187話 適当に法律や税について調整する
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魚人たちが来てから 二ヵ月が過ぎた。
その間にあった変化といえば、米の収穫があった。やはり作物の生育状況が著しく早いようだ。おおよそ二から三倍の速度で成長しているのだ。どういう原理か全くもってわからないが成長が早いんだよな。なんなんだろう、不気味だけどうまいんだから気にするだけ無駄か。
他にも、二巡目の夏野菜たちも収穫があった。魚人たちも生活に慣れ畑仕事にも精を出している。やはり魚人には炎天下の中の作業は大変の様だった。でも用水路を整備しておいてよかった。そこで水浴びができるのだから問題ないだろう。
それより驚いたのは、魚人は人種でありながら魔物に近い特性があった。魚人たちが水の近くで生活したいといったのは、定期的に水につからないと体に不調をきたすようだ。シュリの英雄症候群の空腹状態に似た感じでステータスに低下が起こるんだろう。浄水や用水路をしっかり整備しといてよかった。
魚人たちの戦闘訓練も終了して、海底ダンジョンに入っている。順調に水棲魔物の鱗を集めているようだ。スケイルメイルに水棲魔物の鱗を使うと、水中機動の性能にブーストがかかるみたいなのいで、戦力がどんどん上がっているだろう。
といっても水中限定の戦力なんだよな。陸上に出ると五十レベルくらい離れた人種にも勝てなくなるのだ。人種であれば差がないと思っていたが、人種も種族によって違う特性がある気がしてきた。ステータス上は同じでも戦闘をすると差が出るのだ。
まぁ、水の中なら一〇〇くらいレベルが離れてても、余裕で勝てるけどな。極端なんだよね。
そだ、一番変わった事といえば、ディストピアの住人の数人がご懐妊したようだ。基本的に奴隷は子作りはできなくなるから、諦めているところがあった様だが、この街というか俺の奴隷であれば気にしないことを伝えるとみんなで喜んでいた。
夫婦の数ははじめは少なかったが、独身同士の結婚もあったようで順調に次世代の生命が増えているようだ。それを知った娘たち、特に年長組が指をくわえてこっちを見ていた。何を期待してるんだお前たち……好きな相手でもできたのか?
結婚した中には違う種族と結婚してる人間もいたな。奴隷になったら価値観が変わるのだろうか? 他種族との婚姻は多くないらしいのに珍しい事だ。まぁおれは特に気にする理由もないし、むしろケモミミがあることによって可愛さがアップすると思うんだ!
ちっちゃい娘のケモミミとか見てるだけで癒されるだろ? ロリコンじゃなくてもあれは癒しだと思うんだ。俺は間違ってない!
街が一段落したから何か物足りない気分になってきたな。この世界に来た頃は素敵部屋、趣味部屋を作ってのんびり生活するのでもいいと思ってたのにな。ホモークのせいで護衛の娘たちを仲間にして、それから、ヒキガエル男爵にちょっかいかけられて……
戦争して、娘が増えて農地開拓して、鉱山におびき出されて国王直属奴隷兵が攻めてきて、反則技まで使って奴隷兵を殺して樹海に逃げて街を作った。成り行きで始めた街作成だが、今は人も増えてきて楽しくなっているな。なんだろね、よくわからないけど今が楽しいからいっか?
何か、〇列車で行こうやシムシ〇ィみたいな都市構築シミュレーションみたいな感じになってるよな。あの手のゲームだと、住宅を作ったり駅を作ったりすれば勝手に人が増えてたけど、これは現実世界で現代みたいに駅はないし、そもそも他の街と交流がほとんどねえからな。
ヴローツマインだって限定的な交流しかないしな、人を増やすなら交流しないとどうにもならんよな……そうすると余計な奴らも増えるわけで、法の整理というか決まり事? も、しっかりしておかないとな。グリエルとガリアに確認に行くか。
「ちゅ~ことで、グリエルにガリア確認しに来たよ~!」
「えっと、どういうことですか? いきなり来て確認しに来たといわれても、何の確認か全く持ってわかりませんが」
「すまんすまん、ノリだから気にしないで。以前話してたこの街の法律的なあれこれってどうなったかな? 人を増やすには他の街と交流もたないといけないし、無法地帯っていうわけにはいかないのでその辺の確認に来た!」
「あ~その事でしたか、一応案は完成してますよ。基本的にはライチェル王国のをベースに作りましたが、ご主人様が言ってたように貴族の位を使った横暴は奴隷落ち以上の対応。
強姦は現行犯なら拷問後死刑、現行犯でない場合はきちんと調べてから死刑。この際はチャームの使用を考えてますね。女性による冤罪であれば、奴隷落ちが注目すべき点ですかね?」
「そうだね、貴族による横暴はここでは絶対に許さん! 女性の心を踏みにじる強姦もゆるさん。それをカモにした女性による冤罪も許さない! チャームも使用して真実を聞き出す。後、称号に犯罪関係のものがある場合と、宗教関係の称号や身分証明をした場合は街には入れないっていうのも付け加えてくれ」
「犯罪はわかりますが……宗教もですか?」
「わかってると思うけどバリス教は、獣人と魚人、鬼人を排斥する教訓があるから入れるわけにはいかない。俺からすればバリス教より、獣人・魚人・鬼人達の方が一〇〇倍は大切だ。
前にちらっと話したけど、あの宗教は神殿騎士からして殺人鬼や殺人の称号があるくらいだからな、絶対に面倒事しか起こさないと分かりきっているのに入れるわけがない」
「了解しました、ご主人様。ちょっと思いましたが、種族による差別は罰則対象に入れないといけないですよね?」
「そうだな、この街では種族による差別や暴言は段階で罰則を適用しよう。それと入る前にしっかりとその辺を理解したうえではいってもらおう。特に貴族と強姦に関しては、この街で初犯でも情状酌量の余地はない事を明記しておこう」
「段階的な罰則に関しては、こちらで決めておきますね。問題があるようなら修正していきましょう。他には何かありますか?」
「ん~~。ヴローツマインはいいとしても他の街はさすがに街中に出入り口があるのは認められないと思うから、入口は要塞化しよう。基本的な兵力はリビングアーマーを大量においておけば、入口の兵士が逃げる時間は稼げるかな?
真実の瞳を使って犯罪の称号もちは入口ではじこっか。わざわざ通路使わせる必要もないしな。通行料もとるべきかな? どうおもう?」
「とるべきですね。これだけの整備された道、盗賊や魔物に襲撃されない道がただで使用できるとなれば問題ですね。後、入った入口からしか出れないようにするべきかと思います。ヴローツマインの方なら、ギルドなどからお墨付きをもらえば、他の街にも行けるようにしていいかと思いますね。
ディストピアで荷物を降ろしても十分に利益が出るはずなので、私たちは下ろしてもらった荷物を転売して利益を得てもいいと思います。もしくは、ヴローツマインの商会を招いて自分たちで売ってもらって、税を納める形でもいいかと思われます」
「ん~そこらへんは任せてもいい? あんまりヴローツマインに負担がかからないようにしてあげてほしいな。あの街は同郷の人間が作った街だから、可能な限り不利益なことはしたくないんだ。よろしく頼む」
「了解しました。他の街に関してはこちらに有利なようにしておきます。それでも儲けが出るはずなので問題ないでしょう。移住に関してはディストピアに来る際に真実の瞳を使うので、そのまま移住してもらってもいいと思いますがどうですかね?」
「勝手に住み着かれるのは困るから、そこらへんは考えようか。後は宿も多めに作らないといけないな。管理や警備、監視の面を考えてできる限りまとまって作ろうか、宿泊区画的な感じでどうかな? ある程度人口が増えるまでは土地も安く売ってもいいと考えるけどどうだ?」
「宿に関しては、ある程度のランクを分ければいいかと。区画で作ってもらった方が色々管理しやすいのでまとめましょう。人口を増やすには有効な手段だと思いますので人数を決めて線引きをしましょう。
勝手に売買されないように、私たちの仲介のないやり取りは無効にして取り上げでもいいと思います。転売とかする人間が現れるかもしれないので」
「俺たち以外の転売は考えてなかったな。土地は切り分けてあるから、そこで買ってもらえばいいから管理は楽かな? 住人には何か特殊なマークとかできればいいかな? それを目印にマークのない人を探せるようにできれば完璧か」
「そんな便利なものがあればいいですね。とりあえずは、土地を買う時を起点に住む人の名前を申告してもらって管理をしましょう。税金に関しては、土地にかけましょうか? そうすれば人数をごまかす意味がなくなりますからね。問題がありそうなら変えていきましょう」
「そこらへんはやりやすいようにしてくれ、でも余裕がある生活を送れるようにするのが前提だぞ! 街の収入は、ギルドなどからの税金と通行料、商隊の売買手数料あたりで賄えるようにできれば最高だな」
「動かしてみないとわからない事も多いので、街の警備や宿、入口の整備ができたら試験的に受け入れてみましょう」
「受け入れ開始の時期は後で検討しよう。しばらくは赤字でも構わないからやりながら調整していこう!」
「しばらくとはどのくらいですか?」
「う~~ん……十年くらい?」
「へ? そんなにですか?」
「今持ってる資金で十分に回せるよ。それに塩もあるし大丈夫さ。農家をやりたい人には、畑を売ってもいいし、農奴の人たちは街の職員扱いで働いてもらおう」
話が終わるころには、グリエルとガリアがひきつった顔をして頭を押さえていた。
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