1711話 ダンジョン突入
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「予定通り、俺たちはダンジョンの攻略に入る。こっち側の指揮は、ミリーたちに任せるから冒険者の皆さんは、緊急時などは指示に従ってください。一番西の野営地担当の冒険者たちは、保護を求められたら可能な限り全員保護をお願いします。攻撃を受けた際には、実力をもって排除してください」
ミリーたち姉御組は、子どもたちの世話があるので交代で、野営地を見てもらうことになっている。元々子どもたちの世話で残っているピーチたちもいるのだが、下の子たちから母親を引き離すものね。ということで俺たちが憑依している間、交代で子どもたちの面倒を看る事になったのだ。
娘たちが常に連絡がとれるようにしてほしいと騒いだので、今回は魔導無線を持たせたスライムと、ライブカメラを持たせたスライムを用意した。
娘たち的には、ダンジョンにも潜りたかったけど入らない事が条件だったので、どうしてもダンジョンの中を探検したいと思っている、ミーシャたちを説得させるのにここまで譲歩して納得してもらったのだ。
だけど、グロテスクな物や教育上良くなさそうなものがあった場合は、映像の電源をオフにする事が条件だ。
体は家にあるから、呼ばれたら戻るだけでいいのだが、どうも無線でやり取りしている! という実感みたいなのがほしいらしい。子どもが考えることは良く分からんな。大人の方がもっとわからん事色々考えるか?
先行してウィスプたちを1000体ほどダンジョンに解き放ち、構造を丸裸にしているのだが、その最中にちょっとした異変があった30階が気になる。
全部で50階のダンジョン。ダンジョンの所々に、ウィスプを倒せるだけの地形ダメージを与える場所があり、注意が必要なのだ。その中でも30階はそこまでたどり着いたウィスプの半数が、何かしらの理由で倒されてしまったのだ。
耐久力で言えば、俺たちの使っているドッペルとウィスプたちでは、天と地ほどの差があるのだが、だからと言って安心していいものではない。
各エリアの特徴をしっかりと把握しながら進む必要があるということだ。
戦闘指揮はキリエが担当。うちの場合は、ヒーラーの仕事が一番少ないので、指揮官としての立ち位置を覚えてもらっている。ピーチがいればピーチなのだが、プラムと一緒に家にいるので、次点のキリエである。
ピーチもキリエもいなかった場合は、年少組のヒーラーのネル……ということではない。ネルはヒーラーでありながら、シェリルと同等に前線で殴る蹴るなどをする武闘派なので、2人がいなかった場合は遠距離攻撃組から指名される。
俺が指揮を取る時は、俺の気が向いた時と意思を統一するのに必要な場合は、強制的に俺が指揮権を奪って対応する事になる。出来る事なら最前線で妻たちを守りたいのだが、それをすると妻たちからフルボッコにされるので、指揮を取る方で我慢しろとのことだ。
「1階は、特に変哲の無い洞窟タイプのダンジョンですね。出てくる魔物は、ゴブリンやコボルト等の初歩的なものばかり。この階ではウィスプが死んだ報告はないので、罠に注意して一気に進みましょう」
2階への階段まで半分をきった辺りで、キリエが現在の状況をまとめて一気に進む判断を下した。
いくら早く移動していたとしても、上層階と呼ばれる場所にある罠は大したものは無いと考えている。ダンジョンとしては、長く人間に滞在してほしいので悪質な罠は、基本的に後半に多くなってくるのだ。
長く滞在してほしいけど、攻略されたくない! というのが前提なので、DPに余裕があるダンジョンは、後半にヤバい罠が多く存在するのだ。
2~4階も大した変化はなく、一気に駆け抜けた。およそ2時間で5階へ到着する。
「一気に雰囲気が変わりましたね」
キリエの呟きだ。他の妻たちも、驚きの表情をしている。
俺も驚いたのだが、今まで潜ってきたダンジョンで初めての光景だったのだ。大雑把なつくりは上の階と変わらない洞窟型のダンジョンだったのだが、そこにオブジェクトが設置されておりそのおかげで全く雰囲気が違うのだ。
ガキーンッ!
キリエに指示を出されたリリーが、近くにあったオブジェクト、一点を始点にして外に向かって生えている水晶のような物を叩いた。
「水晶が出すような音じゃないな。クリアメタルってわけでもなさそうだし、なんだこれ?」
「今の攻撃で壊れないとなると、鉱石がとれるタイプではないですね。光を放っているので、単純に光源かもしれませんね」
確かにあり得る話だ。薄暗いダンジョンもあれば明るいダンジョンもあるし、昼も夜もある。空だってあるのだ。その中の1つだろうと暫定的に決めたのだ。
進んでいくと、強化種や上位種があらわれた。
となると、F~Eランク相当の魔物か。1~4階がG~Fだったな。5階毎だとしたら6階で変わるのが普通なんだが、5階で変わったのには何か意味があるのだろうか?
俺は進みながら、どうでもいいことを考えていた。
しばらく進むと、魔導無線に繋がっているインカムから、娘たちの声が聞こえてきた。午前中の勉強や運動が終わって食事前まで、俺たちの様子を見に来たようだ。
水晶のようなオブジェクトがスミレとブルムにはツボだったみたいで、あれがほしいと向こう側で騒いでいる。大きいのはあげられないが、手に乗るくらいのサイズで危なくないように加工した物であれば問題ないと言うと、大はしゃぎだったな。
娘たちに甘い! と後で怒られてしまったけどね。娘たちに少し焼きもちを焼いている妻たちにも、今度何かをプレゼントしよう。最近は、子どもたちのことばかりだったからな。妻たちにも何かしてあげないといけないような気がした。
娘たちと会話をしたり、食事を摂ったりしながら進んでいくが、雰囲気が変わっただけで、それ以外に大きな変化が無かったのが残念だ。
10階にはいると、また雰囲気が変わった。
9階までは青白く光っていた水晶っぽいオブジェクトが、今度は薄い赤というかピンクのような色に光っている。色が違うだけで、ここまで雰囲気が変わるんだな。同じ洞窟タイプでも、ここまで雰囲気が変わるとは思わなかった。
でも何で5階で変化したのに、次は9階ではなく10階で変わったんだろうな。
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