1687話 彼らは仕事とプライベートで対応が違うらしい……
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とりあえず、ホモークとホモゴブリンたちの連れ帰る人間が決定した。俺は追加で、犯罪の称号があるやつの中から選ぶように、こっそりと命令した。
犯罪の称号が無ければいいのか……という話になるが、それでいいと考えている。正直なところ、ダブルの冒険者たちから、この戦争の終わり方について話を聞いた時に、連れ帰るのは称号持ちだけにしようと、なんとなく思ったのだ。
きっかけの1つと言えば、強制的に奴隷に落とされてひどい扱いを受けていた、女性冒険者たちのことがある。他にも、戦争の最中に感じていた違和感だろうか。称号を持っている人間は、持っていない人間に比べて、品性のかける振る舞いが目立った気がするのだ。
他にも上げればキリがないが、調べてみると立場が上にいればいる程、称号持ちが多かったな。今回の件に関わらず、称号が付くような行為をしていたのだろう。
ダブルの冒険者チームのリーダーから、ホモークとホモゴブリンのお持ち帰りについて、兵士たちに伝えられた。
「ここでお知らせがあります。彼らに選ばれた人間は、問答無用で奴隷落ちとなります。借金奴隷などではなく、犯罪奴隷扱いなので解放されることはありません。私たちの冒険者仲間を奴隷に落とした報いを受けなさい。
奴隷に落としたのは自分たちじゃない、と思う人もいるかもしれませんが、知っていながら犯していた糞共に人権などあるわけないです。この計画を発案した人間、実行に移しことに許可した人間も全員奴隷に落とします」
淡々と語っていた。そう、今回の戦争は終わったけど、戦争の後始末はもっと時間がかかるのだ。戦争への強制参加は、後始末まで含まれているので、まだまだ帰れそうにないな。
ディストピアから参加してもらった冒険者たちには、手伝ってもらいたいことを伝え自由参加で、後始末に合流してもらえないかと伝えると、8割の冒険者が参加してくれる事となった。
危険であることは伝えているが、自分たちも同じ経験があったり知り合いや、家族が同じ状況だった人たちも多く、進んで参加してくれるようだ。
両方の国と同時に交渉することは難しいので、片方ずつ行うことが決定している。同時に行いたけど、リスクが高まるのでギルドの方からの命令である。
ダブルの冒険者が14人もいて、Lv300に届きそうなディストピアの冒険者たちも、多数いるのでできない事はないが、リスクは極力抑える必要があると言われれば、しょうがないよね。
それに交渉する順番は決まっており、初めに連れていく国には付近にいる、シングル・ダブル・トリプルの冒険者たちが何人も呼ばれているそうだ。
まさかトリプルまで呼ぶとは思わなかったな。扱いづらいけどシングルに匹敵するか、それ以上の冒険者がトリプルになると聞いている。そう考えると、爆弾を抱え込むような物ではないだろうか? そいつらの後始末まで任されるとなれば、たまったものじゃないけどな。
あ……俺たちもトリプル認定受けてたんだった。ディストピアの冒険者ギルドは、あの街の職業みたいな位置付けだからな。外でも活躍できるように、ゴーストタウンで仕事を受けているかたちになっていると、ミリーが言っていたっけ?
ディストピアで活動していても、ゴーストタウンでしていたことになるので問題ないということらしい。本当に大丈夫なのか心配していたのだが、他にも似たような処理をしている地域もあるので問題ないらしい。
話がそれたな。変な事を考えている間に、連れ帰る人間を決めたようだな。オリバーは、部下たちに悪食と言われるほど器の大きい奴なので、選ぶのに時間がかかっていた。ジャックとオスカーは好みがハッキリしているので早かったイメージだ。
「選ばれた人は、運が悪かったと諦めてください。ですが、選ばれなかったからと言って安心しない方がいいですよ。おそらく、あなたたちは敗戦の責を負うことになるでしょう。今選ばれた人たちは、奴隷に落とすことで家族に責が及ばないように冒険者ギルドが対応します」
リーダーがここで一旦話を止めると、兵士たちが罵声を浴びせてくる。何で俺たちや家族が敗戦の責を負う必要があるんだ! とか言っているが、あくまでも可能性の話だからな。
それに、責を負うのはあんたたちだけじゃなくて、国の中枢にいるやつらもなんだぞ。こっちは、冒険者ギルドから引き渡し要請をして、家族ごと犯罪奴隷としてもらい受ける形らしい。
「文句は私たちではなく、国のお偉方にしてください。私たちは、ここで奴隷に落とされた人たちの家族を助けるだけなのです。そして恨むなら、戦争に参加した自分たちを恨みなさい。冒険者を強引に巻き込み、このような結果を招いた国の中枢の人間を恨みさい。私たちにぶつけるのは、筋違いというものです」
今回の戦争で冒険者を強制的に奴隷に落とさなければ、ホモークとホモゴブリンに犯されることも無く、ただ負けたことへの責任を取ればよかったかもしれないが、冒険者ギルドを巻き込んだため、下手したら国が傾くほどの金額が要求されるのだ。
名家を潰して賠償金を払う必要が出てくるのだ。このまま帰れば、家族も一緒に奴隷として賠償金の代わりにギルドに引き渡されるだろう。
敵対した国は滅びる、という迷信があると言われているが、実際に滅ぼすことのできる戦力を抱えているからな。今回のことは、教訓として各国に語り継がれることになるかもしれないな。
トリプルの冒険者がどんな奴かは知らないが、聖国のうちに攻めてきた強さの冒険者だったら、簡単に首都が瓦礫の山となるくらいの力はあるな。俺たちもできるけど、無実の人間まで殺すつもりはないのでやらんけどな。
「これ以上、私たちが何を言っても仕方がないので、話は終わりにしますね」
汚い言葉を使って俺たちの事を罵倒してくるが、自分たちが原因なので俺たちに暴言を吐くな! 俺たちが戻ってくるまで、オリバーたちに教育してもらえ!
初めに連れていく国の兵士たちを、ホモークとホモゴブリンたちに分けてもらっている。後にご褒美が待っている状況なので、全員が全員やる気がみなぎっているようだ。逃げようと努力している兵士もすぐに捕まり、数珠繋ぎの輪の中へ入れられていた。
準備も進み、次の日には出発となる。
残る敵国の人間は、冒険者の一部と帝国の騎士たち手伝ってもらい、監視に当たるとの事だ。あ、ホモークとホモゴブリンたちも居残り組だ。自由に使っていいと聞いて、さらにヤル気がみなぎっていたな。だけど、心を折って生きる希望を失わせるようなことはしないように厳命しておいた。
オリバーたちからは、厳命されなくても「本当は、優しく接することの方が好きなんです。仕事だから心を折るようなヤリ方をしますが、必要ないのでしたら優しく優しく対応させてもらいます」だってさ。引きつった顔が、しばらく戻らなかったわ!
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