1734話 仕事してるって感じがする
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残った妻たちの様子を確認するために、ドッペルに憑依する。
意識が乗り移ると違和感がある。横になっているまではいいのだが、体のそこらじゅうが重い。魔物なのに風邪とかひいたのだろうか?
意識を覚醒させて動こうとすると、何やら小さな悲鳴が聞こえた。
よくよく見ると、シェリルやイリア、ネルがドッペルに抱き着いて寝ていたようで、起きた反動で起こしてしまったようだ。近くには年少組の妻たちも寝ている。もう年少組って呼べない年頃になってるけど、別けて呼んでいた名残だからいいよな?
でさ、なんでこんなことになっているんだ?
「お姉ちゃんたちから「知り合いの冒険者たちとお風呂に入らせて」ってお願いされたから、のんびりしていようって話になったんだけど、私たちも疲れてたから一緒に寝てたの。お風呂から上がったら呼びに来てくれるって言ってたし、みんな一緒だからいいかなって」
笑顔で答えてくれたのはシェリルだった。
俺とシンラは、結構移動してたからこの時間だけど、妻たちはちょっと長くないか?
女性のお風呂とはそういうものだよ。特に冒険者たちはしばらくお風呂に入れず、水浴びくらいしかできてなかったから、長いのもしょうがないよ! だってさ。
ディストピアやゴーストタウンから来た冒険者なら、お風呂は当たり前になりつつあるから、入れない期間が長いと反動で長く入ってしまうらしい。それでいいのか冒険者たちよ。
特に問題もなさそうなので、俺はみんなに任せて意識を戻した。
そういえば最近、1人で寝る事ってあまりなかったな。病気してるときくらいか? 近くに誰かしらいるのが普通だったから、若干落ち着かない気がするのは俺だけかね?
まぁいいや、さっさと寝てしまおう。
次の日起こしに来たのは、シンラだった。まぁ、スライムたちに連れて来てもらったみたいで、手伝ってもらい俺にヒップアタックをかましてきたのだ。それで目が覚めたのだ。
こいつは、俺に何か恨みでもあんのか? って思ったが、プラムたちのことを考えると、助けなかった俺のことを恨んでいてもおかしくないか?
シンラのことを抱いて食堂へ向かう。
子どもたちはすでに食事を始めており、俺が一番最後だった。シンラを座らせて、俺も食事を食べるかな。
一息ついた所で、今日の作業へ向かうか。
昨日と若干景色が変わっていた。この近くに火山があるからか、温泉施設が増えていた。昨日はなかったよな?なかったって言ってくれよ!
話を聞くと、こういう野営をするタイプの依頼はとにかく娯楽が少ない。ただ、俺たちからの依頼ということもあり、食事については不満はないのだとか。だけど、娯楽がないのには変わりがない。お酒もあるが深酒などこんな場所では出来ない。
そうなれば、食事以外の娯楽が無くずっと拘束されたままである。それが仕事だからと言われればしょうがないのだが、それでも可能なら生活を充実させたい!のだそうだ。
妻たちもその事が分かっているので、どうにか協力してあげたいと思ったんだってさ。
温泉に関しては、かなり運の要素も含まれてくるので期待しないでほしいといって、今朝みんなで近くを探してみたら、森を切り裂いたところに源泉があったらしい。土魔法を使いそこから温泉をひいてみた所、それなりの湯量を確保できたんだってさ。
火山が近いから火山ガスとかが、少し溶け込んだりしているのかな? とか思って調べたが、体に害があるものはほとんど発見できなかったんだとさ。
それなら、温泉施設を作るのは当たり前だよね? みたいな感覚で、妻たちが協力して建てちゃったんだってさ。妻たちのドッペルは、妻たちの持っているスキル以外にも暇な時間を使って、生産系のスキルを育てていたらしい。
そのスキルを駆使して、サクッと作ってしまったらしい。力も道具もあるからな。特に、丸鋸やチェンソーも裸足で逃げ出す武器があるし、加工に使える武器も色々ある。何より表面をきれいにするのは、魔法でどうにでもなってしまうのだ。
防腐剤やコーティング等は、なぜか大量に持っていた妻がおり、それらを魔法で仕上げたのだとか。もうね、でたらめ。
その結果完成したのが、この温泉施設である。脱衣所と体を洗う場所、浴槽があるだけなのだが、一度に50人は余裕で入れる湯船があったのだ。
浴槽を男女に分けて作るつもりだったが、入浴時間が一緒だと面倒な事になりそうだということで、時間を分けて使うことにしたんだとさ。そっちの方が見張りが楽だから、という理由らしい。
分かった。特に文句はないよ。君たちが作ったんだから、ルールは自由に決めてくれ。
こんなことで時間を使っていたら、今日中にこの場所の木を切り倒せないので、さっさと仕事に移るぞ!
冒険者たちに木の伐採を頼むと時間がかかるので、冒険者たちには俺たちが切り倒した後の木を枝打ちしてもらおう。役割分担をすれば早く終わるだろう。
あっと、シェリルよ。今日は殴り倒すそれは無しだ。そんなに殴りたいなら、切り株の処理の方を頼む。引っこ抜くだけで殴れない? そんな事ないぞ、地面を殴って柔らかくしてから引っこ抜けばいいだろ? それに、切り株を殴って粉砕してもいいぞ!
そんな風に説得してみたら、思いのほかやる気になって鼻息を荒くしている。ネルとイリアも協力して切り株の処理にまわるようだ。切り株の処理の方が時間がかかるので、1:4位の割合で切り株組を多くした。
俺は1人で切り株の処理係だ。力で引き抜くのは骨が折れるので、土魔法で周囲を掘り返して簡単に抜けるように、頑張って魔法を使い続けた。
その甲斐もあって、夕食前には切り株を含めた処理が終わった。
まだ時間があるので、魔法を使って木が生えてこないように地面を圧縮する。これをする事によって、この処置を施している場所に木が生えにくくなるのだ。畑では、かなり注意する必要があるが、早い段階で引き抜けば問題はないので大丈夫だろう。
一気に育つだろうけど、それでもここなら木になるに半年はかかるので、問題なく対処できるはずだ。竹の中には1日で驚くほど伸びる奴もいるが、繋がっていない分、処理は簡単だろう。1日で伸びても10センチメートルが限界だろうしな。
それでも脅威的な速度なんだけどね。
さて、今日の仕事も終わったな。
おつかれっしたー!
明日からは、違う村の木を伐りに行きますかね。
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