1689話 俺には分からんことが多い
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長かった3ヶ月を思い返す。14ヶ国も回って3ヶ月で済んだのは、早かった方ではないだろうか? だけど、1つの戦争で14ヶ国もの多くの国を相手にした後始末は、数が多いと思うんだよな。多くても3~4ヶ国くらいにしてほしいもんだな。
そこまでして魔の森の権利がほしかったのだろうか? どうにかして払わせる手段でもあったのだろうか? いくら同盟だか連合だか分からないが決まりごとがあったとはいえ、俺たちはそれには参加していないので払う必要すらないはずなのだが、どういうつもりだったのだろうか?
帝国も実効支配できないのだから、金を払う必要すら感じないため戦争に参加するつもりはなかったもんな。俺たちが参戦すると決めたから、うちと同盟を組んで戦争に参戦しようという話になったはずだ。
結局、どうやって払わせるつもりだったのか分からないが、今回のことを企んだ奴らは8割以上は確保できただろうし、一番面倒であろう国王は全員奴隷に落とされ、代替わりをしている。
あっ、でも3ヶ国は直系の子どもがいなかったため、兄弟の子どもが継いだのが2ヶ国、等身が一番近い人間が継いだのが1ヶ国あったな。小さい国でも、公爵っているんだな。無駄に貴族が多ければ、下が苦労するだろうに。
そういえば、14ヶ国の内5ヶ国が国王を売ったのにはびっくりしたな。まぁ、国がもともと割れていたが国王側が優勢であったため、今回の戦争に参加することとなったらしい。大敗を喫したため国王側は劣勢に立たされ、国王や側近はすべてギルドへ売られた、というのが話の流れだった。
国王が国一番の権力者ではあるのだが、国が割れるのは仕方がないことなのかな? むしろ、1つの勢力しかない国の方が異常なのか? 独裁国家であれば成功している所もあるかもしれないが、他国に嫌われて潰されることもあり得るからな。どうなのだろうか?
そう考えると、うちの国ってどうなるんだろうな。独裁国家ではないけど、一番の力を持っているのは間違いなく俺だよな? だけど、俺が強権を使うことはほとんどないと思う。俺以外の勢力というか、何か行動を起こす人はいないのだろうか?
庁舎で今日の仕事をこなしながらそんな事を考えていると……
「なんとなく考えていることは分かりますが、この国はシュウ様がいなければ成立しないので、他の勢力が介入する余地……違いますね、他の勢力が生まれる余地がありませんね。どう考えても、シュウ様の資金力が無ければ、立ち行かなくなるのは目に見えていますからね」
おっと、いつの間にグリエルが俺の部屋に来ていたのだろうか? それはともかく、
「どういうこと? 俺がいなかったとしても、今の各街の収入を考えれば問題なく、街運営が行われるんじゃないのか?」
「よく考えてください。各街のトップや文官の大半は、シュウ様の奴隷や私たちの指導を受けた者たちですよ? そんな状況で、他の勢力が生まれてくるわけないですよ。
ですが、もし他の勢力ができて政権が変わったとします。そうすると、政治に関わることを辞めシュウ様の元へ戻ってくるでしょう。この時点で政治の中枢はグダグダですよ。残った人間だけでも何とかなるでしょうが、おそらくまともな判断はできませんね」
「何で戻ってくるの? 俺より好条件を提示すれば、戻ってくることはなくね?」
「どう考えても、シュウ様より好条件を提示なんて、できるわけないじゃないですか。各街の税の収入の詳細ありますか? それです。ここ見てください。ゼニスが管理していますが商会からの税収入ですが、各街の1~2割を占めています。それだけでは無く、関わっている物であれば4割は超えるんですよ」
「それは知ってるけど、だから何なの?」
「シュウ様を追い出した街に商会が残るわけないじゃないですか。これまでも、商会が撤退した街の様子を報告したことありますよね? それ以上の影響が街を襲いますよ」
「儲けが減るのに撤退するのか?」
「ゼニスの報告書って読んでますか?」
「ん? 読んでるぞ。相変わらず儲けがえげつない事になってるけどな」
「もう話すのが面倒になってきましたね。こういう時の察しの悪さは何とかなりませんかね」
呆れるような表情でグリエルは俺の方を見ていた。
俺を裏切ったと仮定して、そんな街にゼニスが商会を残しておくわけがない、と言っていた。そして、俺の動かせるお金を考えると、傘下にある人間をすべて賄うことができるので、全員が戻ってくるでしょうだってさ。
どんな状況になっても、ディストピアとゴーストタウンが俺から離れる事はないので、住む場所に困ることも無いでしょうだと。
言っていることは分からなくもないけど、そんな感じに本当になるのかな? 半信半疑だったが、試すことはできないしな。
冗談でグリエルに俺の代わりをやってみないか? と言ってみたが、速攻で断られた。相変わらず、この話になると速攻ですべてを否定しやがる。俺が領主の仕事をほとんどしていなくても、俺がトップにいることが大切なんだとさ。うん、分からん。
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