1861話 ファンタジーじゃないのか!?
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綾乃の進軍命令で、専用機を動かす。本当は、アーマー〇コアのように、ブースターなんかで空を飛べるようにしたかったが、あのゲームみたいに機体を飛ばし続けたりすることは、クリエイトゴーレムではできなかったのだ。
だけど、ブースターのないあのゲームっぽい感じにはなっている。操縦に関しては、コントローラーでもできるようになっているが、せっかくなので綾乃が頑張って作ったコクピットを流用させてもらい、今回のダンジョンバトルに挑んでいる。
正直なところ、あのゲームで勝負をすると、綾乃には全く歯が立たないのだ。何て言うかね、必死に考えて操縦しているのに、すべてを先読みされて攻撃され、アボンするのである。
そのせいなのか、この専用機で戦っても全く勝てないのだ。10回に1回勝てればいい方である。
俺らの戦績なんて気にしても仕方がないな。高速移動ができるように、タイヤが足に仕込まれており、すごい速さで敵の魔物が待機している部屋に到着する。
魔物は油断していなかったようで、移動している音が聞こえていたから、到着する時には臨戦態勢に入っていた。
到着しても、向こうから襲ってこないのは……連携の問題もあり、様子を見ているからだろうか?
あのゲームみたいに、銃みたいなものはないが、近接戦用の武器は多数準備している。
俺はロマン武器のパイルバンカーだな。手に仕込んであり、相手を殴ったときにヒットすると、杭が撃ち出されるように設計している。足やひじに関しては刃物を仕込んでおり、当たる直前にパイルバンカーみたいに飛び出す方式を採用している。
バザールは、防御型の設計だ。装甲は厚めで、武器は重量級のメイスを使っている。コンセプトは、殴られながら殴り返す! 相打ちを前提とした設計だな。盾も装備していて、そっちはリアクティブアーマーみたいに、攻撃を受けると爆発するようにできている。意味あるのか知らんけどな!
最後は綾乃の機体だ。あいつのは、正直ピーキーだと思う。足は逆関節で、前進するスピードが俺たちの中で一番速い。瞬間的なモノではあるが、その早い動きの中で的確に攻撃するのだから、並外れた動体視力に反射神経、判断速度だと思う。武器は、収納のカバンを使って、状況に合わせた武器を使う。
俺やバザールが綾乃の機体を使っても、強くないのだが……綾乃が使うとありえないほど強くなるんだよね。
対峙していると、耐久と力に秀でたクマタイプの魔物が前に出てきた。その体のサイズに、ちょっとビビる。この世界に来た頃に倒したフェンリルより、圧倒的にでかかったのだ。
フェンリルは、すらっとしたオオカミを大きくした感じなのだが、こいつはクマなのでガッチリしているのだ。例えるなら、マラソン選手とお相撲さんみたいな感じだろうか?
例えが上手くないな。それでもとりあえずでかいのだ。こっちの倍くらいはありそうなクマなので、それだけで脅威である。
どうするかと思えば、奇声を上げて綾乃が突っ込んでいく。
『ヒャッハー!!』
お前は頭がいかれたどこかの人間か?
そんなことを考えている間にも、綾乃の専用機がクマに突っ込んでいく。手伝おうとしても邪魔だと言われるので、俺たちは……
「バザール、他のやつらが横槍入れないように牽制するぞ」
『了解でござる。邪魔して怒られるのも嫌でござるが、邪魔を防げなくて怒られる方が面倒そうでござる。某は左を牽制するでござるよ』
「オッケー、俺は右な」
俺は綾乃が戦っている戦場を右から抜けて、綾乃の戦いに邪魔の入らないように、他の敵を牽制するように動いた。
クマに続いて攻撃を仕掛けようとしていたオオカミやバッファローみたいな魔物は、俺たちの動きを見てどうするか考えているようだ。
ここまで到着した魔物の見た目は、クマが1割ほど、オオカミが3割近いかな? それ以外の四足歩行の獣が2割で10種類以上いるな。残りの4割の内3割ほどが、人型……亜人系の魔物で、残り1割が蛇やワームの様なニョロニョロ系だな。
四足歩行って言ったけど、足が6や8本のやつもいるので、ちょっと違うかな……
にらみ合いをしていると、亜人の中の……初めて見るタイプの魔物が、指揮みいたいなのを取り始めた。オーガっぽいんだけど体が大きい。オーガも亜人の中では大きい方なのだけど、それより2回りは大きいかな?
そいつに統率されて、タンク……タフな魔物が前衛に出てきて、動きの速い魔物が真ん中、遠距離攻撃のできる魔物が後衛に並び、隊列を組みやがった。
実況者も驚いているが、おそらく指揮をしている魔物が、敵対していない魔物を統率できるような能力を持っているのだろう。無条件に統率できるのであれば、配置していた魔物たちがあいつの指揮下に置かれているはずだからな。
さて、厄介なことになったな。
「バザール、どうする? 突っ込むか?」
『守っていても、数が負けているでござるから、後手になるでござる。ならば攻めの一択でござる』
「だよな。じゃぁ、タフな前衛に攻撃を仕掛けて、動きの速い奴が出てきたら、そいつらをしとめる感じで行くか?」
『基本戦術はそれでいいと思うでござる。まぁ、思い通りにいかないと思うでござるから、臨機応変に行くでござるよ。負けてもいい戦闘でござるからな』
『バザール! そんな気概でどうすんのよ! やるからには勝つつもりでやりなさい。最後まで足掻いて、1匹でも多く敵を倒すのよ!』
綾乃が、俺たちの消極的な会話にキレた……すんません。やるからには、全力で挑みます!
俺たちがこんなことを話している間に綾乃は、攻めてきた中でも一番を争うタフさのクマの片腕を切り飛ばしてた。敵対しているクマは、全身に怪我をしているが、綾乃の専用機は返り血以外大して問題はなさそうだ。
前衛に出てきているのは、クマ系と亜人でも重装備をしていたり、ゴーレム系が多い。俺の武器の特性上、ゴーレムがやりやすいので、攻撃を受けてもゴーレムを倒すために突進する。
拳が当たり杭が撃ち出される。ゴーレムに穴が開き体勢が崩れるが、コアを貫いていないので、一撃で死ぬわけもなく反撃される。
鈍重なゴーレムの攻撃であれば、俺の専用機でも余裕でかわせる。右からのフック気味の拳を躱し、左肩に拳を突き立てる。また杭が打ち出され、ゴーレムの左腕が吹き飛ぶ。この間も、後ろから殴られたりしているが、完全に無視してゴーレムにとどめを刺した。最後は、偶然コアに当たったようだった。
ダメージ的にはまだ問題ないけど、若干背面装甲の歪みが検出されている。大丈夫だろうか?
止まっていても仕方が無いので、肘を振り回したり、蹴飛ばしたりして近くにいた魔物を引き剥がす。
動きの速い奴を攻撃したいけど、囲まれて無理なので、人造ゴーレムたちよそっちでなんとかしてくれ! あいつらなら、オオカミに噛み付かれても、歯の後が多少つくだけで終わると思うから、何とかなるだろう。ずっと噛み続けられたら壊れるかも知らんけど……
肘や蹴りが当たった魔物は、飛び出てきた刃物によって少なからずダメージを負っているが、良く分からん亜人の指揮のせいか、的確にこちらを囲んで死角から攻撃を仕掛けてくる。
専用機に死角は無いけど、専用機を亜人としてみた時の死角から攻撃してくるので回避が難しく、重い攻撃なので一方的にやられている感じだ。
『1体は倒せたでござるが、囲まれてボッコボコでござる』
「俺もだ。反撃が出来ねえ」
『ったく、あんたらは生身じゃないと、本当に弱いんだから……』
綾乃は、あのタフなクマをすでに倒して、囲まれている俺たちの外側から、攻撃を始めていた。
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