1746話 疲れた
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グルエルは、倒れた次の日に動けるようになり、奥さんに連行されるように、マイワールドにあるキャンプエリアに作ったコテージへ連れていかれた。ゲートの前には人造ゴーレムを配置しているので、グリエルが強引に帰ってこようとした場合には、止めるように指示している。
こういうときには、眠らない疲れを知らない人造ゴーレムは非常に便利である。
グリエルの代わりに庁舎で仕事を始めて4日目……グリエルたちの仕事量って、本当にすごいのだと思った。俺が慣れていないせいもあるのだろうが、俺の処理能力では通常の勤務時間では間に合わない。これは困ったことになったな。
ガリアも一緒になって残業をしてくれてのだが、ガリアの場合は俺とは違い仕事が終わらない、という訳ではない。全部の仕事をきっちり終わらせたうえで、俺が残した仕事の手伝いや明日以降の準備などをしている。
ガリアには、俺はトップとしていてくれるだけでいいので、仕事は今までやっていた報告書の最終処理をしてくれればいいと言うが、自分からやると言った以上、途中で投げ出すことはできない。俺に付き合っていると、奥さんに愛想つかされるから先に帰っていいぞ。
なかなか帰らなかったが、後は1人で片付けられる量になったので、強引に命令して返した。
1人になって、言葉を交わす相手がいなくなったので、少しだけペースアップ。ガリアが手伝ってくれていたときに比べれば、圧倒的なペースダウンだけどな!
1時間ほどかけて、今日の分を処理し終えた。
本当は良くないのだが、庁舎から俺の家までの移動時間がもったいないので、ゲートを使って行き来している。
すでに夕食の時間は終わっている。20時過ぎか、ブラウニーたちに頼み、食事を準備してもらっている。
食堂にあるテレビをつけて、ランダムで日本の情報系番組以外を流しているチャンネルに合わせる。基本的には、お笑いだったり競い合うようなものだったり、歌番組などが多いチャンネルだ。
今の時間は、歌番組のようだ。名前だけ聞くと中高生の親が心配するようなユニット名なのだが、日本ではすごい人気があるみたいだな。うむ、この歌の声は病みつきになる。
俺って、歌手は関係なくて歌声によって好き嫌いが激しいんだよね。同じアーティストでも、聞ける曲と聞いていられない曲があったりするからね。このユニットは、当たりのような気がする!
夕食を食べながら歌番組を見ていると、数が多すぎて誰が誰だか分からないグループや、ダンスパフォーマンスのすごいグループも出て来た。
そこで思ったことがある。グループでダンスがメインのメンバーは、レコーディングのときって何をしているんだろうか? 歌わないけど、レコーディングスタジオにいたりするのだろうか? それとも邪魔だから、違う仕事をしているのだろうか?
ん~歌っている人がボイストレーニングをしたり、曲に合わせて歌いこんだりしているのは聞いたことがあるけど、ダンスパフォーマンスの人は、ずっとダンスの練習をしてるのかな? 教室の講師とかして、収入を得ているのだろうか?
俺には全く想像の付かない世界だな。
半分程食べ終わったころに、娘たちが食堂へ来た。ホカホカしているのが分かるので、お風呂に入っていたのだろう。
近寄ってきて「お帰り」と声をかけてくれたので、頭を撫でて「ただいま」と返した。
3人とも目を細めて気持ち良さそうな顔をしている。ネコか!
近くにいて羨ましそうな顔をしていたウルを近くに呼んで、ミーシャたちと同じように撫でる。恥ずかしがっているが、嫌がってはいないことが分かる。
まだ4日だが遅く帰ってくる俺に呆れて、子どもたちが離れていかないか心配である。
おや? 入口の方が騒がしいな。
扉が開かれると、ダダダダダッ! と聞こえてきそうな勢いでシンラがハイハイしてきた。立って歩くとハイハイよりまだ遅いので、早く移動したい場合はハイハイで来るんだよな。
抱き上げて膝の上に置くと満足したのか、スコ座りっぽい体勢になって一息ついている。
相変わらずお前さんはおっさんクサイな。妙に達観しているところなんか特にな。
お前は何で急いで俺のとこまで来たんだ? プラムたちに追われている、という訳ではなさそうだが、急ぐ理由でもあったのか?
聞いたところで答えねられないよな。
大人しくしているからまだいいけど、まだ食事を食べているから邪魔するなよ。
今日も飯が美味い! デザートのプリンを食べようとしたところで、先ほどまで大人しくしていたシンラがプリンを強請ってきた。
お前さんよ、しっかりと夕食食べたんだろ。お前が食べ過ぎるとシルキーたちに怒られるんだよ、俺がな!
ということで、シルキーさんシルキーさん、こやつに食べさせてもよろしいですかね?
しっかり動いているから少しなら問題ないってさ。今、お前の分を持って来てくれるから、少し待ってなさい。これは、俺のデザートなの!
ちゃっかり上の子たちも席について、プリンを待っていた。シンラとは違い、訓練などをしているから摂取カロリーが多少増えたところで、何の問題も無いのだろう。シルキーたちも許可しているから、俺が気にすることじゃないな。食べたら一緒に歯磨きに行くぞ。
たまごもミルクも高級というか、濃厚で美味しい物を使ってブラウニーたちの腕で調理されているから、極上と言っても過言ではない!
今度はシュークリームが食べたいな。できれば、ホイップクリームとカスタードクリームの2層仕立てでよろしくお願いしたい。
プリンを食べ終わったシンラが逃げようと暴れだしたので、小脇に抱えて洗面所へ向かう。
ほらほら、暴れないの。大人しくしないと時間がかかるんだからさ、少しは手加減してくれ。
逃げるなよ、今日は一緒に寝てやるから遠慮するな。
プラムたちの所に戻るくらいなら、俺の近くでいいと判断したのか大人しくなる。だけどな、甘いぞ。プラムたちはな、既に俺の部屋で待ってるからな。
部屋に入って2人の姿を確認した瞬間にシンラが、驚くほど素早い動きで俺の顔を見た。ハメたな! みたいな顔をしているが、俺は何もしてないぞ。知ってたけどな。それに俺の部屋でシンラが寝なければ、プラムたちも寝ないから結局一緒に寝ることになるぞ。
目が覚めると、シンラが俺の服を掴みくたばっていた。プラムたちに抱き枕にされているところから逃げようとして、失敗したようだな。途中で力尽きたみたいだ。シンラよ、哀れなり。
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