1787話 意外な真実
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昨日は娘たちと寝たはずなのだが、今日は抱き枕にされてない……二日酔いはしていないが、気持ち重い頭を回転させて、昨日のことを思い出す。
あぁ……昨日は、娘たちに心配されて嬉しかったから、調子に乗ってお礼のチューを頬っぺたにしたんだった。普通なら受け入れてくれる娘たちも、お酒臭い! と言って、完全に拒否されたんだった。
飲兵衛の3人はそれを見て、ケラケラ笑っていたのを思い出した!
こういうのが嫌われる父親の典型なのだろうか? 下の子……プラムとシオンには嫌われ気味だけど(シュウの勘違い)、これで上の子たちにも嫌われたら、もう立ち直れないかも……
「シュウ君、朝からなんで百面相をしているの? もしかして、昨日の醜態を思い出したのかしら? あんなに酔ったのは初めてよね、可愛かったわよ。娘たちは、ちょっと迷惑していたみたいだけどね」
娘たちが迷惑……終わった。
「またどうでもいいこと心配してるのね。娘たちは、お酒の匂いをさせたまま抱き着いたりすると、嫌がるのよ。大体は私たちの所為なんだけどね」
てへぺろ! みたいなことしてるけど、ミリーたちが子どもたちに何かしたのか? いや、猫耳でその仕草は可愛いけど、今はごまかされないぞ! 上の子たちが、お酒の匂いが嫌いなのは、主にお前たちの所為なのか?
苦笑しながら答えてくれたが、ミリーもカエデもリンドも、お酒が入ると気持ちが高くなるタイプで、前に娘たちが近くにいるときに、抱き着いたりして嫌がられたらしい。
お酒が嫌いじゃなく、お酒を飲んでテンションの上がっている人間が嫌なのだ。それなら、もうお酒は飲まない! 娘たちに嫌われる要素は減らしたい。お酒に付き合ってくれないの? とか、スミレとブルムは、確実に飲兵衛になるのに一緒に飲まないでいいの? とか言われた。
子どもたちに誘われたときだけ飲む……カエデとリンドもやってきて、私たちとは飲めないのね、ヨヨヨヨ……と泣いたふりを2人でし始めた。ん~、飲むけど付き合い程度な。
そんなことを話していると、少し離れた場所で寝ていたウルたちが目を覚まして、近寄ってきた。
そんなに嗅がなくても、酒臭くないと思うけど……だめか? どうやら合格を貰えたようだ。でも最後に、お酒を飲んだら人にからんじゃダメなの! お母さんたちみたいに、駄目な人になっちゃうよ! って言われてしまった。
そのセリフを受けて、ミリーたち3人がショックを受けたようで、ベッドに倒れていた。お酒はほどほどにしような。
ミーシャが俺の膝の上に登って、俺の眉間を撫で始めた。
「今日はしわがよってないの! とーたん、元気になった?」
「みんなのおかげで元気になったよ! またみんなの料理を食べさせてほしいな」
「「「いいよ!」」」
「違う料理にもチャレンジしたいな。お父さんは、天ぷら以外に何が好きなの?」
「ん~基本的に好き嫌いは無いけど、何が好きかと聞かれれば……鶏料理かな? 焼き鳥に唐揚げ、照り焼きにカツもいいね。後はシンプルにサラダチキンをほぐして、野菜と和えてもいいし、バンバンジーも悪くないね。チキン南蛮や油淋鶏もいいね」
「とーたんは、いっぱい好きな物あるんだね!」
「鶏料理か……今度、スカーレットさんたちにお願いしてみるね! お母さんたちは、昨日の罰で試食に付き合ってもらいますからね!」
昨日の罰? 俺の後にお前たちもなんかしてたのか? 3人揃って、てへ! じゃないわ! たまに娘たちが俺の部屋に突入してくるのは、お前たちの所為だな。特に何もなかった日に、ベッドに潜り込んでくることがたまにあるんだけど、そういう理由だったのな。
3人の母親に注意をして、お酒飲むときは子どもから距離を取るように厳命。子どもたちには、母親がお酒を飲んだら、他の飲んでないお母さんの所へ逃げるように言い含めておく。
そんなことを話していると、視界の隅でなにやら動く物が……どうやらシンラがムクリと起き上がったようだ。周りを確認すると、人を発見したのでこちらへ近付いてくるが、眠っていたプラムとシオンが、シンラの服を離さないため、こちらに来ることができない。
俺にすがるような目を向けるが……すまぬ、俺には何もできないんだ! こういう時に助けを求めるのは、お姉ちゃんたちだぞ! わかったか? お姉ちゃんたちだ!
よし! よくやった。その視線をお姉ちゃん、特にウルあたりが効果的だ。そこで声をあげるんだ!
上出来だな!
シンラが俺の考えていることを読み取り、行動に移したことによって、プラムとシオンの服掴み攻撃から脱することができた。
俺に言われると猛抗議する癖に、姉たちに言われるとすんなりと受け入れるんだよな……理不尽だぜ!
シンラ、分かったな? プラムたちのことで助けを求めるなら、俺や母親よりお姉ちゃんたちの方が有効だからな! 特にウルは、お前のことを可愛がっているから、きっと助けてくれる。今なら抱っこをせがめば、大丈夫だと思うぞ!
何やら通じ合えた俺とシンラ。2人とも気分では、右手を突き出し親指を立てているだろう。
さて朝食を食べに行きますか。
姉たちに起こされたプラムとシオンは、近くにいたスミレとブルムに抱っこを求め、半分寝そうな状態でしがみついている。シンラは何故か元気に俺たちの前を歩いてるな。自分が誘導している、つもりなのだろうか? 時々振り返りこちらを確認している。
最近、お前のことが良く分からなくなってきたわ。前から不思議な行動をとる息子だと思っていたが、本当に謎が多いよな。
食堂へ入ると自分の席に向かうが……机が俺たちの高さに合わせているため、椅子が高いから座るためには協力が必要だ。そこでシンラは、今度こそわかってるな? みたいな顔をして、俺に椅子に座らせるように圧をかけてきた。
分かってる分かってる、俺とお前の仲だ。座らせてやるから、焦るでない。椅子に座らせてやると、少しお尻の位置を調整して、しっかりとフィットする場所を探して落ち着いた。
こら、漫画みたいにフォークとナイフを持って、食事が終わるまでここを動かん! みたいなポーズをとるな。むしろ、しっかり食べてからじゃないと、降ろしてやらんぞ。汚く食べるとシルキーたちに怒られるから、ゆっくり食べるんだぞ。
それでも落としてしまうのは仕方がないから、そのときはしっかり謝るのがいい。自分で処理しようとすると、大惨事になるから気を付けるんだぞ。
俺もシンラも、朝はしっかり食べる派なのでモリモリと朝食を食べ、終わると俺は庁舎へ、シンラは自分の部屋に戻って遊ぶか寝るかするのだろう。父ちゃんは、頑張ってくるぞ!
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