線もわかるが、今チビ神としゃべってたら創造神のじっさんも来てな、今回勝つことが出来たら、アイギスの盾っていう神器を召喚できるようにしてくれるって、約束してくれたから、全力で勝ちに行こうかと思ってね」
「そういえば、勝たなくても楽しませれば、収納のアイテムの中を検索できるようになる……って話でござったな。勝つ気でやってたでござるが、どこか負けた所で……みたいに考えていたでござる。普通に考えてこの条件で勝てるでござるなら、もっと報酬が高くてもおかしくないでござるな」
「あんた、黙ってたと思ったらそんなことしてたのね。ちなみにそのアイギスの盾って、どんな効果なの?」
「盾に触れた部分のすべての攻撃を無効化する、っていう神器だな。正確には、盾に触れた部分から、攻撃と同質のエネルギーみたいなのが出て、攻撃を無効化するらしい。何でも切れるあの剣を受けたら、何でも切れるって言う効果も跳ね返して、剣の攻撃を防ぐんだとさ」
「リアクティブアーマーみたいな発想でござるな。爆発はしないでござるが、力に力を跳ね返すと言う感じでござるか?」
「じゃぁ、最強の矛と最強の盾の矛盾は生まれないってわけね。さすがに何でも切れる効果までは、切れないってことで相殺される感じなのね。面白い盾ね。で、そのデメリットは何?」
「盾を持っている間、寿命の消費が倍になる、って言うのが盾のデメリットだってさ」
「シュウとバザールには関係なくて、S級スケルトンも人造ゴーレムもノーリスク……リスクがあるとすれば、もし使うなら私やシュウの奥さんたちくらい?」
「綾乃殿、待つでござる。主殿の奥方たちは、寿命を止める丸薬を飲んでいるでござる。その効果の間であれば、ノーリスクということではござらんか?」
「あ~確かに。でもその場合って、寿命が止まっているからその期間無効なのか、無効期間が倍の速度で消費されていくのか、どっちか分からないわよね……どうすんの?」
「それなんだけどさ。アイギスの盾って、俺たちが使うには盾として欠陥品なんだよね」
「どういうことでござるか? 盾で受けれるなら、すべての攻撃を無効化できるでござるよ。サイズにもよるでござるが、バックアームに持たせて全身くまなく守る! ってことも出来るでござらんか?」
「シュウたちが使うには……盾として欠陥品? あぁ! そういうことね。確かにあんたたちの盾の使い方を考えると、アイギスの盾って欠陥品もいい所ね。でもさ、S級スケルトンたちにも同じことが言えないかしら?」
「ちょっと待つでござる! 2人で話を進めないでほしいでござる! 何で欠陥品なのでござるか!」
「バザール、よく考えてみろ。同質の力で弾き返すんだぜ、その逆もあるってことだよ。俺たちがよく使う攻勢の盾スキルが、全部無効化になるんだよ。どんなに強く殴っても、ダメージが盾に吸収されて、ノーダメージになるってことだよ」
「え? 勢い良く殴れば、ぶつかる時の衝撃を更に追加して、倍のダメージになるのではござらんか?」
「俺もさ、初めはそう考えたんだけど、創造神のじっちゃんは、同量の力の反射が本来の効果じゃ、って言ったんだよ。でも本質はおそらくだけど、攻撃の無効化がアイギスの盾の効果なんだよ。だから盾で殴れば、同量の力が使ったモノに向かって跳ね返ってくる、って形さ」
「でも、守りに使う人造ゴーレムにいっぱい持たせる案は、結構いいと思うわ! 守りが固くなるわけね! アイギスの盾を運用する専用の人造ゴーレムも作りたくなるわね!」
「でだ、アイギスの盾って、決まった形が無くて多少サイズや形をいじれるんだとさ。後複数持った場合も、効果が重複して寿命が減るのが速くなるわけじゃないんだとさ。丸薬1個で半年使えるって言ってた」
「ほへ~、形を変えられるなら、全身をくまなく鎧みたいに包めるのかな?」
「どこまでできるかは、試してみないと分からないけど、フルプレートみたいに作れるかもしれないな。後は、パズルみたいにして、組み立てれば大楯もできるんじゃないかな?」
「DPが有り余っているからできる話でござるな。普通のダンジョンマスターなら、大量に召喚する前提の話なんてできないでござるからな」
「上位ランカーなら出来るだろ。そこまでして、DPを使う意義が見いだせるか分からんけどな。俺みたいに腐るほど収入があるわけじゃないからな」
「そういえばさ、ゲートで1つだけ別の世界に行けるようになったんじゃないっけ? 向こうの世界の6大陸は掌握しないの?」
「行くのがめんどい」
「バザールに行かせればいいじゃん。S級スケルトンと飛行ユニットに、シュウのドッペルを持って行ってもらえば、解決じゃない?」
「…………」
無言でバザールを見た。
「分かったでござる。ダンジョンバトルが終わったら、各大陸へ派遣するでござるよ。ゲート使う時は言うでござるから、通らせてほしいでござる。一応、攻略不可能なダンジョンは1つ設置するでござるよね?」
「そうなるだろうな。放置するんだから、それなりのダンジョンを作っておかないと、攻略されてコアを取られたら面倒だからな。そこらへんは、終わってから考えよう! それより、俺はこのバトルに勝つんだ! 絶対に負けられない試合がそこにある!」
バチーンッ!
綾乃にハリセンで頭を叩かれた。
「何あほなこと言ってんのよ。もう4階に入られてるんだから、5階しか変更できないでしょ。どうすんのよ?」
「綾乃、6階の事を忘れているぞ。あそこに、特級戦力はいるが、更に追加して敵に勝ち目をなくすんだよ。バザール、S級スケルトンで手の空いている個体は、全部6階に送り込んでくれ。俺はちょっと、スプリガンのみんなに、監視を強めてもらうように言っておく」
綾乃は、試作段階の人造ゴーレムを引っ張り出してくると言って、部屋を出ていった……あいつ、まだ試作機があんのか? どれだけ作ってんだよ!
俺はスプリガンの所へ足を運び、収納系のアイテムを個人で持っている人には、注意をしてマーキングするように頼み、不審な行動があった際には、すぐに連絡をするようにお願いしておく。
このバトルに乗じて、神の一部がこっちにちょっかいをかけてこないとも限らないからな。念には念を入れて、監視を強めるぞ!
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