表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンマス(異端者)  作者: AN@RCHY


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1788/2519

1788話 出勤前の一幕

アクセスありがとうございます。

 玄関で庁舎に向かう準備をしていると、何かが近付いてくる音が聞こえた。廊下から飛び出してきたのは、シンラだ。俺のことを見送りに来てくれたのか? そのまま俺の方へ突っ込んでくるので、受け止めようとする。


 だけど、シンラの表情が俺を見送るような感じではなく、何か真剣な表情で……俺の頭の中には、F1の有名な曲、


 タタラタタタタタタタタ タタラタタタタタタタタ ジャジャーン! ジャジャーン! ジャジャーン!


 とBGMが着きそうな感じで、鬼気迫る勢いで俺の元に来るのだ。どうしていいか分からないが、受け止めなかったらシンラに嫌われるんじゃないか? と思わせる迫力だったので、受け入れようとした。


 その後ろから、プラムとシオンがやってきた。俺はそれで察したが、こっちの2人は2人でシンラとは違う真剣さでこちらに迫ってくる。


 ここでシンラを匿うとプラムたちに、シンラを受け止めなければシンラに……板挟みの状態になってしまった。いつもなら微笑ましい追いかけっこも、今日は一味違ったのだ。


 迫られる究極の二択! シンラを取るのか、プラムとシオンを取るのか! 俺はどうしたらいいんだ!?


 そんなことを考えていると、今日のお供のシュリとアリスに軽く頭を叩かれ、どうでもいいことを考える前に、シンラを抱っこしてあげるの! と怒られてしまった。


 シンラは俺の腕に飛び込んできて、よくやった! と言わんばかりの顔をしている。どう考えても、見送りに来てくれた感じじゃないな。2人から逃げてきただけだったのか……


 プラムとシオンは、シュリとアリスに捕まり抱っこされている。遅れてやってきた、ピーチ・ライラ・マリーの3人は、俺を見て苦笑していた。なぜ?


 どうやら、先ほどまで考えていたことがまるわかりで、何バカなことを考えてるの? みたいな感じだった。バカなことっていうけど、子どもに好かれる嫌われるは、世の中のお父さんにとっては、かなり重要なことだと思うぞ!


 と反論しようとしたら、どこの話をしているのか? みたいなことを言われた。


 日本だよ日本! 特に、娘に嫌われる父親のワンシーンなんて見た日には、俺は泣き崩れてもおかしくないぞ! もしかしたら、倒れるかもしれん。


 そんなことはありえないから、考えるだけ無駄だとツッコまれる。前にも言われたけど、その根拠が分からんのだよ。思春期に入った娘は、父親にとってブラックボックスみたいな存在なんだぞ!


「じゃあさ、ウルたち上の子が、15歳とか超えても一緒に寝たいと言ってきたら、どう思う?」


「嬉しいことは嬉しいが……それはそれで、心配になるな……」


「子どもなんて、いずれ巣立っていくの。一緒にいられるときは、しっかりと愛情を注いであげればいいだけよ。子どもが好きか嫌いかなんて関係ない。近くにいなくなって、初めて分かることもあるしね」


 シュリは俺にそう言ってきた。


 大きくなっても、近くにいてくれるのは嬉しいけど、その年になってまで一緒に寝るのは、どうなんだろう? と思ってしまった。10歳くらいまでなら許容範囲か?


 プラムとシオンだけじゃなくて、上の子たちも何かあったら、お父さんが死ぬまで面倒を看てやるからな! あいたっ!


「何で頭を叩くんだ?」


「馬鹿なことを考えているからよ。確かに私たちなら、死ぬまで面倒を看てあげることは可能よ。でもね、それじゃ子どもたちが育たないわ。もっと厳しくしないと、大変な目に合うかもしれないのよ」


 最後に小さな声で、俺の子なんだからさ……と言ってきた。


 領主の子どもだから、とかではない。俺の子どもだから苦労すると、シュリは言ってきた。俺の価値は、どこの国でも恐ろしく高い。それは軍事力もさることながら、経済力も比類のないものだからだ。


 俺の子どもたちは、俺の代わりに狙われるかもしれないのだ。だからといって、箱入りにしてしまっては子どもたちのためにならない……


 俺が必ずしも正しいとは言えないが、お前たちには自分の身を守るための力を授けてやるからな! 力に溺れるような人間に、なるんじゃないぞ!


 だから、さっきから痛いってば!


「ピーチ、この子たちを引き取ってくれないかしら? このままじゃ、いつまで経っても仕事に行けないわ」


 ピーチはシュリの言葉に苦笑するのではなく、俺の顔をみて苦笑している。何故だ!


 シンラは、ライラに抱っこをされご満悦だ。俺に抱っこされているときより、いい笑顔なのはどうしてだ? 助けてやったのに……ってか、最初っからライラの元へ行っていれば、俺がこんなに考える必要なかったんじゃないか?


 シンラのふてぶてしい顔が急に憎らしくなってきた。だから、痛いってば! 何でさっきから叩くのさ。


「おかしなことを考えているからよ」


 俺の考えていることは、何故かみんなにばれるんだよな。そんなにわかりやすいか俺?


「分かりやすいわ」


 シュリの言葉に他の妻たちも頷いている。やっぱり考えていることがバレてる……もしかして、母親が話してくれた、昔ドラマにあった考えている事が周りに聞こえてしまう、特殊な人みたいなあれか!?


 そういえば、昔っから考えていることが分かりやすいって言われてたっけ?


 プラム・シンラ・シオンの3人は、母親に手を掴まれて強引に手を振らされている。プラムとシオンが若干ふくれっ面なのはまだわかるが、シンラよ……なぜおまえまでふくれっ面をしているんだ? また、お腹に顔面グリグリの刑に処すぞ?


 まぁ、お前らの父ちゃんは、今から仕事に行ってくるから、仲良くしてるんだぞ! よし、行くぞ。野郎ども!


「私たちに向かって、野郎は失礼じゃないかしら?」


 アリスからそんなツッコミが入る。ノリで言ってる言葉にツッコミはあかんて! 野郎って言ったのは、そこの獣たちに向かってだぞ!


 そんなことを思っていると、テトが背中に飛びついて爪を立ててぶら下がるため痛い。ライが抗議のためかお尻を噛み、ランが俺の手を甘噛みをしてザラザラの下で、俺の手をチロチロと舐めてくる……全員が全員、地味に痛いから止めてくれ。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ