1816話 正義の断罪者現る
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俺がこの場に呼んだ3人とは……正義の断罪者、ホモークエンペラーのオリバーとホモークインペリアルガードのジャックとオスカーだ。元々オークの変異種、ブラッドオークのさらに変異種のホモークと呼んでいた奴らだ。
実はこいつらの実力というかポテンシャルは、Sランクに匹敵する。いや、匹敵するというか、Sランク以上なのである。
俺はすっかり忘れていたが、ブラッドオークはオークの変異種なので、オークより2ランク上。この段階で上位種のジェネラルと同格なのである。そしてホモークは、ブラッドオークの変異種なので、更に2ランク上になる。
この事実は、ホモーク自体がジェネラルの更に上位種である、オークキングと同格ということだ。
気付いただろうか……ホモークがAランクなのだ。こいつらは、ホモークの上位種である、ホモークエンペラーやホモークインペリアルガードなのだ。
さすがにAランクの上位種だからと言って、SSランクになるかと言えばそうではないのだが、ホモークの強化種はAランク最上位という強さだが、上位種となるとSランクといっても過言じゃない。
そして、ホモークインペリアルガードでSランクなのであれば……ホモークエンペラーはさらに強い。SSランクは無理だとしても、Sランクの中でも最上位だろう。
そもそも、Sランク以上の魔物は天災みたいなもので、現れたら被害が出るのは当たり前みたいなものなのだ。便宜上ランクをつけているが、Sランク以上は下から見れば差など分からない。例外として、リバイアサンみたいな超天災級もいるが、今回は放置で。
でだ、こいつらの恐ろしいところは、ホモークということもあるのだが……それ以上に、自分に厳しいのだ。いうなれば、ストイックに自分をしごき倒す変態ともいえる。
正直、模擬戦でホモークエンペラーのオリバーと戦えば、100回戦って1回勝てるかどうかだと思う。その理由は簡単で、人間より魔物の方がポテンシャルは圧倒的に高い。それなのに、俺よりLvが高いのだ。
俺が900後半に差し掛かったばかりなのに、このホモークたち……自分たちをイジメ倒して、Lv999という、この世界の上限にまで達しているのだ。俺みたいに、自由にしているわけではなく、男性性犯罪者の相手と、ゴーストタウンの見回り以外では、戦闘訓練ばかりしている、ガチのやべー奴らなのだ。
あまり触れたくなくて放置していた結果、誰にも手が付けられないところまで進化してしまっていたのだ。
でだ、俺とオリバーのステータスを比べると……3割増しくらいで、オリバーの方が高い。チビ神によって改造した俺の体のステータスを上回っている。模擬戦でいい勝負ができるのは、シュリくらいだろう。
ちなみに俺たちは、スキルの宝珠で覚えた剛腕など、ステータスの一部を大幅に上げるスキルを、こいつらは自力で覚えていたため、もうね……手が付けられない。
従魔たちのヒエラルキーが高くなく、俺の従魔たちの言うことを聞くことが、せめてもの救いだった。
まぁ、模擬戦なら勝てないけど、何でもありの勝負になれば……多分9割以上の確率で勝つことはできるだろう。本当に手段を選ばなければね。
こいつらを連れてきたのは、性犯罪者だと分かったからだな。目には目を歯には歯を! だ。
自分が弱者の立場になったときの痛みを知れ!
いくらこの勇者が強くても、戦闘系のスキルではないため、勝ち目は薄いだろう。ステータスは、絶望的な差があるからな。俺たちでも負けることは無いと思うが、更に強いこいつらを引っ張り出してきたのだ。
「さぁ、覚悟はいいか? 俺の従える亜人系の魔物で一番強い、オークを連れてきてやったぞ」
「はん、たかがオーク……いや違うな、オークにしては筋肉質すぎる……こいつは、変異種のブラッドオークだな。悪魔の所業をしていると言った割には、こんなクソ雑魚を引っ張り出してくるなんて、本当はお前、弱いんじゃないか? こんなクズにいいようにされた聖国の上層部め、後で焼きを入れてやる」
「あ~、たかがオークだけど、こいつらを舐めない方が良いぞ。死ぬほど後悔するからな」
俺たちが会話をしている間にも、ホモークたちはブヒブヒと会話をしていた。だからお前ら! ゴーストタウンにいる時みたいに、人間の言葉でしゃべれやボケ!
様子を見るにジャックとオスカーは、この勇者に興味が無いらしい。こいつらの好みは、ガチムチ系と細マッチョみたいな筋肉のあるタイプだったっけ? それに対して、エンペラー……皇帝の名に恥じない器のデカさのオリバーは、部下に悪食と言われるほど何でもござれなのだ。
ブッヒッヒ! じゃねーよ。気持ち悪いから止めろ! 3人連れてきたがジャックとオスカーは、オリバーがピンチにならない限り助けに入らないようだ。
「腐れオークが! いっちょ前に1人で戦うだと……勇者を舐めるんじゃねえ!」
俺は思わず、爆笑してしまった。妻たちの何人かも、俺と同じ思考に辿り着いたのか、苦笑している。
「てめえら! 何がおかしいってんだ! マジでぶっ殺してやるからな! 特にお前の女どもは、お前の前で犯してやるから、覚悟しておけよ!」
更にボケをかますのか、俺は腹を抱えてしまった。
「お前、頭おかしいのか? 自分の女たちを犯されるって言っているのに、笑うとか……本当の変態か?」
「いやいや、おかしいのはお前の発言だよ。腐れオークって言ってるけど、お前らの行ってきた所業は、オーク以下の行いだぞ。オークは繁殖のため、他の種族のメスを使うが、お前らは自分の欲望のためだけに、女性を犯してるじゃん。
オークは生存本能として女性を犯すのに対して、お前らは欲望の捌け口で女性を犯す……オークはそう作られた魔物だから世界の摂理なんだよ。でもお前らは……自分の快楽のためだけじゃん。オークより下等な奴が、腐れオークって……オークに失礼なんだけど」
俺がそう言うと、理解していなかった妻たちもやっと理解したようで、みんなで笑っている。
「笑っていられるのも今の内だ。その男の側に付いたことを後悔しろ!」
「あ~最後に言っておくけど、お前の前に立っているそのオークな、オークの変異種のブラッドオークの更に変異種のホモークという、特殊な個体の1人だ。そしてその特殊な個体の中でも、更に特殊……オークで言えばキングと同格のエンペラーという存在だからな。気張って戦えよ。
そいつらを倒したとしても、100以上の魔物や人間がここに入ることを忘れるなよ」
俺がそう言うと、休憩なしで俺ら全員と1人で戦うことに考えが至ったのか、若干ひきつっている顔をしていた。だけどお前が気にするのは、俺らじゃなくて、目の前のホモークという存在だぞ。
頭のいい人間や戦闘勘のいい人間なら、Aランクでは済まない強さを持っていると理解できただろうが、勇者の称号に胡坐をかいていたこの男には、それは理解できないだろう。
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