1769話 餌に釣られた
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午前中の仕事が終わり、家のブラウニーたちに作ってもらった昼食を食べる。俺たちは庁舎の食堂ではなく、俺の執務室で食事をとっている。理由は簡単で、俺が妻たちと一緒に食堂へ行くと、他の人たちが遠慮してしまうのでここで食べている。
俺が1人のときは、職員たちもたいして気にしていなかったが、妻たちは俺が一番だと考えているため、今までに過激な手段をとっているのを知っている。なので、少し怖がってしまうのだ。
見た目は可愛い妻たちだが、色々してきてるからな。特に庁舎は、他の街でしてきた情報まで入ってくるからね。本当は優しいことを知っていても、ビビってしまうのも仕方がないかな。
だってさ戦闘系の報告のなかに、戦闘の余波で建物が一軒崩壊したとかさ、地面にクレーターができたみたいな報告があるからさ……しょうがないと思うんだ。
その大半は強姦に関わる案件で、妻たちがキレてやり過ぎちゃったものなんだよね。犯罪者が相手で、俺の街では死罪が確定しているとは言え、あの状況の報告だけを見るとね……
まぁ、何処で食べてもブラウニーたちの食事は、美味いからいいんだけどな。美味いものに罪はない! って、俺は何を言ってるんだか。
「シュウさん、先ほど途中で手が止まっていたみたいですが、何かあったのですか?」
やっぱり気付かれていたみたいだ。キリエが心配して聞いてきた。
妻たちの呼び方が日々変わってきている。最近は、『様』ではなく『さん』が浸透しつつある。距離感が近くなっているようで嬉しい限りだ。
「いやね、急にチビ神から連絡が入ってね」
「また、何かをしてほしいとか言われたのですか?」
「暇だから何かしろっていっていたけど、ダンジョンバトルの新アイディアを考えてやったら、自分の地位向上のために何か行動しているみたいだぞ」
「新しいアイディアですか?」
これだけで分かるわけ無いよな、2日前に付き添っていたキリエとリリーに説明していく。
「なるほど、今までのシステムですと、稼ぎの悪いダンジョンマスターは参加しにくいですからね。システムが変わるなら、参加する人が増えるかもしれませんね」
「才能があっても、場所に恵まれないと稼げない人だっていますからね。そんな人たちのための救済措置って感じですね。でも、ゲームでも負ける可能性が高くなってもいいんですか?」
「勝ち負けにはこだわってないけど、負けたくなければ戦わなければいいだけだし、俺の陣営には2人もダンジョンマスターがいるから、身内で遊び感覚でダンジョンバトルが出来るようになるぞ。そこで鍛えればいいんじゃないか?
それにあの手のゲームは、強い人の戦略を見るのも楽しいもんだぞ。アーカイブがあるなら、なおさら楽しめるしな。負けにリスクがないなら、暇潰しにもなると思うぞ」
2人は少し考え、確かにとうなづいていた。
ターン制になると考える時間が増えるから、戦略を練りやすくなるが臨機応変の対応力は身に付かないだろう。そう考えると、リアルタイム制の方が瞬発力が鍛えられそうだな。
他にも回数を重ねていけば、自分なりの戦略を立てたり、攻略方や突破方が思い付くかもな。
正直、例えにあげた、エイ◯・オブ・エン◯イアの二作目のままだと、広いフィールドマップみたいなところで同時に始まって、壁や施設なんかを作らないといけないから、ダンジョンバトルとしては微妙ではあるんだよな。
だってさ、自分の作ったダンジョンを戦わせる。罠や敵の配置を調整して攻略しにくいダンジョンをつくったり、事前準備に時間をかけたりするのが、本来のダンジョンバトルの意義だと思ってるんだよな。
でも、今回提案したのは、対応力や瞬発力が中心となる、本来のダンジョンバトルとはかけ離れたシステムなんだよな。
おそらく神たちの中でも気付くのがいると思うけど、遊びと割りきれば見て面白いものにはなると思うんだよな。
そんな風に考えていたら、また2人に心配されてしまった。隠す必要もなかったので、全部説明していく。帰ったら、妻たちで情報共有するだろうし、正確な情報は必要だろう。
午後の仕事もスムーズにこなしていると、しばらく連絡が来ないと思っていたチビ神から、
『ちょっと! あんた、お願いあるんだけど、他の神に説明するために、あのゲームがインストールされたパソコンを用意してもらえないかしら?』
はぁ? 何でくだらない神たちのために、DPを使わなきゃならんのだ?
『あなたの稼ぎなら、10台くらいパソコンを用意しても、たいした出費じゃないでしょ?』
確かに大した出費じゃないけど、俺がお前らのために身を切らなきゃいけない理由はない!
『確かにそうだけど……少しくらい悩んでもよくない? さすがに、考える仕草もなく即答されると傷付くわ』
そんなこと、知らんがな! 俺じゃなくても、稼ぎのいいダンジョンマスターはいるだろ? そいつらの神に頼めよ。
『稼ぎのいいダンジョンマスターって、大体が現行のダンジョンバトルが強いでしょ。そうなると、負ける可能性が高くなる新しいアイディアを否定してくるのよ! 私側についているのって、稼ぎの悪いダンジョンマスターの神ばかりなのよ。
でも、私は広めたいのに上手く説明できないから、実際にやってもらいたいわけ。そうすれば、中立の神たちもこちらに付くと思うの! だからお願い』
それってさ、上位陣の神たちに恨まれる結果になるんじゃないのか? また、矛とか送られてきても困るんだが! そんなリスクを負うなら教えなければ良かったわ……
『もちろん、タダとは言わないわ!』
その報酬が、リスクと釣り合うものなのか?
『あなたにSランク魔物の、バステトの召喚権をもぎ取ったわ! あんたの好きな猫系の魔物よ。姿は自由自在! それに今なら、Aランク魔物のサンダーキャットと、Bランク魔物のストームキャットの召喚権もつけるわよ!』
それなら早く言ってくれればいいのに、何台パソコンを準備すればいいんだ?
『ドン引きだわ。ここまで見事な手のひら返しは初めてね……ある程度数があると嬉しいわ。報酬は先に付与しておくから、よろしくね』
たまなは良いことするじゃねえか!
キリエとリリーに説明して、パソコンを用意していく。とりあえず、100台ほど用意していく。自分でインストールするのは面倒なので、既にインストール済みの1台500DPするノートパソコンとマウスをセットで呼び出した。
おまけに、有名所のパソコンゲームもインストールしといてあげた。
『箱10個ね、助かるわぁぁぁあ? 1箱に10台!? ってことは、100台も!? 槍でもふるの?』
希望とあれば、槍を大量におくるけど?
『そ、そんなこと、しなくていいわ! でもこれで、みんなに説明できるわね! 感謝してるわよ』
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