1726話 みんなの力を借りて
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暫く攻略方法を考えてみたが、いい案が思いつかず沈黙が痛い。
「まず、どの位の速度で治るか確認しましょう。念のため、3ヵ所ほどで実験しましょうか」
3チームに分かれて行動を開始する。指定された破壊のサイズは大体直径2メートル程を目標に、床に当たる部分を壊すことになった。
ダンジョンの壁や床もそうなのだが、深く穴をあけるのがかなり大変なのである。表面だけを壊すのであれば、2~3ミリメートルであれば大した苦労はないのだが。
発掘の方が簡単かもしれないということで、つるはしを使って掘り返す方法をとる。
代わる代わるつるはしを振るって穴をあけていくが、なかなか穴は大きくならない。鉱石がとれる場所はそこそこ簡単に掘れるのだが、鉱石のとれない場所はここと同じように硬いんだよね。もしこれが魔物の体の中だとしたら、かなり頑丈だよな。
リバイアサンでもここまで頑丈では無いと思う。
ここを体内と呼んでいるのは、部屋が魔物だとするとここが体内だろうという勝手な判断であるが、物理的に考えてここが体内では無いとしたら、どんな生物になるのだろうか? 意味が分からなかったので、体内ということになったのだ。
まぁ、魔物は常識が通用しないので、暫定的に呼んでいるだけなのだ。
そんな事を考えながら、えっさほいさと地面を掘り返す。体の欠片なのか地面の破片なのか分からないが、結構な量が穴の横に積まれている。これって、どうなるんだ?
ダンジョンだとしたら勝手に吸収されるのだろうが、体内だとしたらどうなるんだ? 自分の体を吸収して治すのかね?
2メートル程の直系で深さも2メートル程、これが治るまで待機だな。念のためカメラで治る様子を撮影。他の場所に言っている妻たちから連絡が入り、穴を掘り終わり撮影に入っているとの事だ。
寒いけど、結界で何とか温度を保っているが、何故か結界内の温度が下がるんだよな。この吹雪は俺たちでいう唾液や胃酸みたいに、当たり前に生成されるものかもしれないな。
魔物とはいえ生物なのに、冷気を生み出すってすげえな。いや、アイスゴーレムもいるし魔物を常識で見てはいけないよな。それを考えれば、マグマゴーレムだってどうやってあの熱を保っているのか不思議だな。
魔法的何かで温度を上げたり下げたりしているのかな? それなら、現状もおかしな話ではないか?
それにしても、恐ろしい勢いで治っているな。なんだろな? 何か見た事があるような光景だけど、思い出せない。ただ、少し気分がよくないので思い出したくないとか、グロ系の記憶に結び付いている気がする。
2メートルの穴は、およそ6時間程で治った。
比べるために、家に残っている組に近いダンジョンで、同じような穴をあけてもらっている。あちらは、見守る必要もないのでカメラで撮って、リアルタイムで見れるようにしている。
俺のダンジョンの方は、6時間で1割も治っていないだろう。DPで治すなら即治せるのだが、この部屋はすごい勢いで治っているのだ。ダンジョンではありえない……と思う。もしかしたら、ダンジョンマスターの特殊能力という可能性もあるが、俺は知らないので除外している。
おやつの時間から掘って治るのを見守っていたので、今の時間は22時を過ぎて、ドッペルはコンテナで休んでいる。途中でローテーションを組んで食事を食べに行ったりしている。
「治るのが早すぎるな。その上、かなり頑丈だよな。どうしようか」
食堂でのんびりしながら話し合っているのだが、今回の敵は良く分かっていない事が多いのだ。そもそも、部屋が敵だというのも決定していない。分からないことだらけなんだよな。
敵と仮定して床を壊したりする予定なのだが、どうやって壊すかが問題となっている。
子どもたちは、俺たちが集まるからといって眠い目をこすって、一緒に食堂にいたのだが……すでに眠っている。膝の上で抱き着くような形で、母親の胸に顔をうずめている。うつ伏せに寝ている感じなんだけど、苦しくないのだろうか?
あまりにもどん詰まりにはまっているせいで、そんな事を考え始めている。
「あの! 私たちでは考えが固まってしまっているかもしれないので、誰かに聞いてみたらどうでしょうか? 掘るのが得意なドワーフさんや、バザールさんや綾乃さんなんかに聞いてみたりしてはどうですか?」
なるほど、自分たちだけで考えないといけない、なんて事はない。聞ける人間がいるのだから聞けばいいじゃないか!
ということで、どうせ酒を飲んでいるであろう老ドワーフたちを酒とつまみを餌に呼び寄せ、綾乃も新作のゲームと小説を餌にして、バザールは命令して強制的に呼び出した。
集まる間に、子どもたちは部屋へ連れて行きベッドに寝かせている。
一番早く食堂に来たのは、老ドワーフたちだった。綾乃が一番近くに住んでいるのに、それより早く来るってどういうこと……と思ったが、ブラウニーたちの作る酒とつまみを食べれると知ったこいつらは、普段見せないような速さで走ってここまで来たそうだ。
酒に命を懸けているドワーフらしいな。
いつも思うけど、お前さんたちって飲んだ酒、アルコールは何処に行っているんだ? 1時間で1人一升瓶を1本かるく空けるんだよな。アルコール分解機能が高いのかね? それとも、アルコールを処理する俺たちの知らない臓器があったり、直接エネルギーみたいに使ったりしているのかな?
ドワーフの体の神秘を感じるな。
全員が集まって、今直面している問題を伝え、良さそうな方法がないか聞いてみた。
ドワーフから上がったのは、爆弾でも使って発掘してみたはどうか、というものだった。爆弾があるのかと首をひねったが、そこはこの世界ならではの物だった。魔石を爆弾にして、地球の発破のような使い方をするらしい。
ランクが高い物を使えば、含まれている魔力の量が多いので強い爆発をするのだとか。
次に綾乃の意見だが、こいつは分かりやすかった。常に回復し続けるなら、それ以上のダメージを与え続ければいいじゃん! 人間に出来なくても、私の作った人造ゴーレムなら問題ない!
いわゆる持久戦で、人造ゴーレムたちに頑張ってもらえばいいじゃん! という感じだ。
最後のバザールの意見は、部屋が体内だと仮定した意見だ。体内が寒いのなら、熱に弱いのではないか?なら、34階でやった逆をすればダメージを与えられるかもしれない、との事だ。
それも考えたけど、スチームサウナのようになるのでは? と考えてやっていないな。
でもさ、よく考えたら範囲を決めて温度を高めるようにすれば、そんな大参事は起こらないよな。ダメージを与えるだけなら、部屋全体を熱くする必要はないし、適当に魔核を作ってばらまいておくだけでいいのだから、やってみる価値はあるよな。
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