1693話 違和感
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今日はいつものように、平和な時間が過ぎていくはずだった。
朝起きて、のんびりと眠い頭を起こしていき食堂へ向かった。
廊下を歩いて食堂へ向かっていると、何か違和感があるが分からなかった。そして、食堂に入ってその違和感に気付いた。
子どもたちがいない……下の子たちは、いたりいなかったりするからどうでもいいのだが……いや、どうでもよくないが、それ自体は普通にある事なので置いておこう。上の子たちがいない事はあまりなかったので、ミーシャたちの声が聞こえない事が違和感だったのだ。
いつも賑やかな上の子たちがいないと、思ったより静かに感じるんだな。あの子たちがうるさいわけじゃないんだけど、やっぱり声が聞こえてこないと違和感だったんだな。
さて、なんでいないのだろうか? 昨日みんなで夜更かしでもしたのかな。そういえば、妻たちの数も少ないな。一緒に何かしてたのだろう。
俺はとるに足らない事だと考えて、食事が終わったらいつものように庁舎へ向かった。珍しく、妻の見送りがあった。シェリル・イリア・ネルの3人の見送りだ。
「「「いってらっしゃい! 今日は、帰る前に連絡してねお兄ちゃん!」」」
うむ、久々にお兄ちゃんって言われたな。お供はいつもの3匹じゃなくて、ダマとグレンの2匹だった。珍しくシエルがいないな。それでも問題ないみたいなので1人と2匹で庁舎へ。
長い階段を登り、自分の執務室へ入った。
今日はいつもより、多いな。100程報告書があったのだ。これは夕方までかかるコースだな。この時点で、いつもより遅くなることは分かったので、家に連絡を入れておいた。
ふんふん……ディストピアはいいが、この街以外の犯罪率はやっぱり高いな。必要悪みたいな感じで、各街のスラムとか治安が悪い場所に、一部のヤクザみたいに犯罪活動で金を稼いでいる組織があるのだ。そういう奴らの下っ端が、トラブルを起こして度々しょっ引かれている。
他の街では基本的に、その組織から街で活動するにあたって、賄賂が渡されている。度が過ぎなければ、取り締まりの対象にならないというものだ。
これじゃあ、どっちがヤクザか分からんな。街で活動したいなら金払いな、というやつだ。
貴族たちに聞けば、持ちつ持たれつみたいなことを言うが……こいつらは基本的に、住民は放っておいても勝手に増えるから、金を払ってくれるならヤクザの様な奴らを優遇する、と答える奴が多いのだ。
これを聞いた時、あほか! って思ったけど、真面目な顔していうんだから呆れるしかなかったわ。
そんなヤクザが俺の街に来て、取り仕切っている奴がいないとわかると、ある程度まとまった数を連れて戻ってくるんだよな。それが活動しだすと犯罪の数が、ググっと上がるので摘発する形だ。
たまに2つの組織がかち合って、住人を巻き込んでトラブルを起こすもんだから、面倒だと現場からの声もある。素直にお金を受け取って、多少の犯罪は見逃そうと言う兵士もいるくらいだ。
そんな奴は、俺の街の警備をやらせておけないので、速攻で首にしたけどな。俺の街になって兵士たちには、お金をもらって多少の犯罪を見逃すことは禁止だと教えたのに、守っていないから仕方が無いよな。
次はっと、やっぱり衛生環境が良くなるだけじゃなくて、住人にも衛生の大切さを教えると劇的に死亡者が減るんだな。もともと死亡率が低かった街もある。衛生の大切さを知っていたわけでは無く、綺麗を心がけるのが習慣となっていた街の死亡率は低かったな。
この世界の出生率って結構高いんだよね。他の街では死亡する数も多いから、結局のところ微増にとどまってたりするのだ。
その点俺の街は、普通に住人が増えているので街を大きくしたり、衛星都市を作る必要があるのだ。
……ん? 各街の中間報告? 基本は年に2回の半年毎に読んでいる報告書なのだが、今日はそれがある……全部の街分あるな。この前のは確か、2ヶ月前に読んだはずだしなんでだろ?
他にも、普段なら見ないような報告書がちらほらある。気になったのでグリエルを呼んで聞いてみた。
特に何もないですが、ちょっと気になった事があったので、しっかりと読んでいるかの判定のために、書類を多くしています。だってさ。
目の前で堂々と俺の事をディスるのは、グリエルとガリアと妻たち位だぞ……って、思ったよりいっぱいいるな。
反論しようにも、何度か読んでいないのがバレた経験があるので、何も言えなかった。
全部しっかりと読む必要があるな。
集中して読んでいると、ダマが膝の上に……そうか、飯の時間だな。庁舎の食堂へ向かい、腹いっぱい食って午後もしっかりと仕事をこなす。
細かく読んでみたが報告書の数が多いだけで、いつものようなひっかけ書類はないみたいだな。マジで何だったのだろうか? 庁舎で働いている職員や、学校の先生たちと帰る時間がかぶったな。
よし、ここは俺のおごりで飲みに行こう! グリエルとガリアは残って仕事をしたそうにしていたが、職権を乱用して強制的に参加させた。これもパワハラなのだろうが、気にしない!
行く前に連絡しておかないとな! 問題なさそうなので、お金だけ払って帰るなんて言うことはせず、みんなで楽しく飲みにケーションだ!
3時間程飲んでから帰路につく。
時間としては20時だ。下の子たちは多分寝てるだろうが、上の子たちは元気に何かしてるのだろうな。と、ほろ酔い気分になりながら考えていた。
ん~帰ってきたのに、子どもたちの声が聞こえない……どうしたのか聞いてみると、もう寝ているんだってさ。顔だけでも見たいので、子ども部屋に行こうとしたら全力で止められた。酒臭いってさ。
風呂に入って魔法薬で酒を抜いて、子ども部屋へ向かう。道中でシュリが声をかけてきたので、向かうことを伝えると羽交い絞めにされた。しばらくすると、他の妻たちも集まってきて俺は取り押さえられた。
娘たちの顔が見たいだけだと言っているのに、頑なに合わせようとしないので流石に俺もキレて、全力で抜け出して娘たちの部屋に向かった。途中で取り押さえようとするスライムたちも撥ね退けて。
娘たちは寝ているのではなく、寝込んでいたのだ!
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