1836話 知らないということにする
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思ったより簡単に片付いてよかったわ。ディストピアに戻って、グリエルたちがまとめた情報を聞くことになった。
ナントカ伯爵とナントカ侯爵は、領地が帝都の近くなので連絡をした30分後には、インペリアルガードのナンバー4と5を頂点に、100番台と200番台の混成チーム101人ずつが、グリフォンに乗って出撃したそうだ。
インペリアルガードって前は、100番位までじゃなかったっけ? なんて考えていたら、武力を別けたことで多少混乱するとみた、現皇帝が500番まで作ったらしい。しかも、完全実力主義だけではなく、ふさわしい行動も取れるように教育したのだとか。
実力的には、過去のインペリアルガードよりは強さ質は下がったが、それを補う連携を学ばせて、総合力的には同じくらいか越しているのではないか? と噂されているらしい。
そして、空戦力のグリフォンは、グリフォンの巣が元々バッハの住んでいた山の近くにあり、バッハがいなくなったことで、数を揃えることができて機動力が上がったのだとか。
グリフォンはランクにすると、ワイバーンと同じAランクだが下位に相当するため、ワイバーンに比べると強くない。Aランクなので、力で従わせることが出来る相手である。インペリアルガードになるための、最終試験みたいなものだろうか?
倒すことはできても、殺さずに大人しくさせるだけの力が無いとグリフォンは従わない上に、性格に難があると全力でグリフォンが拒否する。そこらへんも審査対象になるのだとか。魔物って賢いからな。
自分を雑に扱う相手に従うなんて、ありえんよな。そういう意味では、過去のインペリアルガードのトップは大半が従わせられないだろうな。あいつら、頭おかしかったもんな。
話がそれた。
で、その空戦力を使って、ナントカ伯爵とナントカ侯爵の所に乗り込んで、証拠隠滅を図っているらしい。
実力主義の部分は変わっていないので、インペリアルガードが街に入ると、騎士団……各領主の配下の兵も、インペリアルガードに従って行動するようになるらしい。上下関係がしっかりと、叩き込まれているのだとか。
じゃぁ、インペリアルガードが出動した時点で、ナントカ伯爵とナントカ侯爵は詰んでるんだな。名前を覚えるのも面倒で、ナントカとしか言ってないけど、いなくなるんだから気にしなくていいよな。
もし、証拠が見つかんなかったら、どうするつもりなんだろうか?
「証拠ですか? あ~その二貴族は、証拠が無くても反逆罪で、一族郎党処刑らしいですよ。何やら、前皇帝時代から問題の多い貴族だったらしく、この際に潰してしまうと言っていましたね。実力主義の帝国で、権力を振りかざして、色々してたみたいで鬱陶しかったようです」
問題児というか、問題貴族だったんだな。
王国も帝国も、ポンポンと首を飛ばしているけど、統治に問題が出たりしないのだろうか?
「それは無いですよ。統治に問題が出ている領主だから、首を飛ばしているんです。問題が無い領主の首を飛ばす必要なんて無いですからね。それに、三大国くらい大きければ、替えの文官なんていくらでもいると思いますよ。自分の息のかかった人間の方が、扱いやすいので準備していると思います」
そんなもんか。君主制の政治体系なら、そういうことも出来るんだな。
「呑気なことを言っていますが、シュウ様の治めている街も君主制ですよ。シュウ様にすべての権力が集まっていますからね。今は、私たちや領主代行に権限を与えていますが、すべて取り上げることだって可能ですからね。実力的にも、問題ないですしね。
でも、シュウ様は統治が乱れるからそんなことしないと思いますが、出来ることは事実なので受け入れてください。だから、度々私たちに領主をやらないか勧めないでくださいね」
……出来るのだから、俺が治めている街全体で見ると、君主制って扱いになるんだな。
部屋をノックする音が聞こえる。入るように促すと、秘書がグリエルに耳打ちをして資料を渡し去っていく。何だったんだ? 領主の俺に聞かせられない話?
「えっと、皇帝から追加情報が入ったそうです。資料を全て押さえて、今回の計画に参加する予定だった全貴族の情報を見つけたのですが、トップの二貴族以外は強制されて参加させられるところだったらしいです。寄り親と寄り子の関係で、断れずとの事らしいです。
なので、強制させられた貴族は、何とかなりませんでしょうか? との事らしいですね。今も連絡が繋がった状態みたいですので、この部屋に繋げてもよろしいですか?」
問題ない。繋げてくれ。
皇帝が簡単に状況を説明してくれた。グリエルが言った事が全てだったのだが追加の情報で、全員が強制されていたわけではないようで、排除したいと思っていた領主は軒並み自らの参戦だったようだ。で、問題のない領主が強制されていたらしい。
割合にすると2対8くらいで、2の方は排除したいのだが8の方は、何とかならないでしょうか? という相談だった。
「皇帝、俺は何も見てないし、何も聞いていない。そこは分かるよね? だから、こっちに問題が飛び火しないようにしてくれたら、俺は何も見ないし何も聞かないまま終わる。帝国で何があっても、俺たちは分からないんだからそれでいいだろ?」
そういう風に言うと、頭を下げてお礼を言ってきた。だから、お礼はいらないんだって! 俺は何も知らないんだからな! そこは間違えちゃいけない。だから終わった後に、こういうトラブルがあって、変わったことがあるから報告程度でいいよ。
皇帝との話し合いが終わった。
「何やら慌てている様子だったな。帝国で何かあったのかな?」
「何があったんでしょうね? そういえば、ヴローツマインに送った盗賊9人ですが、戦闘鉱員ではなく奴隷教官として手加減をしなくていい、訓練相手にするようですね。思ったよりは戦闘能力が高かったようで、新人教育に使われるために、各地に派遣されるみたいですね」
有効活用してくれるなら、それでいい。
「そうだ。今回トラブルに巻き込んでしまった冒険者たちに、何か補償をしておいてやってくれ。何がいいか分からないから、問題のない範囲で補償をお願い」
話し合いも終わり、今日の仕事は終わり! ちょっと残ってはいるが、移動時間があったりして、定時を過ぎているので明日にする。早めに処理するべき書類は、先に終わらせたからな!
さぁ、帰るぞ!
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