1700話 久々の
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あの日から、俺とシンラは何かと陰謀を張り巡らせて、お互いを攻撃しあっている。
攻撃と言っても可愛らしい攻撃なので、親子の触れ合いみたいなもんだな。
シンラのお願いでニコにすね毛を抜かれた報復として、次の日に執務室でうとうとしているシンラを、遅れて遊びに来たプラムとシオンの間にそっと置いた。
体勢が変わって両側から抱き着かれたせいで目が覚めたようだ。満足そうな2人を見て目を見開き、俺の方をグリンと音がしそうな勢いで振り向いた。その目は、裏切ったな!? と言わんばかりだ。
お前も大変かもしれないけど、姉妹なんだから仲良くしておけ。
次の日は執務室でシンラの反撃を受けた。
大人しくしているなと思ったら、隙をついて俺の死角に入り込み、何処に隠し持っていたのか羽を取り出して俺の足をくすぐってきたのだ。初めはもぞもぞするなって思って、報告書に目を通しながら足をポリポリとしている所に追撃で足の裏をくすぐられ、先日の食堂と同じように膝を一気に上げてしまったのだ。
そして、この部屋は機械が置いてあるので、簡単に壊れないように俺がクリエイトゴーレムで加工しているのだ。膝をぶつけて微妙に痛むがシンラがいる事に気付いて、慌ててシンラが怪我をしないように机を押さえたところ、何処をどう動かしたのか肘の内側を通っている、尺骨神経をぶつけてしまったのだ。
尺骨神経って何? って思うだろうけど、小学生の時とかに肘をたててデコピンで、肘の内側を叩いた覚えはないか? あの時にビリビリと腕が痺れる現象を起こす神経だ。
そこを強打したようで指の先までビリビリと痺れたのだ。
体が頑丈でもこういう所は、全く強化されないんだよな。
痺れた腕を「うぅぅ……」と唸っていると、足元でケラケラと笑うシンラが、一緒に来ていたライラの元へ走って行った。腕を打ったのは俺のミスだけど、そのミスの原因はお前だぞ、コンチキショー。
その日の夜に飽きもせずにプラムとシオンに追いかけられていたシンラを救出する。両脇に手を入れて持ち上げてプラムたちから救った形だ。いつものように俺の足に攻撃を仕掛けてきているが、無視してシンラの方を見る。
めっちゃ笑顔で喜んでいるが、俺は昼間のことを忘れてないぞ! 両脇に入れた手をワサワサと動かすと、シンラの表情が一転する。
くすぐったいようで、大きな声を上げて笑い始めたのだ。
やり過ぎると虐待になってしまうので、適度な所で止めるがシンラに猛抗議を受けた。なので、足元にいるプラムたちの所に降ろそうとすると、ダメダメと首を横に振って抗議してきたのだ。
くすぐったいより、プラムたちの所に行くのは嫌なのな。しょうがないので、抱きかかえたまま子ども部屋に連れていく。プラムは右足、シオンは左足に抱き着き噛みつこうとしているが、お前たちの口じゃ小さくて噛めないだろう。
2人が落ちないようにゆっくりとした速度と歩幅で歩く。そうすると、その様子が面白かったのか2人がキャッキャと笑い出した。
それに気付いたシンラは、何やら羨ましそうな表情をしているように見えるな。
これが何かの遊びだと思って、後に俺の足にしがみつく子どもたちの様子が、家の中で見られるようになった。子どもたち……これを見たミーシャたちも、同じことをするようになった。父ちゃんとしては、子どもたちと遊べて嬉しいが、結構気を使う必要があるから大変なんだよね。
そんなこんなで、俺とシンラはくだらない報復合戦をして遊んでいる感じだな。
今日は休みなので子どもたちと遊ぶと決めて、昨日の夜から準備をしていた。明日から3日間、久しぶりのキャンプに行く事にしたのだ。
俺が戦争にかかりきりの時にも行っていたようだが、やはり俺がいなかったのが寂しかったらしく、次行く時は俺と一緒! とミーシャたちが言っていたそうだ。それを聞いてニマニマしていたら、キモイわよって綾乃に言われちまったよ。
特に何をするわけでもないのだが、みんな一緒の方がいいみたいなんだよね。下の子たちも活発に動くようになったから、この子たちのために遊ぶエリアを作るのが大変だった見たいなことを言っていたな。
キャンプエリアに到着して、苦笑した。
遊ぶエリアってこういうことか! ってね。こりゃ大変だっただろうな。ドッグランのように全体を囲ってあり、地面を全面芝にしたので大変だったのだろう。もともと、砂利は無かったが土しかなかったエリアを、芝に張り替えたんだもんな。
あれ? でもDPで張り替えたなら、そこまで大変でもなかったんじゃないか?
そんな事を考えていたら、芝はDPで召喚してもらったが、張るのは娘たちと一緒にやったらしい。ぱっと見て陸上競技のトラック位の広さはありそうだな。これを自力で張ったとなるとそりゃ大変だったな。
到着するなり娘たちは、何やら書かれた紙を取り出した。
絵は拙いが、何やらコースのようなものが書かれているのは分かる。ん? もしかして、家の屋上にあるようなコースをここに作るってことか? そう聞いてみると、満面の笑みを浮かべてそうだと答えた。
妻たちはそれを知っていたようで、材料も一緒に準備したようだ。
プラムたちも姉たちを期待した目で見ている。どうやら、約束をしているようにも見えるな。それなら俺も手伝ってやらねばならんな! 俺が完璧に仕上げてやろう!
「あ、シュウ君は張り切り過ぎないでね」
頑張る前にミリーに釘を打たれた。妻たちはみんな笑っている。
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